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こんにちは!ビッグデータ解析企業のVALUENEXです。皆さんは「トレハロース」という言葉を、お菓子や冷凍食品、化粧品のパッケージで見かけたことはありませんか?食品の乾燥やパサつきを防いでくれる、身近な糖の一種です。「ただの甘味料でしょ?」と思うかもしれませんが、実はいま、この糖が抗体医薬やmRNAワクチンといった最先端の薬を支える“縁の下の力持ち”として大注目されています。
ここでは、食卓でおなじみの糖が医療の最前線で活躍する、意外な世界にご案内します。
そもそもトレハロースとは、ブドウ糖が2つつながってできた糖で、水分が少ない環境でもタンパク質などの繊細な分子を壊れにくくする性質があります。もともとは食品の保湿や保存、化粧品の保湿成分として幅広く使われてきました。
近年は、この“分子を守る力”が医薬品の世界で見直されています。壊れやすい薬の成分を安定させる材料として応用が進み、特に冷凍や乾燥をしても品質を保ちやすいことから、抗体医薬やワクチンの保存に欠かせない存在になりつつあります。
では、研究者たちはトレハロースをどんな医療技術に活かそうとしているのでしょうか?当社が持つデータ解析技術を使って、「医療分野のトレハロース」に関する日本の特許をマップにしてみると、興味深いトレンドが見えてきます。

図1:トレハロースの全体俯瞰
上の図は、当社のデータ解析技術を使って「医療分野のトレハロース」に関する約3,300件の日本の特許をマップとして表現したものです。これを我々は俯瞰図と呼んでいて、各特許が青いプロットで表現されており、特許の内容が近いもの同士を近くに配置しています。特許が密集している箇所は密集度合いに応じて赤色、黄色や緑色で強調して表現しており、これらを領域として囲った上で、領域内を説明するキーワードをラベルで示しています。
俯瞰図を見渡してみると、中心には「製剤」に関わる領域が広がり、その周りに用途ごとの技術が並んでいます。例えば【配列番号、cdr、製剤】の領域では、モノクローナル抗体を凍結乾燥しても壊さず、成分同士が固まる凝集を防ぐための製剤づくりが進んでいます。トレハロースがタンパク質の構造を守る役割です。
また【rna、peg、リポソーム】の領域は、mRNAワクチンでおなじみの脂質ナノ粒子(LNP)を安定させる技術で、トレハロースが凍結保護剤として活躍します。そのほかにも、痛みの少ない貼るタイプのワクチン「マイクロニードル」、吸入用の粉末薬、糖尿病のインスリン製剤、ヒアルロン酸のゲルなど、身近な医療につながる領域が広がっています。
こうした技術を生み出しているのはどんな企業でしょうか。出願件数の上位には、ジェネンテックやアムジェン、ノバルティスといった海外の製薬・バイオ大手が並び、抗体医薬の製剤や薬の届け方(ドラッグデリバリー)を中心に開発を進めています。中でもアムジェンやアストラゼネカ、中国の上海恒瑞医薬は、ここ5年で出願を大きく伸ばしている注目企業です。
かつては株式会社林原生物化学研究所をはじめとする国内企業が中心でしたが、近年は新規の出願が減り、主役は海外勢や新興バイオへと移ってきました。特に抗体やmRNAの領域は新しく参入する企業が多く、いままさに競争が活発になっている分野です。

表1:主要プレイヤーの時系列変化(Top10推移)

表2:各領域で2020年以降に参入したプレイヤーの割合
今回は、食卓でおなじみのトレハロースが、医療の最前線で果たしている意外な役割を見てきました。特許情報の俯瞰図からは、抗体医薬を凍結乾燥しても壊さない製剤づくりや、mRNAワクチンの脂質ナノ粒子(LNP)を安定させる技術など、トレハロースが壊れやすい薬を支える先端材料として、さまざまな用途で使われていることが見えてきました。
企業の顔ぶれを見ると、抗体やmRNAの領域では新しく参入する企業が多く、海外の製薬・バイオ大手を中心に競争が活発になっています。トレハロースは、こうした最先端の医薬を陰で支える存在になりつつあるのです。
今度スーパーで「トレハロース」の文字を見かけたら、この小さな糖が最先端の薬も支えているのだと、ちょっと思い出してみてくださいね。
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