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酸素欠乏症とは、通常20.9%程度が適正とされる酸素濃度が18%未満に低下した空気を体内に取り込むことで起こる症状のことです。タンク内の作業や倉庫などの密閉空間や空気が滞留するような場所の作業で発生しやすく、めまいや嘔吐、意識喪失、最悪の場合は死に至ります。脳にダメージを負いやすく、死を免れても後遺症が出やすいのが特徴です。
前回の「酸素欠乏症とは?なるとどうなる?酸欠の症状や危険性について詳しく解説!」で酸素欠乏症がどのような仕組みで起こり、人体にどのような影響をもたらすかを解説しました。
今回は、その続編として、酸素欠乏症のリスクを知ってもらうために、症例数や致死率について統計データをもとに確認し、特に気をつけるべき時期、作業環境や業界を解説します。最後に、酸素欠乏症の発生を防ぐための有効な手段について紹介します。
厚生労働省の調査によると、2004年から2023年の20年間において、酸素欠乏症の事故は、合計118件発生しており、被災者149人のうち90人が亡くなっています。このデータから、酸素欠乏症による致死率は60.4%で、事故が発生すると高い確率で死亡事故につながることが分かります。
2004年から2023年の酸素欠乏症の発生件数・被災者数・死亡者数は以下のとおりです。
厚生労働省「酸素欠乏症・硫化水素中毒による労働災害発生状況」より抜粋
毎年1件以上の事故が発生しており、多い年では、年間で10件を超えることもあります。
また、同調査において酸素欠乏症の月別発生状況をまとめたものが次のグラフです。
厚生労働省「酸素欠乏症・硫化水素中毒による労働災害発生状況」のデータより抜粋
上記のグラフ、各月の発生状況から、酸素欠乏症について以下の特徴が挙げられます。
しかしながら、気温が高くなる時期に関わらず注意が必要であることが、グラフから明らかになっています。特に、閉所や特定環境下で作業する場合は、様々な場面で換気や後述する酸素濃度計を用いるなどして酸欠事故を未然に防ぐことが重要です。
厚生労働省の報告によると、酸素欠乏症は、次のような場所・要因によって発生することが考えられます。
厚生労働省「なくそう!酸素欠乏症・硫化水素中毒」
上表を確認すると、酸素欠乏症は、密閉・閉鎖空間(に近い)環境において、大きく2つに分けて発生しやすいと考えられます。
危険性のある場所で作業を行う場合は、酸素欠乏危険作業主任者を選任し、作業環境の事前確認や、酸素濃度を維持するための換気の実施、酸素濃度の測定や緊急時に備えて保護具の使用など、安全に配慮した職務を行うことが重要です。
酸素欠乏症の事故が最も起きやすい業界は、製造業です。
2004年から2023年の20年間で、製造業が発生事故件数の約半分程度を占めています。
厚生労働省「酸素欠乏症・硫化水素中毒による労働災害発生状況」
それぞれの業界で、酸素欠乏症が発生する原因は以下のようなものがあげられます。
製造業では原料や製品の保管において、タンクなどの密閉容器を使用することがあります。そのようなタンク内での作業は、酸素欠乏症を発生させやすいシチュエーションの1つです。
例えば、食料品製造業において貯蔵タンクに醤油を保管している場合、タンクを清潔にするために清掃作業が必要です。しかし、タンク内の酸素濃度は醤油に含まれる酵母の呼吸により低下していることもあるため、酸素欠乏症につながる恐れがあります。
他にも鉄製のタンクのように、タンク自体が酸化することで内部の酸素を消費してしまうケースもあります。
長期間使用されていなかったタンクを清掃する場合は、タンク内の酸化が進み、酸素濃度が低下している可能性があるため、特に注意が必要です。
タンク内の作業における事故を防ぐためには、酸素濃度の測定が有効です。
研究・開発向けの環境でも様々な薬品を取り扱うことで化学反応が発生するため、酸素欠乏症には注意が必要です。
例えば、密閉空間内において液体窒素やドライアイスなどを利用した実験をする場合です。液体窒素やドライアイスなどは気化することで、酸素濃度を低下させるためです。
また、他のガスが発生することも考えられ、二酸化炭素や水素をはじめとしたさまざまな気体が発生することで、相対的に空気中の酸素の割合が減ってしまい、酸素欠乏症を引き起こす可能性が考えられます。
特定の環境下では、酸素濃度以外にも、有毒ガスの発生にも気を付ける必要があり、環境や作業に応じてガス検知警報器の使用が必要となります。
このような事故を未然に防ぐために、酸素濃度の測定や換気をしながら実験作業をする必要があります。
このように、作業環境によって酸素欠乏症を引き起こす可能性は様々なものがあります。酸素欠乏症を防ぐためには、酸素欠乏症等防止規則、法的知識を正確に把握しておくことも必要です。法規則の詳細を確認されたい方は、以下の記事を参考にしてください。
理研計器-国内法令規則・国際規格について
理研計器では、酸素欠乏症の発生を防ぐための酸素濃度計を取り扱っており、作業環境に合わせて、計測機器の装着・設置をご提案しております。
小型で身に着けやすい個人装着型のタイプ、作業前に酸素濃度を事前チェックできる投込み(ケーブル付)式のタイプ、そして、簡易的に設置し常時監視できる定置型タイプなど酸素欠乏症の予防に役立つ理研計器の製品と特長について紹介します。
OX-04G:個人装着型酸素濃度計
乾電池と充電池の電源に対応した測定器で、長時間連続使用が可能です。作業者が胸ポケット・腰ベルトの位置に携帯することで、異常を早期発見し、酸欠事故を防ぐことができます。
GW-3(O2):腕時計型(装着型)酸素濃度計
本体の質量は45gで世界最小・最軽量クラスを実現しています。付属品の時計ベルトを使用することで、腕時計のように装着することも可能です。
OX-08:投込み式酸素濃度計(5mケーブル付)
OX-08は1台2役の酸素濃度計です。リモートケーブルを投げ入れる作業前測定と、作業者の周囲のリアルタイム測定により安全な作業をサポートします。
離れた位置から測定できるため、測定者の安全を確保できるのが特徴です。
OX-600:簡易定置型酸素濃度計
OX-600は、研究・実験室やクリーンルームなどにおける酸欠事故防止に最適な簡易設置、取付が可能な酸素濃度計です。3色に光るLCD画面表示により遠く離れたところからも酸素濃度の視認性が上がります。また、リモートセンサ付きタイプは、最大20mの遠隔監視、測定が可能です。気圧補正センサ搭載のため、気圧の影響による指示値の変動がありません。
酸素欠乏による事故は、毎年発生しています。万が一、事故が発生すると、被災者の致死率は60%以上です。命が助かっても、脳へのダメージから後遺症が出ることもあります。
このような重症化しやすい事故から作業員の命を守るためには、濃度を可視化する酸素濃度計が不可欠です。
酸素濃度や硫化水素濃度の測定器をお探しの方は、理研計器までお気軽にお問い合わせください。
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