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みなさんこんにちは! サイエンスライターな妖精の彩恵りりだよ!
今回の解説は、地球の内核の推定値に大きな違いが現れた、という研究結果だよ。
この研究は、レニウムを最大2300億Pa (230万気圧) まで圧縮し、音速をきちんと測定したという、これがなかなか難しい実験プロセスを経ているんだよ!そのために大きな違いが分かったんだよね!
この研究結果によれば、地球の内核はこれまでの推定の倍の軽い元素を含んでいるか、もしくは温度が3000℃高くないといけないか、その両方という、大幅な書き換えが必要になるよ!
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私たちが住む地球の中身は、卵に例えることができるよ。一番外側の殻は硬くて薄い「地殻」、その内側には白身にあたる「マントル」と、黄身にあたる「核」が存在するよ。
特に中心部の核は興味深いよ。地殻やマントルはおよそ岩石と言えるものだけど、核は鉄を主体とした金属合金になっていると言われているからね!さらに、核の中でも性質は変化するよ。
核の外側は、高温で融けた液体金属でできていて、これは「外核」と呼ばれるよ。内側はそれにも増して高温になるけど、あまりの高圧で融けず固体金属となっていて、これは「内核」と呼ばれるよ。
地球がこんな風に多層構造になっているのは、地球の作られ方と関わりがあると言われているよ。46億年前に誕生した地球は、初めは表面から内部まで融けた巨大なマグマの滴として存在したと言われているよ。
液体の中では、より軽いものが浮き、より重いものが沈むよ。この場合、水素・炭素・酸素・アルミニウム・ケイ素・硫黄といった軽い元素は浮きやすく、鉄やニッケルといった重い元素は沈みやすいよ。
軽い元素は大体が岩石の主要な構成成分なので、軽い岩石や水などは地殻を形成し、重い岩石はマントルを形成するようになったよ。一方で岩石成分に乏しい核は、そのまま金属鉄として存在するようになったよ。
こんな感じで、地球は大雑把に表面が軽い元素、中心が重い元素で構成されているので、元素の違いが物質の成分も変え、結果として多層構造を作っている、ともいえるんだよね。
さて、ここまで「地球の中身はこうできている」って説明したけど、実は誰も地球の中身を掘って確認したわけじゃないよ!今の掘る技術は地殻を貫いてすらいないからね!
じゃあどうしてわかるのか?これには「地震学」、「岩石鉱物学」、「物性科学」、「理論計算」という4つのアプローチの組み合わせがあるからだよ。
一番わかりやすいのは地震学だよね。これは文字通り、日々あちこちで発生している地震を捉え、その性質を解析する研究だよ。高感度な地震計は、かなり遠くで発生したそこそこの規模の地震も検出できるよ。
地震は表面を伝わるだけでなく、地球の中を通って遠く離れた場所まで届くこともあるよ。時には、地球のほぼ中心を通って反対側に行く、なんてこともあるよ!
地震という波は、地球という物体を伝わる波なので、波が伝わるかどうか、波の速さ、遠くに行くにしたがって弱くなっていく度合いなど、伝わる場所によって様々な性質が現れてくるよ。
地震の発生場所はわかっているので、遠く離れた地震計でどんな波がいつ到達したのかを解析すれば、地震波の伝わり方がわかるので、そこから逆算で地球の中身を調べることができるのよね!
これはちょうど、妊婦の超音波検査と似ているよ。あれは超音波という波の性質が、胎児の身体や羊水など伝わる物質の性質の違いによって変化するのを捉え、お腹の中という見えない部分を可視化する技術だよ。
ただ、地震波の伝わり方が分からなければ、地球の中身を可視化することはできないよ。地球の中は高温高圧なので、物質の性質がかなり変化しているので、これはきちんと考慮しないといけないよ。
まず地球の中身は、長年の岩石鉱物学の知識の蓄積からアプローチするよ。地球表面には、現在の技術で採掘することができない深部の岩石が転がっていることがあるので、中身の組成がこれでわかるよ。
そして、実験室で深部の岩石を再現した物質を加熱圧縮することで、マントルや核の高温高圧環境を再現する物性科学的な研究を行うよ。特に地震波の性質を調べるための音波の伝達試験はとても重要だね!
