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みなさんこんにちは!CEなかむーです!
今回は医療ドラマでもよく手術中に登場する「メス!」「クーパー!」でもおなじみの手術で使用する「鋼製器具」について深堀してみようと思います。
また、鋼製器具の歴史を紐解き、現代の鋼製器具の種類や特徴を踏まえたうえで、未来の医療機器はどのように変化していくのか臨床工学技士の考える「未来の医療機器」について考えていこうと思います。
CONTENTS
みなさんは鋼製器具と聞いて一番初めに思い浮かぶものはなんでしょうか?恐らく一番に思いつくのものとしては「メス」なのではないかと思います。実はメスにも種類があって、使用する診療科や領域で形や大きさが違います。例えば、一般的に手術で使用される外科用メスは、皮膚の切開や切除を行うために使われ、鋭利な刃(メス刃)としっかりとした握り(メスホルダー)が特徴です。
また、歯医者さんで使われる歯科用メスは歯の切断や形成を行うために小さく設計されているため、細かい作業に適しています。さらには、解剖学の実習や研究に使用され、骨や軟組織を切断するために設計されている解剖用メスなどもあります。このようにメスひとつとっても、使用する診療科や領域によって多種多様なメスが存在します。また、メスだけでなくそれぞれの手術の術式に合わせてハサミや鉗子といった器械・器具が何千種類と存在します。

以下にメス以外の鋼製器具についてどのようなものがあるのか記載してみました。

手術で使用されるいろいろな鋼製器具
剪刀:「せんじん」と読みます。皮膚や腹膜、血管などの組織だけでなく、縫合糸やドレープ、テープなど様々な物を切る(切開・切離)ために使います。いわゆる「はさみ」です。
鑷子:「せっし」と読みます。組織を把持したり、つまんで持ったりするための器械です。溝があるものを有鉤、溝がないものを無鉤と言ったりします。
鉗子:「かんし」と読みます。組織や臓器を把持する(持つ)ための器械です。
持針器:「じしんき」と言います。縫合に必要な針を持つための器械です。
鉤:「こう」と読みます。手術がしやすいように術野を広げて展開するために使用する器械です。
これらの器具は、手術の進行に応じて外科医師にスムーズに渡す必要があります。また、手術室には、手術に使用する器械・器具だけでなくさまざまな医療機器があります。主に使用する医療機器の中には麻酔器や輸液ポンプ、シリンジポンプ、電気メスなどがあります。人工心肺装置といった心臓手術には欠かせない医療機器を用いる場合もあります。
輸液ポンプや電気メスなどはこちらをご覧ください。
医療現場で使われる「輸液ポンプ」とは?輸液ポンプの歴史や機能について臨床工学技士が解説します
電気メスとは? 実は「切っていない」? 熱と電気の特性が生み出す驚きの機能
鋼製器具を語るうえで欠かせない存在が手術で働いている手術に特化した看護師です。手術室には整形外科や心臓血管外科などそれぞれの領域に特化した多くの看護師(私たちはオペ看といったりします)が業務に従事しています。オペ看は手術によっては何百とある鋼製器具や特殊な医療機器、執刀医の術式をすべて把握していて、執刀医が何を必要としているかを予測し、手術がスムーズに進むようにサポートしています。手術の時間が短時間で済めば患者さんの身体的な負担が少ないからです。また、鋼製器具が散乱しないように整理整頓し、それらについた血液や組織などを綺麗に拭き取ったりしながら、手術で使用している鋼製器具や医療機器の管理をしています。
さらに、ガーゼや針などの器具が体内に取り残されないように手術前と手術中に追加したものが術後にすべて揃っているかカウントし、その都度緻密な確認などを行っています。私たち臨床工学技士も多くのオペ看と協力し、コミュニケーションを図りながらチームアップして手術がよりスムーズに、より安全に施行できるように日々努力しています。

手術道具の歴史は非常に古く、紀元前のエジプトやギリシャの時代から使用されていました。当初は石や骨などを材料とした簡単なものが使われていましたが、次第に金属製のツールが普及し始めました。特にローマ帝国時代には、金属製の手術道具が大きく発展し、その設計は現代に至るまで多くの影響を与えています。ここでは一般的に広く知られているメスについて深堀してみましょう。
メスの歴史は古代エジプトまで遡ることができます。当初は黒曜石を鋭利に加工しただけのものをメスとして利用していましたが、紀元前16世紀には小型で刃の部分が小さいメスやナイフが登場しました。また、古代インドではメスやハサミなどの手術器具が早くから発達しました。患者をアルコールで酩酊状態にしての腸切除のほか、膀胱を切開して結石を取り出したり、白内障の患者から水晶体を取り除いたりなど高度な技術も存在したとされています。また、罪人や捕虜に対して鼻削ぎの刑罰があったため、削がれた鼻の修復にメスを駆使した形成手術が行われており、それを考案したスシュルタは今日でも形成外科の先駆者として名を馳せています。
近代に入ると、手術道具の製造技術も飛躍的に進化しました。ステンレススチールやチタンなどの耐久性のある素材が使われるようになり、さらに精密な作業が可能となりました。これにより、手術の成功率が劇的に向上し、患者の回復も早まるようになりました。
その後、戦争を通してメスなどの手術器具や外科技術が劇的に進歩しました。15世紀のルネサンスを契機に古代の医療技術が見直され、科学技術が急速に発展しました。さらに、麻酔法や消毒法などが導入されるとメスは外科医にとって重要な位置づけとなりました。
実は日本でも昭和初期まで、大病院には「研磨室」と呼ばれる鋼製器具の手入れを行う工房があり、注射針やメスを研いで消毒するための研磨職人が常駐していました。しかし、時代の移ろいとともにメスの形態も進化し、刃部と柄部が一体化したメスから、研磨のいらない替刃型メスへ、そして衛生上の理由から使い捨てメスが主流となりました。

さらに、高周波電流を利用して切開や止血をする電気メスや、レーザー光線を使用するレーザーメス、機械の先端から超音波振動を出して組織を凝固切開する超音波メス、マイクロ波を照射して止血や凝固をするマイクロ波メス、ジェット水流の水圧で血管や神経を傷つけず組織だけを除去するウォータージェットメスなど様々な医用機器のメスが多用されてきました。メスも時代に合わせ形や用途が変化し、現在では体に負荷が少ないメスが登場してきています。
医療は日々進化し続けていることは言うまでもありませんが、その中でも鋼製器具と医療機器は、特に患者の治療成績に直接的な影響を与える重要な要素です。切開する傷が小さければ傷の治りも早いし、医療機器による侵襲も少なければ少ないほどよいと思います。現代の医療機関ではこれらの技術をよりよく組み合わせることで、より安全で効果的な治療ができるようになっています。
今回は鋼製器具の歴史と現代の医療機器について考えてみました。ドラマでもよく目にする機会が多い鋼製器具もあるため、読者の皆様がご存知のことも多かったかもしれませんが、メス1本とってもその歴史は古く、時代とともに変化してきたことがわかりましたね。後編ではこれらの鋼製器具や医療機器の歴史を踏まえたうえで、未来の医療機器はどのように変化していくのか?臨床工学技士が考える未来の医療機器についてさらに考えていきます!
この記事を読んで、「臨床工学技士おでかけサービス」や、中村さんに興味を持った方は、ぜひお問い合わせください!