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みなさんこんにちは!サイエンス妖精の彩恵りりだよ!
今回のお話は、銀河系をわずか4年で一周する恒星のお話だよ!
銀河系の中心部には超大質量ブラックホールがあるけど、それを中心として複数の恒星が公転している事が以前から知られていたよ。
今回はその中で、これまで知られている中で最短の公転周期である4年で周回し、最速8000km/sで移動する恒星S4716の発見について説明するよ!
CONTENTS
私たちが住む地球が太陽の周りを公転しているように、太陽そのものも銀河系 (天の川銀河) を公転しているよ。
私たちには特別な太陽も、銀河系の中ではありふれた恒星の1つに過ぎず、数千億個もの恒星が銀河系を構成し、公転していると言われているよね。
では、それらの恒星が公転している中心、銀河系の中心部には何があるんだろうね?それは超大質量ブラックホールだと言われているよ!
銀河系の中心は地球から見るといて座の方向にあるけど、そのいて座には非常に強い電波源であるいて座Aがあるよ。
いて座Aの中の、特に強い電波源をいて座A* (いてざエースター) と呼んでいるけど、ここには太陽の質量の400万倍以上という、非常に巨大なブラックホールが存在すると言われているんだよ!
これについてはつい先日、ブラックホールの直接の画像化という形で強力な証拠が示された[注1]件で話題になったけど、それ以前からいて座A*のステータスは具体的に研究されてきたよ。
いて座A*はブラックホールなので、本当に中心にある天体は目に見えないよ。でもそこには強力な重力場があり、その周りに天体があれば、目に見えない何かを中心に公転している事になるよ。
動いている1つ1つの点は恒星だよ。これらの恒星は何かを中心にして公転しているけど、中心部に光るものは何もないよね?正体がブラックホールであるという理由の1つはこれがあるよ!
(画像引用元: "Stars orbiting the black hole at the heart of the Milky Way". (Jul 26, 2018) ESO/MPE.)
実際、いて座A*では恒星が複数見つかっており、その移動速度と公転半径から、太陽の400万倍以上の質量を持ちながら、全く見えない天体がある事が分かっているんだよ!
これらの証拠から、いて座A*の正体は超大質量ブラックホールだと言われており、その具体的な性質を調べるためにいて座A*の観測は続けられているよ。
(画像引用元: Flickr (Autor: Smithsonian Institution / Public Domain))
恒星が移動している事を調べるには、時間をおいて何回も写真を撮ればいいんだけど、これは言うほど簡単な話じゃないよ。
銀河系の中心部は大量の物質がひしめいていて、まず観測そのものが難しく、強力な望遠鏡なしには観測不能だよ。
また何とか観測しても、その画像はすりガラスを通したかのようにぼやけていて、1個1個の恒星はぼんやりとしか見えず、暗い恒星はそもそも見えづらいよ。
そして、いて座A*を公転する恒星は数多くあるけど、その中でも特にS2という恒星が邪魔をするよ。S2は他の恒星と比べても極めて明るく、他の恒星の光を隠してしまうんだよ。
これらの課題が山積している事から、銀河中心部にある恒星の正確な数や軌道は不明で、これがいて座A*のステータスの不確かさの原因にもなっていたよ。
ケルン大学、マックスプランク電波天文学研究所、マサリク大学の合同研究チームは、これら極めて難しい観測に取り組んだよ。
研究では、超大型望遠鏡VLTのSINFONIおよびNACO、ケックII望遠鏡のNIRC2およびOSIRISと言う名前の近赤外線分光器のデータを使用したよ。
データの長さは、2003年から2020年までの約20年分という膨大な観測データだよ!
前章で書いたように、そのまま観測データを見ても、そのデータは非常にぼやけていて、特定の恒星を識別するのを難しくするよ。
そこで、単に観測データをそのまま出力するだけでなく、2つのアルゴリズムを長所短所に応じて使い分け、データに補正をかけたよ。
これにより、特にS2の存在に隠れてよく見えなかった、多数の淡い光の観測に成功したんだよ!
その結果、これまでの観測で見つかっているいくつかの恒星に加えて、今回の観測で新たに3個の恒星が見つかったよ!
これらの恒星はS148、S4711、S4716と命名されたけど、特にその中でもS4716は非常に興味深いよ!
