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みなさんこんにちは!サイエンス妖精の彩恵りりだよ!
今回のお話は、最も軽いマグネシウムの同位体18Mgの合成報告についてだよ!
単に新しい同位体を合成した、という報告だけなら一言で済む話だけど、この同位体の合成と観測は、中々に重要な事を含んでいるんだよ!以下解説するね!
18Mgを合成した方法の概要だよ。安定同位体の24Mgを光速の半分の速度まで加速し、ベリリウム箔にぶつけるよ。すると中性子が剥がれて20Mgが生成し、更にもう1枚のベリリウム箔にぶつかると、18Mgが生成するよ。
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私の記事を読んでくれる人の多くは同位体については知っていると思うけど、知らない人やド忘れしちゃった人のために軽く説明するね!身の回りにある物質は原子でできていて、原子は中心にある原子核と、外側にある電子で構成されているよ。更に原子核は、いくつかの陽子と中性子の組み合わせでできているよ。
普通の化学では、原子を区別するのは化学反応に関わる電子の数だけど、電子の数は原子核にある陽子の数とイコールだよ。だから動きやすい電子よりも、動きにくい陽子で原子を区別する事が多いよ。そして電子の数=陽子の数で原子をグループ分けしたものが元素という概念だよ。
ただ、厳密な物理学や化学の文脈では、元素の中でも更に種類分けがされるよ。同じ元素=同じ陽子数の原子核でも、中性子の数が等しいとは限らず、元素によっては中性子の数が違う原子核が数種類混ざっている事があるよ。これを同位体と言うよ。
また、原子核を陽子と中性子の数で並べた、いわば元素の周期表に相当する表を核図表と言って、これで観れば同位体の性質がある程度予測が可能になるよ!
同位体の中には更に、エネルギー的に安定していてそのままでは変化しない安定同位体と、エネルギー的に不安定で時間の経過とともに別の原子核へと変化する放射性同位体があるよ。
自然界に存在する原子核は原則として、安定同位体と、一部の長寿命な放射性同位体しか存在しないよ。これは核図表を描くと、大体真ん中くらいに存在するものとして緩い曲線β安定線を描けるよ。
ただ、原子核に陽子や中性子、別の原子核などを衝突させるなど、高エネルギーな場所では、通常の自然界には存在しない短寿命の放射性同位体を生成する事ができるよ。
そのような放射性同体は (例外はあるけど俯瞰的に観れば) 、β安定線から遠くなればなるほど寿命が短くなり、また合成も難しくなるよ。
原子核を陽子と中性子の数で並べたものを核図表と言うよ。原子核は安定同位体が並んでいるβ安定線を中心として広がっていて、遠ければ遠くなるほど不安定となるよ。そして陽子や中性子を放出して安定になる原子核の境をドリップラインと言うよ。今回合成された18Mgも、陽子ドリップラインの外側にあるよ。
ではなんでそんな苦労をして原子核を合成するのかと言うと、原子核の性質そのものに迫る事ができるからだよ。原子核は高密度・高エネルギーの環境だから、原子核で起こっている現象をモデル化するのは難しく、モデル計算と実測にはどうしてもズレがある事が知られているよ。
極端に安定な位置から外れた原子核を何種類も合成し、観測値を比較する事は、観測の難しい原子核の性質について私たちの理解を深めてくれるんだよ。
さて、今回の論文では、マグネシウムの同位体である18Mg (マグネシウム18) の合成について報告しているよ。マグネシウムの安定同位体は24Mg・25Mg・26Mgで、最も割合が多いのは24Mgだよ。24Mgは陽子と中性子が共に12個でできているけど、18Mgは陽子が12個に対して中性子が6個という、極端に陽子の割合が高い原子核だよ。
このように、比較的安定な同位体と比較して、陽子の割合が極端に多い原子核 (β安定線から中性子が少ない側に外れた同位体) の事を、陽子過剰核と言うよ。18Mgは、数ある陽子過剰核の中でも極度に陽子の割合が高いから、これを作るのは一筋縄ではいかないよ。
アメリカ合衆国にある国立超伝導サイクロトロン研究所では、工夫を凝らして18Mgを合成したよ。まず、安定同位体である24Mgを光速の半分くらいと言うものすごい速度まで加速して、ベリリウムの金属箔にぶつけるよ。
すると、ベリリウム原子核との衝突で24Mg原子核を構成する中性子が剥がれて、20Mgという軽い同位体ができる事があるよ。20Mgは半減期0.09秒で崩壊してしまうけど、20Mgの速度は光速の半分をほぼ維持しているので、この半減期の短さはほとんど問題にならずに、約30m離れた別のベリリウム箔に衝突するよ。こうして18Mgが生成されるんだよ!
