LINE公式アカウントから最新記事の情報を受け取ろう!

CONTENTS
山口県下関市と言えば、フグ(ふく)が有名である。何故有名なのかと言うと、下関はフグ類の集積地であり、昔から伝統的に食べる文化があったためだ。そんなフグが名産の場所にある水族館が、下関市立しものせき水族館「海響館」である。海響館は下関にある特色を活かし、フグ類の展示種数世界一を謳っている。海響館のホームページを見ると、約100種のフグ類を展示していると書かれているが(日本にいない海外産の種も含めて)……ちょっとアバウトな数で詳細な展示種数は海響館も把握していない感じがする。マンボウもフグ目魚類に属するため、マンボウ研究者としては、どんな種類のフグが海響館で見られるのかは気になるところだ。ならば、現地で何種のフグ類がいるのか実際に数えてみよう! そう思い立った私は、2024年8月24日、令和6年度特別企画展コラボ企画サイエンスカフェ「シツモン マンボウ ナンモン」のイベントを行う前に海響館内を歩いて回って、実際に飼育されているフグ目魚類の種数を調査してみた。今回はその結果をお伝えしよう(撮影した種をすべて掲載したので今回は写真が多い)。
調査方法は、2024年8月24日に展示されていた海響館のフグ目魚類について、展示パネルと展示水槽を見比べて水槽の中にいるものを1種として写真を撮りカウントした(複数の水槽に同種がいた場合は適当な1つの水槽の種を撮影;剥製や液浸標本、バックヤードで飼育されている種はノーカウント)。展示パネルには表示されていても、水槽にその種が見付けられなかった場合はカウントしなかった(単に私が見付けられなかっただけかもしれない)。なお、私はマンボウ以外の魚類はあまり詳しくないので、模様がよく似ている近縁種を間違えて撮影している可能性は大いにある(生きている個体を撮影しているため、写真がブレているのはご了承願いたい)。もし記事を見て種の間違いを発見したら私に教えてくれると嬉しい。また、本村(2024)によると、ナガレモヨウフグとタスジフグは、双方ともモヨウフグとワモンフグの交雑個体(雑種)で、種として確立している可能性は低いとされているため、本調査でも種としてカウントしなかった。
海響館は入館すると、右手に行く道と左手に行く道に大きく分かれる。魚類がいるコーナーは左手の方である。大体順路順に撮影していったため、以下の写真が出てくる番号の順に各種のフグ類を見ることができる。今回入館して一番最初に出会ったフグ目魚類はアマミホシゾラフグ(フグ科)の稚魚であった。暗がりのスロープエスカレーターで4階へ行き、遭遇した2種目はクサフグ(フグ科)。3種目はシマフグ(フグ科)。4種目は水槽のパネルには載っていないのに入っていたウスバハギ(カワハギ科)。5種目は海外産のロングスパインバーフィッシュ(ハリセンボン科)。6種目はメイタイシガキフグ(ハリセンボン科)。7種目はトラフグ(フグ科)。8種目は海外産のピーターズトビー(フグ科)。9種目はコンゴウフグ(ハコフグ科)の稚魚。10種目は海外産のホワイトバードボックスフィッシュ(イトマキフグ科)。

11種目は海外産のショーズカウフィッシュ(イトマキフグ科)。12種目は海外産のモザイクレザージャケット(カワハギ科)。13種目は海外産のウエスタンスムースボックスフィッシュ(イトマキフグ科)。14種目は海外産のイースタンスムースボックスフィッシュ(イトマキフグ科)。15種目は海外産のAcanthaluteres属の1種(カワハギ科)。ん? 属レベルの表記? 気になって職員の方に聞いたところ、海響館としては初展示種であるが、海外産の種で情報が少なく、同定は種レベルまではまだ落とし込めていないとのことだった。16種目は海外産のオーネイトカウフィッシュ(イトマキフグ科)。17種目は海外産のガンズレザージャケット(カワハギ科)。18種目はイシガキフグ(ハリセンボン科)。19種目はアカモンガラ(モンガラカワハギ科)。20種目はモヨウフグ(フグ科)。別種と判断されるほどややこしい交雑個体を生み出す魚だ。

