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1年に1回はマンボウのトークイベントをやりたいな~と思い、この記事の配信元であるアズワン株式会社(アズワンさん)に打診し、企画を立ててもらったのはもう3年前の話になる。2023年第1回目のトークイベントのテーマは「マンボウの都市伝説流行10年祭」(会場参加者24名、ネット視聴者22名)、2024年第2回目のトークイベントのテーマは「マンボウを食べる会」(会場参加者111名、ネット視聴者3名)……そして今回の2025年第3回目のトークイベントのテーマは「命名15周年ウシマンボウにめっちゃ詳しくなれる会」(会場参加者70名、ネット視聴者3名)! 第2回目のトークイベントが終わった時点で、第3回目のトークイベントのテーマはウシマンボウにしようと決めていた。2025年はウシマンボウの標準和名を提唱してから15年目の節目の年。まだまだマイナーなウシマンボウのことを多くの人に知ってもらいたいと思ったのである。プロジェクトは2025年6月からゆるりとし始動し始めた……。
第3回目のトークイベントも、マンボウに所縁のあるVTuberであるチュムノート(ChumuNote)さんを対談相手に迎え、会場も大阪のトーク・ライブハウスLoft PlusOne Westに決まった。当初、私は11月を希望していたのだが(台風などの災害が少なく気温も過ごしやすい時期なので)……チュムノートさんが既に11月の予定が埋まっているということで、色々相談した結果、2025年12月13日開催に決定した! ぎりぎり何とか2025年のうちにイベントができることになって本当に良かった。危うく、年を跨ぐと命名16年祭とちょっと中途半端な年数になってしまうところだった……! 第2回目のトークイベントは、幸運にも「マンボウが食べられる」ということがX(旧Twitter)で話題になり、会場は満席になったのだが……今回はマンボウを食べるという要素が無いので、前回より参加者は減るだろうと予測していた。
実際、イベント開催の告知を一ヶ月前から行っていたのだが、早期に予約をして下さった3名でしばらく予約数は推移していた。早期予約者が少なかったのは、Xのアルゴリズム変更による要因も大きく、目に見えて告知ポストの閲覧数(インプレ)が少なかった。このままだとイベントに興味ありそうな人に届かずイベントが終わってしまう……せめて会場席二桁(10名)は埋めたい……時間が経っても予約数が増えない状況に焦り始めた私は、必死にXで今回のトークイベントの告知を発信し続けた(Misskeyの方でも)。チュムノートさんも連日のイベントで忙しい中、Youtubeなどでイベントの告知を行って頂けた。

そんな折、偶然にも私のポストがアイマスPに届いた。アイマスPとは、バンダイナムコエンターテインメントのゲームおよびメディアミックス作品「アイドルマスター(通称アイマス)」シリーズのプレイヤー(プロデューサー)のことである。2025年12月13日は、2005年から始まったアイマスの20周年記念合同ライブMasters of Idol World(通称MOIW;モイウ)の初日開催日で、偶然にも今回のトークイベントと同日だったのだ。私のポストを見たアイマスPは、MOIW開催地の京セラドーム大阪がLoft PlusOne Westから比較的近い場所にあり、私のトークイベント終了が14時だったので、16時開演のMOIWの前にマンボウトークイベントに行ったらちょうどいい時間潰しになるのではないか?と気付いた。このアイマスPの気付きから、私のトークイベント告知ポストにアイマスPが積極的に拡散協力してくれ……また私のトークイベント→MOIWと実際にイベントをハシゴしてくれる参加者が現れ始めたのである! これは全くの想定外で、非常に嬉しい出来事であった。私も拡散協力してくれる人達や興味を持ってくれる人達がいるのなら会場満席を目指したいと思い、イベントの告知ポストを継続して何度も行った。そして最終的に、会場席MAX92席中70席が埋まることになったのである! さすがに満員には届かなかったものの、76%の席が埋まり、予想以上に多くの方に参加して頂けた。今回のイベントの告知ポストに拡散協力して下さった皆様、会場・配信に参加して下さった皆様に改めて大きな感謝とお礼を申し上げたい。アイマスP愛してるぜ!!
イベント当日も日中は天気に恵まれ、良い晴れ空だった。

会場に入ると、チュムノートさんとの配信セッティングはアズワンさんに任せ、私はグッズ頒布の準備に取り掛かった。今回はイベント関係者で会場限定のコラボグッズ(アクリルキーホルダー、ハンドタオル各2種)も作ろうという話になっていたので、私の個人グッズの横に、コラボグッズも並ぶ形となった。グッズコーナーも賑やかとなり、何だかイベントも盛り上がってきた感がある。

今回のコラボグッズは私が絵の原案を考え、チュムノートさんの知り合いであるイラストレーター・のこもさんに絵を描いて頂き、アズワンさんがグッズを発注という流れで完成した。私が考えた原案はかなりラフなものであったが、これがいきなり完成品として返って来て結構ビックリした。ウシマンボウの形態も正確に描かれ、非常に嬉しい。素晴らしい絵を描いて頂いたのこもさんに改めて感謝である。私もマイマンボウコレクションに欲しいと思ったので現地で完成品を一式買わせて頂いた。

