臨床工学技士が解説!どれだけ知ってる?医療ガスと配管設備~その2~

2024.05.03

みなさんこんにちは!CEなかむーです!

前回は医療ガスやボンベについて深堀しましたが、今回は病室等でもよくみかける医療ガスの配管設備について深堀していこうとおもいます!それではどうぞご覧ください!

 

医療ガス配管設備とは

医療ガス配管設備とは酸素、笑気、空気、吸引、窒素、二酸化炭素など、医療用ガスを安全に届けるためにガス供給源と各種配管端末機器および配管、さらにこれらが安全に供給できるようにモニターする監視システムによって構成された医療ガス供給システムを指しています。主に病室や処置室等で使用する医療ガスの供給設備を1ヵ所にまとめて設置し、医療ガスアウトレット(ガス端末)から医療ガスの供給を行っている設備です。医療ガス配管設備は病室や治療室でもよく見かけるため、みなさんも一度は目にしたことがあるのでないでしょうか?平常時だけでなく、地震など災害時における医療ガス配管設備の安全性確認のため、医療ガスの供給状態を遠隔で監視することができるモニタリング設備などもあります。

以下に医療ガス配管設備について簡単に説明していきます。

供給源設備: 高圧ガスを制御するマニフォールドシステムや圧縮空気のコンプレッサーなど、各ガスに応じた設備を格納し提供している設備。

鹿児島酸素株式会社様より提供

配管端末機器 (アウトレット): 供給している医療ガス別にアウトレットを特定し、自動閉止弁機構を備えたF3型アウトレットなどが組み込まれた配管設備。

病室の医療ガスアウトレット(鹿児島酸素株式会社様より提供)

医療用ガス監視システム: 酸素ボンベやCEタンク(CE:コールド・エバポレーター)のガス残量や圧力を監視し、安全な供給を守る監視システム。CEタンクとは加圧蒸発器付低温貯槽(二重殻真空断熱式構造)のことで、液化アルゴン、液化炭酸ガス、液化窒素又は

液化酸素の貯槽しておく設備のこと。

CE タンクシステム(鹿児島酸素株式会社様より提供) 

実際の病室の配管端末をみてみましょう!

それでは病院の医療ガス配管端末(アウトレット)がどのようになっているのか実際の病室の写真を見ながら確認していきましょう。


下の図は一般的な病院の病室の写真です。ベッドの上部に医療ガス配管の配管端末が見えます。ちょっと拡大してみましょう!


左は「OXYGEN:酸素」右は「VACUUM:吸引」と書いてあります。このキャップをさらにはずすと以下のような接続口が現れます。

なにかお気づきになったでしょうか?医療ガス端末の接続部にそれぞれに角度が違った穴が23個空いているのがみえますよね。実は、穴の個数、角度、ガス種類ごとの色分けは日本産業規格(JIS規格)で定められていて、例えば、酸素は穴の数が2つ、角度は縦180°、色は緑といったようになっています。この方式を後述していきますが、「ピンインデックス方式」と言います。

 

また、みなさんは病院などの廊下で図のような箱に入ったレバーを目にしたことはありませんか?実はこれも医療ガス配管設備のひとつで「区域別遮断弁」(シャットオフバルブ)と言われています。この設備によって、病棟ごとに医療ガスの送気区域を区切ることができるようになります。火災等の緊急時、保守点検、修理又は将来の配管延長工事のときに送気配管の区域を分離するために設置されています。このように、医療ガス配管端末(アウトレット)は様々な工夫を用いて安全に使用できるようになっています。医療ガス配管設備は医療機器を用いた治療や医師・看護師の医療処置でもよく多用される設備であるため、臨床工学技士としてもよく理解して点検や管理を行う必要性が高まっています。

区域遮断弁(シャットオフバルブ) 【鹿児島酸素株式会社様より提供

 

「ピンインデックス方式」と「シュレーダー方式」

ここまで深堀してきたように、医療ガスには多種多様な種類があるため、異なるガスの種類、異なる送気圧力のガス間の誤接続を防止する“ガス別特定接続方式”となっています。それが「ピンインデックス方式」と「シュレーダー方式」です。

ピンインデックス方式は、麻酔器やガス配管などで使用されるシステムです。この方式では、コネクタの形状を異なるものの供給口に接続できないようにしています。具体的には、酸素や笑気の配管などで、ピンの角度と本数が決まっており、別のガス配管には繋がらないようになっています。この仕組みにより、誤ったガスの接続を防ぎ、安全性を確保しています。

ピンインデックス方式 (日本医療ガス学会スライドより一部引用)

 

シュレーダー方式は、配管の接続部のサイズをガスの種類により異なるサイズにしておくことにより、誤接続を防ぐ方式です。この方式は、人工呼吸器や麻酔器などの医療機器で使用されています。具体的には、接続するバルブのリング状になっている溝の直径が異なり、誤ったものを接続できないようにしています。

シュレーダー方式
(日本医療ガス学会スライドより一部引用)

 

また、こうした「間違いを防ぐ」ために設備設計する安全概念を「フールプルーフ」といい、誤った操作や手技を行っても重大な事故を招かないように設計されています。この設計が施されたモノは製品、設備、ITシステムなど「人が使うモノ」に対して、危険な状況を回避するだけでなく、そもそもミスが生じない設計になっています。医療ガス配管設備ではガス配管のピンの角度やリングの形状によってミスが生じない仕組みになっています。人が使う以上、人為的ミスを100%無くすのはほぼ不可能なので、フールプルーフの概念は製造や建設、医療など、小さなミスが大きな事故につながりやすい業界に浸透しています。

 

いかがでしたか?医療ガス配管設備はたくさんの工夫が凝らされ、安全に使用できるような仕組みになっています。臨床工学技士はこういった病院の設備についても管理できる人材として近年注目されているのですが、それはまた今後深堀していきたいと思います。

 

次回も臨床工学技士のお仕事について深堀していきましょう!

 

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【著者紹介】なかむー(中村 隆志・なかむら たかし)

熊本総合医療福祉学院(現:熊本総合医療リハビリテーション学院)出身
臨床工学技士のフリーランスCE-WORKS 代表
慢性期血液浄化療法からロボット手術まで幅広く臨床工学技士業務従事。
18年の臨床工学技士経験をもとに令和3年4月に国内でもあまり事例がない臨床に携わる
フリーランス臨床工学技士として業務に従事。
病院の「外」でも働ける臨床工学技士の仕事創りに取り組んでいます。
将来の夢は臨床工学技士人材だけで会社を創ること!

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