21種目はハリセンボン(ハリセンボン科)。22種目はキヘリモンガラ(モンガラカワハギ科)。23種目はカワハギ(カワハギ科)。24種目はハコフグ(ハコフグ科)。25種目はギマ(ギマ科)。26種目はヒゲハギ(カワハギ科)。27種目はシマウミスズメ(ハコフグ科)。28種目はアカメフグ(フグ科)。29種目はコモンフグ(フグ科)。30種目はショウサイフグ(フグ科)。

31種目はヒガンフグ(フグ科)。32種目はマンボウ(マンボウ科)。33種目はラクダハコフグ(ハコフグ科)。34種目は海外産のアイランドカウフィッシュ(ハコフグ科)。35種目はムラサメモンガラ(モンガラカワハギ科)。36種目はツマジロモンガラ(モンガラカワハギ科)。37種目は海外産のブルースポッテッドトリガーフィッシュ(モンガラカワハギ科)。38種目は海外産のストライプドバーフィッシュ(ハリセンボン科)。39種目はコクテンフグ(フグ科)。40種目は海外産のピカソトリガーフィッシュ(モンガラカワハギ科)。

41種目はテングハコフグ(ハコフグ科)。42種目はワモンフグ(フグ科)。別種と判断されるほどややこしい交雑個体を生み出す魚だ。43種目はサザナミフグ(フグ科)。44種目はミゾレフグ(フグ科)。45種目はクロモンガラ(モンガラカワハギ科)。46種目は海外産のブライドルバーフィッシュ(ハリセンボン科)。47種目は海外産のハニーコウムカウフィッシュ(ハコフグ科)。48種目は海外産のスクロールドカウフィッシュ(ハコフグ科)。49種目はタスキモンガラ(モンガラカワハギ科)。50種目はホシモンガラ(モンガラカワハギ科)。

51種目はイトマキフグ(イトマキフグ科)。52種目は海外産のサザングローブフィッシュ(ハリセンボン科)。53種目は海外産のポーキュパインフィッシュ(ハリセンボン科)。54種目はゴマモンガラ(モンガラカワハギ科)。55種目はカスミフグ(フグ科)。56種目は海外産のバッファロートランクフィッシュ(ハコフグ科)。57種目はハクセイハギ(カワハギ科)。58種目はインディアントリガーフィッシュ(モンガラカワハギ科)。59種目はメガネハギ(モンガラカワハギ科)。60種目はミナミハコフグ(ハコフグ科)。

61種目はニシキカワハギ(カワハギ科)。62種目は水槽のパネルには載っていないのに入っていたハナツノハギ(カワハギ科)。63種目は水槽のパネルには載っていないのに入っていたシッポウフグ(フグ科)。分類学的再検討が行われており、今後名前が変わる可能性がある。64種目はノコギリハギ(カワハギ科)。65種目は海外産のフリンジファイルフィッシュ(カワハギ科)。この種は他種との識別が難しかったので、もしかしたら写真が他の種と間違っているかもしれない。66種目はフチドリカワハギ(カワハギ科)。67種目は水槽のパネルには載っていないのに入っていた海外産のレティキュレイトボックスフィッシュ(ハコフグ科)。68種目は海外産のマミズフグ(フグ科)。和名はあるが日本には分布していない。69種目はオキナワフグ(フグ科)。70種目はスジモヨウフグ(フグ科)。