アズワンさんとチュムノートさんの配信セッティングも無事完了し、11時半の開場時間になると続々とお客さんが入って来た。私は早めに来たお客さんに自分のマンボウグッズを頒布したり、持って来たマンボウの干物を触ってもらったりした。あっという間にイベント開始時間になり、予定通り開始……と始めたところで、いきなり配信トラブルが発生! 事前のセッティングでは特に問題が無かったチュムノートさんの声が急に聞こえなくなったのだ。アズワンさんとチュムノートさんとLoft PlusOne Westさんの三者でパソコンのセッティングに奮闘している間、私はどうすることもできないので、気になっていたMOIWに行かれるアイマスPがどのくらいお客さんの中にいるのか聞いてみた。手を上げてもらったお客さんをザッと数えると30名前後。会場参加者の大体半分がアイマスPであった!
いやー、偶然MOIWと日程が被っただけなのに、私のイベントにも来てくれて本当に嬉しかった。アイドルマスターはゲームプレイヤーがキャラクター(男性キャラも女性キャラもいる)のプロデューサーとして関わり、人気アイドルへと育てていくゲームなのだが、キャラクターは非常に個性豊かで、海や魚の属性を持つキャラクターも何人かいるようだ。例えば、古論クリスは海の魅力を多くの人に広めるために海洋学者(助教)からアイドルへと転身したキャラクター。浅利七海は魚の魅力を多くの人に届けるためにアイドルになった中学生キャラクター。キャラクターは架空の存在だが、そのキャラクターのプロデューサーになったことで、今回のマンボウイベントにも興味を持って参加してくれた人達がいた事は、ある意味キャラクターの想いをリアルで体現していると言える。キャラクターの持つ魅力や影響力は侮れないなと私は感じた。ちなみに、アイマスの世界にもマンボウはいるようで、ゲーム内では明確な言及はされていないものの、久川凪のMV(キャラ固有曲「14平米にスーベニア」など)に「捕食されるマンボウ」と固有名詞を与えられたネコに咥えられて泣いているマンボウが登場する(かなりデフォルメされているため、「捕食されるマンボウ」の種同定は難しい……)。

お客さんとアイマスについて話をしていると、チュムノートさんの声が戻って来たので、10分くらいの配信トラブルはあったが、本格的に今回のメインであるウシマンボウの話に入った。私が話した内容は、日本におけるウシマンボウの発見から学名を特定するまでの流れは広島大学の3人の大学院生が関わった研究継承の賜物であること、DNA解析→形態の順でウシマンボウの詳細が明らかにされていったこと、ウシマンボウの日本近海での発見は2005年でアイマスが始まった年と同じ20年前であること(つまり日本産ウシマンボウ発見20周年)、ウシマンボウの標準和名提唱は15年前(イベント時)の2010年で学名が特定されたのは2017年であること、ウシマンボウのタイプ標本と学名のシノニムを巡るバトルが論文上で行われていたこと、ウシマンボウの鱗は上から見ると線状でマンボウやカクレマンボウと形状が異なること、ウシマンボウはマンボウ科の中で最も大きくなり世界最重量硬骨魚としてギネス世界記録に認定されていること、ウシマンボウはマンボウより暖かい水温を好むこと、ある程度大きくなったウシマンボウの体表模様はナチュラルマーキングとして使え水中写真から少なくとも7年は自然下で生きていることが確認されたこと……などである。
今回もイベント独自のハッシュタグを決めており、イベント冒頭でお客さんに紹介した。X上で「#ウシマンボウ祭2025」または「#ウシマンボウ祭り2025」で検索すると、イベント時の様子を垣間見ることができるので、気になった方は是非見てみてほしい。今回、チュムノートさんは「シノニム(1種の生物に付けられた2つ以上の重複した学名)」という専門用語を知って、新しい歌のインスピレーションが浮かんだようだった。果たして未来ではシノニムを歌詞に盛り込んだ歌が出来ているのだろうか……?
会場で一番盛り上がった場面は、私がウシマンボウのタイプ標本と学名のシノニムを巡って、論文上で海外の研究者とバトルを繰り広げていたという話をした時だった。この話の詳細は過去の記事に書いているので、「ウシマンボウの学名が揺らいでいる話」と「【2023年新論文】ウシマンボウの学名に向けられた疑義に反論!!」を読んで欲しい。
かいつまんで端的に言うと、私がウシマンボウの学名を特定した論文を2018年に出版した後、海外研究者が疑義を唱える論文を2022年に出版し、その論文に対して私が2023年にさらに反論した論文を出版し……その後海外研究者からのさらなる反論は来ていないという話である。論文上の論争は他の研究でもよくあることで、直接会合したら殴り合いの喧嘩になるかもしれないが(実際学会で喧嘩になることもあるらしい)、研究者は紙の上でデータと説得力を叩き付け知力で殴り合うのが暗黙の流儀である。会場でこの話に関する私の考察に同意するか否かをお客さんに聞いて挙手してもらったところ、極少数同意しないという意見もあった。いつか詳しく解説する必要があるのかもしれない……。