18Mgはとてつもなく不安定で、約0.000000000000000000001秒 (10-21秒) で崩壊してしまうよ!これだけ一瞬しか存在できないとなると、さすがに18Mgはベリリウム箔の外に出る事ができずに崩壊してしまうから、直接18Mgを調べる事はできないよ。それでも18Mgからの崩壊で飛び出してくる粒子線を調べる事で、間接的に18Mgの性質を知る事ができるんだよ。
ところで陽子過剰核の場合、不安定な状態から安定化するには主に2つの道があるよ。まず、陽子が陽電子放出して中性子となる陽電子放出だよ。ただ、これは陽子過剰核の中でも比較的安定している原子核で起こるもので、ずっと不安定な陽子過剰核の場合は陽子が崩壊するまで原子核自体を維持できないよ。
いわば、原子核に含める陽子と中性子の量には、コップのように入りきる量が決まっていると例えられるよ。このように、原子核が "あふれた" 陽子を放出して安定化する現象を陽子放出と言うよ。そして、この陽子放出が起こる核図表上の境目の事を陽子ドリップラインと呼ぶよ (ちなみに今までの話は、中性子過剰核の中性子でも同じような事が起こるよ) 。
原子核に詰め込める陽子や中性子の数は、その合計数に応じた、例えて言うならコップの容量が決まっているよ。コップの容量の限界がドリップラインで、それを超えて陽子を詰め込んでもあふれてしまうよ。これが18Mgでは4個分も多く発生しているよ!
18Mgは極度に不安定なので、ただちに陽子を放出して安定化を図るよ。18Mgは陽子放出が起こる陽子ドリップラインからもかなり外れた部分にいるから、合計で4個の陽子を放出するという中々例のない崩壊が観測されるんだよ!
これは1974年に合成された8C (炭素8) 以来、2番目の四重陽子放出崩壊の観測だよ!また、2007年の19Mgの合成以来、最も軽いマグネシウムの同位体の記録を更新したんだよ!
厳密に言えば、18Mgはいきなり4個の陽子を放出するのではなく、まずは2個の陽子を放出して16Ne (ネオン16) に崩壊するよ。ただ、16Neも猛烈に不安定で、約0.0000000000000000000057秒 (5.7×10-21秒) で崩壊してしまうから、これも直接に観る事はできないよ。
そして16Neが更に2個の陽子を放出する事で、最終的には14O (酸素14) になるまで崩壊するよ (ちなみに、14Oは半減期70.6秒の放射性同位体だけど、これまでの話からすれば安定とみなせるくらいの長寿命だから、その後の過程は無視されるよ) 。
18Mgの崩壊は極めて短時間で、続く16Neも同じくらいの極めて短時間しか存在しないから、18Mgは14Oへと崩壊すると省略してみてもよくて、これにより、18Mgは4つの陽子を崩壊する珍しい原子核だと知る事ができるよ!そしてその性質は、18Mgの放出で飛び出した陽子4個と、崩壊後に残った14Oによって知る事ができるよ。
18Mgの崩壊で飛び出した粒子を色々調べてみると、18Mgが衝突時のエネルギーを持ったまま崩壊したパターンと、そのような余計なエネルギーを持たずに崩壊したパターンを観測したよ。2つのエネルギー状態を比較すれば、エネルギーの高い状態がどの程度不安定になったのかを知る事ができるんだよ。
その結果、18Mg原子核内での安定性が、20Mgよりも弱くなっている事が判明したんだよ!これは、特定の数 (今回の核図表なら2や8) の陽子と中性子が集まった原子核は安定しやすいという魔法数の効果が薄れているせいではないか、という推定が出されたよ。ただこれは仮説の段階で、確定をするには更に周辺の原子核を調べる必要があるよ。
今回の実験では、18Mgが4つの陽子放出を起こす原子核である事が判明し、同時に魔法数の一部が成り立たなくなっている可能性を示した、という点で重要だよ。
不安定な陽子過剰核から何個陽子が飛び出すのか、という現象については、その逆の中性子過剰核による中性子放出よりはよく分かっていない部分が多いよ。
だから陽子過剰核を多数合成して原子核の安定性を調べ、従来の魔法数が消えるのか、もし消える場合には、新しい魔法数は存在するかしないかが重要になってくるよ。
原子核がどの程度の時間だけ安定して存在できるか、という問いは、究極的には私たちに関わってくるよ。私たちを含め生き物の大半は炭素・酸素・窒素・リン・硫黄などを基本とするけど、これは全て恒星の内部で合成された元素で構成されているよ。
宇宙に元々あった水素と違い、核融合が起こらなければこのような複雑な宇宙はできなかったと言えるよ。原子核がどの程度の時間だけ安定しているか、不安定な理由はなにか、と言った基礎研究は馴染みが薄いかもしれないけど、これこそ目の前にある物質がどう合成されてきたかという一番重要なテーマに関わってくるんだよ!
また、今回のベリリウム箔2枚張りのように、工夫を凝らせば普通には合成できない不安定な原子核も合成可能と言う事を示した事で、これまで手出しできなかった原子核を合成する事が可能と示した点も重要だよ!これからどんどん他の成果が出てくるといいね!
[原著論文]
[参考文献]