ただ、どうしても技術的な限界から、マントルや核の本当の部分を知ることは難しいよ。そこで、これまで得られたデータから理論計算を行うことで、足りない部分を補っていくよ。
こんな風に、様々な分野の研究成果をミックスするによって、地球の中身は卵っぽい感じになっている、と語ることができるわけだね!
ただし、この方法にはどうしても限界が存在するよ。特に地球の内核はあまりにも圧力が高すぎて、実験室で圧力をかけられる限界をはるかに超えており、環境を再現できないよ。
さらに、これほど高温高圧な環境を生み出すと、そもそも物性を測るということ自体がメチャクチャ難しくなるよ。特に、地震波の速度の根拠となる音速の測定で困難が知られているよ。
地球でもこういう困難に直面している、と考えると、地球の数倍重い「スーパーアース」は更なる困難に直面するよ。スーパーアースは太陽系外惑星としてちょこちょこ見つかっている、岩石が主体と見られる惑星だよ。
大雑把に言えば、スーパーアースは超巨大な地球だから、中心部には地球と同じような金属の核があると思うよ。地球でも完全な理解をされていないんだから、スーパーアースの中身は余計に訳が分からないことになるね!
スーパーアースの中身を知ることは、スーパーアースの形成過程を知る上で重要な要素だし、これはひいては地球を含む全ての岩石主体な天体がどう作られたか、にも関わる話だから、決して放置できない話なんだよね。
問題はまだあるよ。地球の内核は主に鉄で、少量のニッケルを含む、と長年考えられてきたわけだけど、近年の研究では、どうも内核は純粋な金属鉄よりはだいぶ密度が低いらしいことが分かってきているよ。
これは、内核がそれなりの量で水素・炭素・酸素・硫黄のような軽い元素を含んでいる、と考えれば説明がつくけど、今度はどうしてそんな軽い元素がそれなりに含まれているのか、という別の問題に直面するよ。
最初の頃に述べた通り、軽い元素は表面に行きやすいので、内核の密度が変わるほど軽い元素が大量に含まれている、というのは一見するとよくわかんないよね。
そうなってくると、中心部に軽い元素を運ぶような何かが起きたということになるけど、それを決定するには、内核に含まれる軽い元素の種類と割合が正確に分からないといけないよね。
そんな感じで、研究が進めば進むほど内核の謎は増えていってる感じなんだけど、結局のところその理解は物性科学と理論計算に頼っている部分があるので、そこんところの検証も必要になってくるよ。
実物が取れない以上、これらに頼るのは仕方がないんだけど、一方でどうしても限界というのは存在するので、内核の正確な環境を描こうとすると、シミュレーション結果の大きな誤差に直面するよ。
特に物性科学については、実験をできる施設が世界でも限られており、特に音速の測定はものすごく難しいことから、今までシミュレーションの根拠としてきた値がどれほど正確なのかを再検討しないといけないよ。
東北大学の生田大穣氏などの研究チームは、このモヤモヤした状況をどうにかするために実験を行ったよ。結局のところこの謎を解決するには、実験で正確なデータを得るしかないからね。
実験に使用したのは「レニウム」という金属元素だよ。これはとても高密度で硬い金属であり、圧力をかければ変形などせずにかけた分だけ縮まってくれる "行儀のよい金属" ので、高圧実験でしばしば測定される物質だよ。
また、レニウムの結晶構造は六方鉄 (高圧でできる鉄) の結晶構造と似ているので、レニウムの測定結果を地球の核に適用できる、という意味でも結構便利なものなんだよね!
ただ、いくら実験データが揃っていると言っても、高圧になればだんだんとデータは少なくなり、その分だけ理論計算をした時の誤差が大きくなるよ。特に音速のデータは、核の圧力まで到達してないという問題があるよ。
このため、低い圧力での音速のデータから、高い圧力での音速を推定するしかないけど、その推定の仕方がまさに難しい所で、内核の中心部まで行けば各推定の不一致度合い50%まで膨れ上がってしまうよ!