今回はトークショーの復習として、一通り話し終わった後、話した内容に関する三択クイズを10問用意していた。お客さんには事前に話をしていなかったので、完全なる抜き打ちテストである。クイズはスクリーンに映ったQRコードをスマホで読み取って頂き、3つの選択肢で答えて頂いた。全問正解者にはそれなりに豪華な景品を5名分用意していた。そして、クイズ全問正解者は……なんと3名も! 景品の残り2つは全員で勝ち残りジャンケンにしようという流れになり、私に勝ち続けた1人がさらに景品ゲット。最後も同様に私主導でジャンケンをしたが、4人に絞られたのでお客さん同士でジャンケンをして頂き、見事さらに1名の勝者に景品をゲットして頂いた。皆楽しそうだったので、クイズは導入して良かったと思っている。
今回のトークショーは前回の反省点を踏まえ、マイクを手に持って話すことで会場の奥にいる人まで話している声を届けられたと思う(気が付けばマイクが口から離れていたことも多々あったが)。また、今回は前回よりプレゼンの枚数を減らしたことにより、クイズの後に質疑応答の時間も15分ほど取ることができた。ありがたいことに次々に質問をして頂けたので、お客さんとちょっとした交流もできたように思う。簡単にしかメモを取っていなかったので、どういう質問をされたのか記憶はやや曖昧だが、10名から以下のような質問を頂いた。
★ウシマンボウは北半球→南半球、南半球→北半球へと大きな移動をするのか?
★漁師はどうやってウシマンボウを漁獲していたのか? マレーシアでスキューバーダイビングをした時にマンボウを見たのだが、その個体はウシマンボウの可能性が高いか?
★マンボウ属の稚魚を形態的に見分けられる技術は開発できないか?
★マンボウは食べるとどんな味がするのか?
★マンボウ類の化石はどんなものがあり、大きさはどのくらいか?
★ウシマンボウは大型個体ほど北方に出現するというが、魚類は一般的に外温性動物なので、実際は逆ベルクマンの法則(暖かい地域にいる個体ほど大型化する現象)が働いているのではないか?
★水温上昇などの環境の変化をマンボウ類は受けているのか?
★昔の漁村の子供はマンボウの軟骨ボールで遊んだというが、他にマンボウの体を道具などに使った事例はあるか?
★ウシマンボウを陸まで運ぶのに、何トンの運搬リフトを使い、またどのくらい運搬費用がかかったのか?
★マンボウは何の料理にして食べるのが美味しいのか?
マグロの研究者、建設業、漁師などなど、いろんな業種の方から質問を頂き、非常に有意義な時間であった。やはり質疑応答の時間は確保すべきだなと感じた。
今回の反省点としては、ポインターを出して図の説明ができなかったので、分かり辛いところがあったかもしれないなと思った。パワーポイントの設定で確か出せたはずなので、事前に確認しておく必要がある。また、今回も配信視聴者のコメントをほとんど見られなかったので、会場の舞台にあるモニターの方に座るなど何か考える必要があるなと思った。今回日程が合わなかったという方もX上でちらほら見掛けたので、また次回タイミングが合えばイベントに参加して頂けたら嬉しい限りである。
今回もお客さんに呼び掛け、私が持参したルーズリーフに、任意でマンボウの絵を描いて欲しいとお願いをした。結果43人もの人がマンボウの絵や今回のイベントの感想を書いてくれた。家に帰った後に見て楽しませて頂いた。お客さんから頂いたものは宝物だ。こういう事ができるのも会場の醍醐味である。今回もイベントは大成功だったと私は自負している! また2026年もイベントをやりたいところである。

余談となるが、せっかくアイマスPがたくさんイベントに参加してくれたので、私もその熱を感じたいと思い、アズワンさんと解散した後に、Loft PlusOne WestからMOIWが行われる京セラドーム大阪に一人歩いて行ってみた。

会場の周囲を歩いただけで結構人がおり、思わず万博最終日の人込み状態を思い出した。日本産ウシマンボウ発見20周年(和名命名15周年)とアイマス誕生20周年、偶然が重なって盛り上がった今回のイベントは……私がアイマスから一方的に恩恵を受けただけのような気もするが……非常に楽しかった。もしかしたらこの縁もアイマスのアイドル達がリアルに体現し、プロデューサーのために引き寄せたものだったのかもしれない……?
後日談として、私のトークイベントが終わった後、一部のお客さんはそのままマンボウ料理が食べられる居酒屋「まんぼう家」に足を運んだり(店長からお礼の連絡が来た)、海遊館に行ってマンボウを見たりしてくれたようだ。非常に嬉しい話である。近場にマンボウを飼っている水族館があったり、マンボウを食べられる店があることも大阪会場の良さである。実は私もMOIW経由でトークイベントに参加して下さった漁師の方と共同研究を始めており、今回のイベント熱はまだまだ続いていきそうだ。今後ある程度データが蓄積されたら、また何かしらの機会に発表したいと思う。
ウシマンボウ
アイドルマスター
20年
一日限定
不思議な縁