71種目は海外産のミドリフグ(フグ科)。和名はあるが日本には分布していない。72種目は海外産の南米淡水フグ(フグ科)。和名というより通称名だと思われるが、この呼び名で他種と識別されているようだ。73種目は海外産のパオアベイ(フグ科)。学名がそのまま通称名になっている。74種目は海外産のインドシナレオパードパファー(フグ科)。75種目は海外産のゴールデンパファー(フグ科)。パネルにはマンボウに似た体型と書かれていた。うーむ……。76種目は海外産のパオスバッティー(フグ科)。学名がそのまま通称名になっている。77種目は海外産のアベニーパファー(フグ科)。フグ目の中で世界最小の種。78種目は海外産のテトラオドンムブ(フグ科)。学名がそのまま通称名になっている。79種目は海外産のテトラオドンリネアートゥス(フグ科)。学名がそのまま通称名になっている。80種目はヒトヅラハリセンボン(ハリセンボン科)。81種目はネズミフグ(ハリセンボン科)。82種目はアミメハギ(カワハギ科)。

以上が私が現地で確認できたフグ目魚類である。多分全エリアを見て回ったはずなので見逃している水槽は無かったと思うのだが……100種には達していなかった。もしかしたら死亡したりして、従来より種数が減ってしまっていたのかもしれない。しかしながら、フグ目魚類82種は確実にいたので、フグ好きな方はじっくり見て楽しめることと思う。
本村(2024)によると、日本産フグ目魚類は全141種(ベニカワムキ科8種+ギマ科1種+モンガラカワハギ科24種+カワハギ科33種+イトマキフグ科2種+ハコフグ科9種+ウチワフグ科1種+フグ科52種+ハリセンボン科7種+マンボウ科4種)である。このうち、海響館で確認できた日本産フグ目魚類は49種(ギマ科1種+モンガラカワハギ科9種+カワハギ科9種+イトマキフグ科1種+ハコフグ科6種+フグ科17種+ハリセンボン科5種+マンボウ科1種)なので、日本産フグ目魚類全種のうち35%をカバーしていることになる。こう考えるとまだまだ日本産フグ目魚類を収集して展示する余地はありそうだ。一方、日本には分布しない海外産のフグ目魚類は33種も見ることができるので、これはお得感がある!
ちなみに、展示パネルには表示されていたが、私が水槽で確認できなかったフグ目魚類は5種(アミメウマヅラハギ、テングカワハギ、ホシフグ、ケショウフグ、キタマクラ)あった(すべて日本産)。これら5種を加えると、海響館には全87種のフグ目魚類がいたことになる。これらすべての情報をまとめると、「2024年8月24日時点の海響館におけるフグ目魚類リスト」は以下のようになる。

玄人向けだが、特定の分類群に絞って、パネルに表記があり水槽に実際にいる種、パネルに表記があり水槽にいない種、パネルに表記が無いのに水槽にいる種を探すのは、水族館の楽しみ方としてなかなか面白いかもしれない。ちなみに、後ほど海響館の職員の方に、水槽に入っているフグ目魚類の展示種数を聞くと、パネルに表記が無いのに水槽にいる種はもっと多く、実際のところ、2024年9月時点で全95種になるそうだ。むむむ、私もまだまだだ。難易度は高いが、私が見逃した種も是非探してみて欲しい。
最後に、海響館ではタスジフグのパネルがあり、実物も水槽で泳いでいたが、近年の知見ではタスジフグはモヨウフグとワモンフグの雑種で、種として確立している可能性は低いとされていたので、この記事では種としてカウントしなかった。海響館のホームページにもタスジフグについて詳しく解説されたページがあり、雑種なのか独立した種なのかは今後の研究でもう少し動きがありそうだ。フグ類の雑種問題は解決が難しそうだが、現時点でモヨウフグとワモンフグの雑種と思われる個体は2パターンが水槽で確認できた

また将来、海響館に行く機会があれば、今回のような飼育されているフグ目魚類の種数調査をしたいと思う(※海響館は改修工事に伴い、2025年夏ごろまで臨時休館中)。
海響館
フグ目種数
世界一
多様なフグを
見て楽しんで