透析医療の祭典!「日本透析医学会」に参加してきました

2023.08.24

みなさんこんにちは!CEなかむーです!

今回は、6月に兵庫県神戸市で開催された第68回日本透析医学会学術集会(通称:JSDT)にフリーランスCEとして一般的にはあまり知られていない国内最大規模の透析医学会に単独潜入してきたことを記事にしてみました。どうぞご覧ください!

学会ってなに?

みなさんは「学会」と聞くとどのようなイメージを持たれるでしょうか?大学の教授や研究機関の研究者、その学問において画期的な発明や研究をしてきた功労者が集うとても敷居の高いものだと思われる方も多いかもしれません。

もちろん研究演題や最新の学術研究の成果を発表したり、専門の研究者同士で議論したりする場でもあるのですが、実は堅苦しさのイメージとは裏腹に他施設の技術や価値観を学べたり、学生時代の学友や先生方にも会えたり、企業展示コーナーで話題の販促品や試供品が無料で頂けたりと、とても楽しい自由でフラットなコミュニケーションができるひとつの「コミュニティ」の場でもあるんです。

 

驚くことに日本国内の医学会の数は日本医学会の分科会として141学会もあるんです。日本透析医学会(The Japanese Society for Dialysis Therapy:JSDT)もそのひとつで、透析療法を中心とした学術の発展に寄与することを目的に1968年に人工透析研究会として発足し、2012年に一般社団法人として認可された日本透析医療の学術団体です。

現在の学会会員数は18,000名以上(これには病院団体などの施設会員や医師個人の会員が含まれています)で、例年開催される学術集会には透析医療に携わる医師や看護師、臨床工学技士などが全国から約2万人訪れる大規模な学術集会になっています。

会期は約3日間開催され、症例発表や研究論文などの一般演題(スライドを用いた口演)は1000題以上にもなります。一般演題のほかにもポスター演題、海外からの招聘講演会、技術講習会など多岐に渡って透析医療を幅広く学べる内容となっています。

今回は兵庫県神戸市にある神戸国際展示場で開催され、透析技術認定士という専門認定資格の更新のために1年以上前から参加することを決めていました。

主な開催地としては横浜、神戸、大阪が多く、時々福岡で開催されています。実は鹿児島から神戸までの格安飛行機(LCC)は1日2便しかなく、チケットの争奪戦になることは予測できていたので飛行機の予約をしたのはなんと半年前。全国からたくさんの透析医療従事者が押し寄せるので、半年以上も前から予約しないと飛行機どころか宿泊施設すらも取れないのです。

それでは会場の方を覗いてみましょう!

会場の様子

今回の学術テーマは「知行合一」。中国明時代の思想家:王陽明の哲学であり、「単なる見聞の知は真の知ではなく、行を通じてのみ真の知となる」ことを意味するとされています。つまり真の知とは知識や技術を身につけ、実践を通して得たものであるという意味です。

例年様々なテーマを掲げていて、今学会ポスターもデザインが凝っていてかっこいいです!(隠れ?腎臓がありますネ)。

会場内の様子はというと・・・

透析装置のメーカーや製薬会社など多くの企業が大規模な展示ブースを展開していました。各ブースは企業の特色がとてもよく出ていて、全部のブースを回るにはとても1日では足りません。

参加されている方々はそれぞれ興味のあるブースを覗き、営業の方や機器開発者の方々と会話を楽しみます。最先端の医療機器や最新のお薬情報をダイレクトに聴ける機会は患者様の対応に追われている日々の忙しい病院ではあまりできないことなので、皆さん熱心に歩き回っています。

 

学会で歩き疲れた方は最新のフットマッサージ器の展示ブースで休憩してみるのはいかがでしょうか?実は看護師の方など医療従事者は立ち仕事が多いため、足が浮腫むことが非常に多いのです。

中には着圧ソックスがないと夕方まで立って仕事することができないという方もいらっしゃるのでこういった学会などにはマッサージ機を取り扱う企業なども出展していることが多いと思います。

「島」のような学会

島にはいろいろな「エリア」がある

 

学会に参加することは「島に行くこと」と例えるとわかりやすいと思います。島という場所には人が住んでいるところ、動植物がたくさん生息している緑豊かなところ、観光資源がたくさんあるところといったように特色を持ったエリアが存在しています。

学会には研究者や他施設の医療従事者等と大会参加時に知り合い、ディスカッションを通して交流を深める「縁」のエリア、機器展示コーナーで得られる最新の機械技術や医療技術、ポスター演題などを通して他施設ではどのような取り組みをしているのか知ることができたり、技術講習会において自己の専門的な技術力向上を図ったり技術的な学びを得る「技」を磨くエリア、自身の施設で取り組んでいる実践方法や医学的な研究をテーマに演題を発表したりすることで、その道の専門家や研究者からさらに学びを得ることができる「知」のエリアなどがあります。

 

また、会の作り手や発信者として関わることが好きな方は大会運営委員などを行うこともあります。学会の運営を通して国内の学識者や専門家と交流することができ、委員同士の幅広い分野での専門性や奥深い交流ができることも多いと思います。これは「会」を動かすエリアと呼んでもいいかもしれません。

 

いかがでしたか?「医学会」と聞くととても堅苦しいイメージと感じる方も多いかもしれませんが、懐かしい学生時代の友人や昔の職場の同僚などにも会える場でもあります。旅する気分で学会に参加すると意外な人たちと交流できたり、新しい学びや発見、人との繋がりに出会えたりするかもしれませんね。

 

また次回もおたのしみに!

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【著者紹介】なかむー(中村 隆志・なかむら たかし)

熊本総合医療福祉学院(現:熊本総合医療リハビリテーション学院)出身
臨床工学技士のフリーランスCE-WORKS 代表
慢性期血液浄化療法からロボット手術まで幅広く臨床工学技士業務従事。
18年の臨床工学技士経験をもとに令和3年4月に国内でもあまり事例がない臨床に携わる
フリーランス臨床工学技士として業務に従事。
病院の「外」でも働ける臨床工学技士の仕事創りに取り組んでいます。
将来の夢は臨床工学技士人材だけで会社を創ること!

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