LINE公式アカウントから最新記事の情報を受け取ろう!
みなさんこんにちは!CEなかむーです!
皆さんはユニバーサルビーチプロジェクト(UBP)という活動をご存知でしょうか?最近ではバリアフリーツアーやユニバーサルデザイン観光という言葉が世の中に浸透し、障がい者や高齢者など、移動や観光に制約のある方々でも安心して旅行を楽しめる時代になってきました。
UBPもユニバーサルデザインに特化した活動なのですが、具体的にいったいどんな活動なのでしょうか?今回は私自身もUBPに実際に参加して体験してきました!
CONTENTS
ユニバーサルビーチプロジェクト(UBP)は、障がいの有無に関係なく、誰もが安心して海を楽しめるビーチを作ることを目指すプロジェクトです。例えば、車椅子ユーザーや高齢者、小さな子供を持つ家族などすべての人が海水浴を楽しむことができるようにビーチをユニバーサルデザイン化する取り組みのことを指します。
海外でもUBPは広がりを見せていて、例えば、フランスやポルトガル、オーストラリアでは車椅子利用者が浜辺までアクセスできるようにビーチマットを敷いたり、水陸両用の車椅子の貸し出しが行われたりしています。
このUBPに日本で初めて取り組んだのが神戸に拠点を置くNPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトです。「車いすでは海を楽しめない」という既成概念をぶち破り、小さなチャレンジの達成を積み重ねることで大きな世界へのチャレンジの第一歩にしようというビジョンの元に活動しています。
障がいがあろうとなかろうとみんなが「海」という大自然を通して共に楽しめることが最大の喜びとなり、それが人生にもチャレンジする原動力を与えうるとても素晴らしい活動です。このプロジェクトは、海のユニバーサルデザイン化を推進し、初めて海を楽しむ体験やその喜びを家族で共有できるようにすることを目指しています。
また、国際NGO「FEE(国際環境教育基金)」が実施しているブルーフラッグ認証において、須磨海岸のユニバーサルビーチが世界第2位を受賞するなど国際的にも高い評価を受けていることから日本のUBPは世界からも注目されている活動と言えます。
須磨UBPの活動写真(HPより)
私たちが普段海に入るときには水着に着替え、浮き輪やゴーグルをつけて砂浜からドボーンと飛び込むこともあると思います。今年の夏は特に猛暑でしたので、多くの方が海水浴へおでかけされたのではないでしょうか?しかし、車いすユーザーや障がいのある方はそもそも海に入るという発想がありません。
理由は様々あると思いますが、車いすだから入れないとか障がいがあって入ることが難しいだろうという不安や恐怖など、その多くは入るための道具や方法、サポートする人たちが不足しているためだと思います。
それらをすべて解決するのがUBPです。具体的にどのようにサポートするのかというと、車いすでも砂浜に埋まらないようにビーチマットを敷いて砂浜をユニバーサルデザインにしたり、水陸両用のアウトドア車椅子「ヒッポキャンプ」を導入して水辺まで進めるようにしたりしています。
また、それらを支えるサポーターは理学療法士や看護師などの医療従事者だけでなく、一般の方や障がい者のご家族といった様々な人々の力で成り立っています。このように海を楽しむ体験をみんなの「できた!」につなげられるように様々なアイテムとアイデア、多くのサポーターの力を駆使してUBPを実現しています。
以下に活動をサポートするUBPのスペシャルアイテムを紹介していきます。
みんなが、⽇光浴や波の⾳を聞きながらビーチの気持ち良さを味わい、今まで諦めていた波打ち際に⾏く気持ち良さを感じて、新しいことにチャレンジするキッカケになるビーチマット。
ビーチ以外にも、畑や神社(玉砂利)など⾞いすやベビーカー、バギーなどで通⾏が可能になるマットです。
ビーチマット