S4716は、ブラックホールとの平均距離が約402au (約603億km) と極めて近く、わずか4.02年の周期で公転していると考えられているよ。
この公転周期は、これまでいて座A*の周辺で見つかっている恒星の中で最短だよ!ある意味で、太陽系なら2億年以上かかる銀河系一周に4年しかかからないとも言えるよ!
更に、S4716の軌道はかなりの楕円で、ブラックホールに最も近づく時には98au (約148億km) という距離になるよ。
ブラックホールに近づくほど移動速度は速くなり、最も近づく時には8000km/sというとんでもない速度で運動していると考えられるよ!
太陽の周りを回る地球は30km/s、太陽系の移動速度は220km/sである事を考えると、想像もつかないくらいとんでもない速度だよね!
8000km/sという速度は、天体の移動速度としては知られている中で最も速い値の1つ[注2]だよ!
S4716は矢印で示した丸囲みの中にあるけど、これがないと他と区別するのはむりだよね?
(画像引用元: 原著論文, Figure 10.)
S4716の観測は、複数の困難があることから、これまで見逃されてきたと考えられているよ。
まず、いて座A*からあまりに近く、一方でS4716の視等級が17等級と暗い事から、周りの光に隠されてしまい、恒星なのか、それともノイズなのかがはっきりと分からなかったよ。
また、近くにある様々な恒星が、様々な理由でS4716の存在を隠していた事も今回分かったよ。
S4716は他の恒星の存在で長年天文学者の目を逃れてきたよ!
(画像引用元: 原著論文, Figure 21.)
2004年、2011年、2012年には、過去のデータの中にS4716が存在していたものの、これはS62という別の恒星と誤認されていたよ。
2016年にはS2の光がS4716の光を隠していたよ。そして2017年には、今回発見されたS148がS4716と見かけの位置が重なっていて、観測データも重なっていたよ。
これらの問題を乗り越え、S4716のデータのみを分離し、正確な軌道データを抽出する事ができたんだよ!
さて、S4716はかなり特異な天体で、中々インパクトはあるものの、これを発見した事は何がスゴいのかな?
何かの天体を中心として公転する天体は、ケプラーの第三法則[注3]により、中心とする天体の質量と、公転半径の平均距離で公転周期が決まるよ。
だから、多数の恒星の運動を測定できれば、中心にあるいて座A*の質量をより正確に推定する事が可能だね。
S4716は公転周期が短いので、より観測誤差による不確かさを狭める事ができるし、繰り返しの観測に適しているね。
実際、今回のS4716の公転軌道を使うと、いて座A*の超大質量ブラックホールの質量は太陽の約402万3000倍 ((4.023±0.087)×106M☉) となり、これまでの推定結果と2%以内の精度で一致するよ。
また、S4716のような極端な軌道の性質を持つ恒星がある事自体が、恒星や銀河の形成に関する1つの貴重なデータとなるよ。
ブラックホールに極端に近いと重力が強すぎるために、いくら物質があっても恒星などを作る事ができないと考えられているよ。
すると、S4716などいて座A*を公転する恒星は、どこか別の場所で作られた後、恒星同士が近づきすぎて片方の軌道が変わるなどして、今の軌道に落ち込んだという事になるよ。
周回している恒星の数や軌道の安定性のシミュレーションから、どのような環境で恒星が生まれ、そして軌道が外れたのかを推定する事で、銀河中心部の物質密度を推定する材料になるんだよ。
S4716の軌道の性質は極端だけど、このような恒星が他にもあるかもしれないから、観測を続ける事で、これらのより詳細な性質がはっきりすると思うんだよ!
ただし、いて座A*よりも前、2019年に発表されたM87の超大質量ブラックホールも、同じ手法で同じような画像が提出されたけど、このM87に対して異なる解析結果を発表する論文も掲載されているよ。
[注2] 天体の移動速度としては知られている中で最も速い値の1つ
2019年に見つかったS5-HVS1という恒星は、恐らくいて座A*との相互作用で飛び出し、銀河系の重力を振り切って飛び出していて、重力に縛られていない恒星としては最高速度だよ。これでも速度は1755km/sだよ。
[注3] ケプラーの第三法則
ヨハネス・ケプラーが1619年に発表した運動法則。「惑星の公転周期の2乗は軌道長半径 (平均公転半径) の3乗に比例する」というものだよ。オリジナルは惑星となっているけど、任意の天体に当てはまるよ。調和の法則とも呼ばれているよ。
[原著論文]
[参考文献]