レニウムを最大2300億Pa (230万気圧) まで圧縮し、IXS法という方法で性質を調べてみたよ。この方法はかなり難しくて、SPring-8の高い性能によって実現した研究だよ! (画像引用元番号②③④)
そこで研究チームは、ダイヤモンドアンビルセルでレニウムのサンプルを圧縮し、これまで実験がされたことがない高圧領域で圧縮されたレニウムの音速を調べてみたよ。
小さな試料では音速を直接測れないことから、圧縮したサンプルの原子レベルの構造について、X線でその様子を測定し、そこから音速を求めるという方法がとられるよ。
とはいえこれは相当難しいよ。こういう極端な高圧をかける実験では、試料がものすごく小さいので、意味のあるデータを取ること自体がとても難しいからだよ。
圧縮されるレニウムはたった0.000001gしかないから、今までの実験で使われてきたXRD法 (X線回折法) [注1]ではどうしても限界があり、これが誤差を生むという問題があるよ。
そこで研究チームは、XRDではない別の方法として「IXS法 (共鳴非弾性X線散乱法)」[注2]での詳細な測定を試みたよ。ただ、IXSを使うには強力なX線を使う必要があり、それができる施設は限られているよ。
今回の研究では、大型放射光施設「SPring-8」の「BL43LXUビームライン」が使われたよ。これはものすごく強力なX線を照射できるだけでなく、特に小さな試料も測定できるという強みがあるよ。
実験では、最大で2300億Pa (230万気圧) までレニウムを圧縮したよ。これは外核の中間くらいの圧力になるね!そしてIXSのデータから、縦波=P波と横波=S波での音速が測定されたよ。
そしてこの音速データから、核を構成する鉄と、マントルを構成する酸化マグネシウム、および比較対象としてレニウムの圧力ごとの状態を予測するモデル (状態方程式) を作ってシミュレーションを行ってみたよ。
こうすることで、地震波から得られた地球の核に関する今までの予測データと、今回の測定値から得られた圧力・密度・音速の関係を当てはめ、ズレがどの程度あるのかを知ることができるわけだね!
その結果、内核の環境である3300億Paから3650億Pa (330万気圧から365万気圧) と6000K (5700℃) の環境に置いた鉄の密度と、地震波を元にした内核の密度には、8±2%のズレがあることが明らかになったよ。
これまでの研究では、内核と純粋な六方鉄との密度のズレは3%から5%とされていたから、実に2倍もの大きな違いが現れたことになり、内核の様子がこれ以前に考えられていたのとは全然違うということになるよ。
このズレを説明するには、これまで推定されてきた軽い元素の含有量が2倍になるか、内核の温度が3000度も高い9000K (8700℃) であるか、その両方の組み合わせでしか説明できないことになるよ。
真相がどうであれ、この研究結果は内核の姿を根本的に見直さないといけないことを示唆しているから、むしろ謎が余計に増えた分、これから研究するネタが増えたと言えるかもしれないね!
過去のモデルと大幅なズレが生じたのは、ひとえに高圧にかけた物質の音速測定がとても困難なことを意味していて、だからこそSPring-8の高性能さが役に立った、とも言えるよ。
[注1] XRD法 ↩︎
X線回折 (XRD; X‐Ray Diffraction) という性質を利用した物質の分析手段。物体にX線を当てると、X線は回折を受けて特定の角度にのみ進んでいく。これは原子の種類と並び方によって違いが生まれるため、X線の回折で現れるパターンから物質の結晶構造やその他の性質を知ることができる。
[注2] IXS法 ↩︎
非弾性X線散乱 (IXS; Inelastic X-ray Scattering) という性質を利用した物質の分析手段。RIXS法 (Resonant inelastic X-ray scattering; 共鳴非弾性X線散乱) とも。電子は原子核の外側をいくつかの軌道で回っている。X線を照射し、内側の軌道にある電子を外に飛び出させると、外側の軌道にある電子は内側へと落ちていき、この際に差分のエネルギーがX線 (散乱X線) として放射される。照射したX線と放出されるX線のエネルギーの差から、電子を飛び出させる、および落ち込ませるのに必要なエネルギーが分かり、原子に関する詳細な情報が得られる。ただし、この方法を行うためにはかなり強力なX線が必要である。
<原著論文>
<参考文献>
<関連研究>
<画像引用元の情報> (必要に応じてトリミングを行ったり、文字や図表を書き加えている場合がある)