ヒッポキャンプは、⽔陸両⽤アウトドア車イスです。ユニバーサルビーチにおいて、初めての人でも、一緒に安全に楽しく海水浴を楽しむことができます。また、海だけでなく、山登りや、木登りも可能にしてくれるユニバーサルアクティビティでは欠かせないアイテムです。
浮きがついているウォーターウィールというものもあります。
ウォーターウィール
須磨UBPを中心に現在国内ではきょうだいプロジェクトとして14の拠点でUBPを体験することができます。そのひとつが私の住んでいる鹿児島県姶良市で行われている重富UBPです。この重富UBPの活動のことは知人にご紹介いただきました。
医療機器を装着していても移動を諦めない「臨床工学技士の移動支援」に取り組んでいる私としても大変興味深い活動でしたので、すぐにアポイントさせていただき事務局のお二人にお会いしてきました。
「行きたい」を支える移動支援。“命のエンジニア”臨床工学技士としてできること
重富UBP事務局の浜本麦さんは鹿児島県にあるNPO法人「くすの木自然館」の代表理事です。
くすの木自然館は、環境教育や自然体験活動を通じて、持続可能な社会の実現を目指して活動しています。浜本さんは、特に重富干潟の生物の研究や自然保護活動を行っておられ、錦江湾の魅力を発信しておられる海のスペシャリストです。
くすの木自然館の職員でもあるUBPリーダー石神愛梨さんは生まれつき両肘から下がない状態でありながら、一人の人間として、そして母として、障害のある人もない人も楽しめる海岸を作るためにユニバーサルビーチの実現に奮闘しています。
重富海岸は元々ゴミだらけだった海岸を利用者や近所の方の力で国立公園の園地にした多くの方に愛されている海岸です。 昔から「海水浴場」ではあったそうでバリアフリーのシャワー付きトイレ、スロープなどはあるけど、駐車場からの距離が遠かったり、砂が深く車いすが通れなかったりと設備はあっても遊びにくい海岸だったそうです。
「その海岸で遊んでみたい」という義足の娘さんのいるご家族からの思いから重富UBPは始まり、国内UBPの先駆者であった須磨UBPの思い、技術、手法を取り入れ、多くの方にサポートして実現できたそうです。鹿児島での初めてのUBPの取り組みは「雨で寒かったけど、いつまでも帰らないというあの時の娘さんの笑顔は忘れることができない」とお二人は熱く話していました。
実は私も先日お二人にお誘いいただきこの重富UBPに参加させていただきました。今回は気管切開をしておられ、夜間のみ人工呼吸器を使用している方のご依頼でした。
臨床工学技士として人工呼吸器装着者様のお風呂の入浴支援は経験がありますが、海に入るという海水浴経験はもちろんありません。はじめは気管切開口の管理をどうするか?吸引器や予備の人工鼻の準備は?といろいろ考えておりましたが、そこは当日ご参加されておられたベテランUBPメンバーのお力添えもあり、何一つ事故もなく安全に海水浴することができました。
当日は9月でしたがとても夏らしい快晴で桜島もいつもより雄大に見ることができました。残暑厳しくちょっとぬるめの海水浴でしたが、錦江湾の優しい波を感じながらぷかぷかと気持ちよさそうに浮かんでいるUBP体験者様は「気管切開をしているけど、まさか波に乗れる日が来るなんて!!」と、とても喜び楽しかったと語っておられました。
UBPは海を楽しむ体験を体験者だけではなく、支援者も含めてみんなの「できた!」につなげられるように様々なアイテムとアイデア、多くのサポーターの力を駆使して実現する素晴らしい取り組みです。
私も臨床工学技士として支援する前に、一人の人間としてできることから支援できるように今後もUBPに関わっていければと思っています。今後もUBPの活動に注目していきたいと思います!
次回も臨床工学技士のお仕事について深堀していきましょう!
この記事を読んで、「臨床工学技士おでかけサービス」や、中村さんに興味を持った方は、ぜひお問い合わせください!