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みなさんこんにちは!サイエンス妖精の彩恵りりだよ!
今回の解説は、太陽が地球の水の供給源だったかもしれないという研究結果だよ!
太陽はエネルギーだけでなく、水ももたらしていたかもしれないというのは驚きだね!加えてこの研究は、有名なはやぶさが持ち帰ったイトカワのサンプルを分析する事で判明した事だよ!
この分析結果によれば、地球の水の最大半分は太陽が由来という事になるよ!
CONTENTS
約46億年前の地球に無数の天体が衝突している様子の想像図だよ。地球は小さな天体が衝突と合体を繰り返して形成され、その最終段階の、表面が冷えて固まった頃に衝突した天体が、現在地球にある水の源と考えられているよ。
生命を宿す (今のところ) 唯一の星の地球では、生命の存在を維持するものとしての水の存在は欠かせないよね?
表面の7割を液体の水が覆っているのは、生命の誕生と保持のためのゆりかごとして、とても大事なものではあるんだけど、同時にこの豊富な水がどこからやってきたのか、という点は地球惑星科学における長年の謎だよ。
地球は今から約46億年前に、たくさんの小さな天体の衝突で誕生したと言われているよ。
誕生直後の地球は極めて高温で、表面から水は宇宙空間へと蒸発したと考えられているから、今現在まで残る水は、地球が作られる最終段階の、表面が冷えて固まったころに衝突した天体が持っていたものに由来する、と考えられていて、最も有力視されている説だよ。
ところがこの説は、分かりやすくてすっきりするものではあるけど、全ての疑問には答えていないという問題があったよ。
水はとても蒸発しやすい物質だから、作られてから地球に衝突するまでに高温に晒された天体では宇宙空間に逃げてしまい、枯渇するものと考えられるよ。
逆に水を保持するような、高温に晒された事のない天体は、蒸発や分解しやすい有機物が残っているから、水が豊富な天体は、同時に炭素も豊富と言う共通点があるよ。
だから今までの研究では、水や有機物が豊富な天体、C型と呼ばれる小惑星や彗星と言った天体が地球の水の供給源だと考えられてきたよ。
ところが、様々な隕石やサンプルリターンされた天体のかけらを分析し、水の同位体比を調べてみると、その全てを説明しきれない事が分かってきたよ。
ちょっとおさらいすると、原子の中心部には原子核があって、陽子の数が一緒でも中性子の数が違うもの同士を同位体と言うよね。
様々な物質に含まれる同位体の比率は、中性子の分だけ原子にわずかな重さの違いがある事から、物理的・化学的な動きやすさがほんの少しだけ異なっていて、結果として物質が作られた環境によって比率も変わるという性質があるよ。
地球の水の同位体比と、C型小惑星や彗星の同位体比を比較してみると、重い水素の割合が地球の水ではより低いという事が分かっているよ。
このずれがある事で、C型小惑星や彗星が地球の水のメインの供給源だとしても、全てを説明する事はできないと考えられ、他の供給源が必要になってくるよ。
ところがそれを説明できるほどの豊富に水を持っている天体が今まで見つかっていなかったから、これは困ったなぁという感じになっていたんだよ。
いや、今まで見つからなかったというのはちょっと言いすぎだね、今回のグラスゴー大学などの研究チームが述べたように、実は分かりやすいところに水の供給源と考えられる候補が転がっているんだよ。
それは太陽だよ。
太陽は巨大な水素の塊だから、これが水の供給源だと考える事はあまり無理のない考えだよね。
でもそうなると、次はどうやって水素から水となり、太陽から地球へとやってきたのかが問題になってくるね。太陽が水の供給源だとする説は、ここがネックだったよ。
これを解決する手掛かりとなったのが、JAXAの小惑星探査機はやぶさが持ち帰った小惑星イトカワのサンプルだよ!
イトカワはS型小惑星と言う、ケイ酸塩鉱物に富む岩石だらけの小惑星だよ。
もちろん、見た目に水分に乏しいものではあるけど、今回の分析ではどうも単純なイメージ通りではない事が判明したよ。
共同研究を行ったカーティン大学のアトムプローブトモグラフィーでは、イトカワの粒子を破壊する事なく内部構造を観れるよ。
しかも、カーティン大学の分析装置はとても優れていて、ナノスケールという細かさで分析をする事ができるよ。
今回はイトカワのサンプルの中で、橄欖石 (ケイ酸マグネシウムの鉱物) の粒子を分析したよ。
すると、橄欖石の結晶表面、ほんの50nm (コピー用紙の1400分の1くらい!) という小さな領域に、水とヒドロキシ基が平均1mol%の濃度で含まれている事が分かったんだよ!
これをスケールアップすると、イトカワを構成する岩石には、岩石1000リットルあたり水が20リットルという、予想以上に豊富な水が含まれていると言い換える事ができるんだよ!
太陽から放出される高エネルギーの水素イオンが、岩石主体の小惑星を構成するケイ酸塩鉱物と衝突し、ケイ酸塩に含まれる酸素と反応する事で、水やヒドロキシ基が生成されるよ!
では、橄欖石に含まれる水はどうやって生成されたのかな?
月など、大気などに保護されていない天体において、宇宙空間にケイ酸塩鉱物が存在するという環境を再現して、水素イオンをケイ酸塩鉱物の粒に照射する実験が行われた事があるよ。
すると、イトカワの粒子のような、鉱物表面に水が含まれる状態を再現する事ができたんだよ!
この事から、太陽風に含まれる水素イオンと、岩石を構成するケイ酸塩鉱物の反応で水が生成される、と考えられるんだよ。
ケイ素原子と酸素原子が共有結合でくっついたケイ酸塩はとても頑丈な化学結合だけど、太陽風に乗った水素イオンは高エネルギーだから、このケイ酸塩の結合を切る事ができるよ。
そして太陽風の水素イオンとケイ酸塩に含まれる酸素が反応して、水やヒドロキシ基が生成される、と考えられるよ!
今回の研究では、一見すると水のなさそうな岩でも、水を十分に含みうるという事が分かったんだよ。
太陽から来る水素は軽い水素が多いから、これが地球の水に混ざる事で、C型小惑星や彗星では説明しきれない軽い成分の供給源になったと考えられるんだよ。
地球にやってくる小惑星のサイズはキロスケールを超えるものから、マイクロスケールの宇宙塵まで様々で、小さい塵でも積もればかなりの量になる事が分かっているよ。
今回の研究の数値から計算すると、最大で地球の水の半分は太陽由来という事になるんだよ!かなりの割合だね!
この研究結果は、星間塵のような銀河全体に薄く広く分布しているけど、今まで乾燥しているだろうと無視されてきた物質にも、実は豊富に水が含まれている可能性を提示しているよ。
また宇宙開発においても、一見すると不毛な岩石からも水を抽出するという、解決しがたい水の供給源の問題を解決する事ができるかもしれないという夢のある可能性を提示するんだよ!
[原著論文]
○Luke Daly, Martin R. Lee, Lydia J. Hallis, Hope A. Ishii, John P. Bradley, Phillip. A. Bland, David W. Saxey, Denis Fougerouse, William D. A. Rickard, Lucy V. Forman, Nicholas E. Timms, Fred Jourdan, Steven M. Reddy, Tobias Salge, Zakaria Quadir, Evangelos Christou, Morgan A. Cox, Jeffrey A. Aguiar, Khalid Hattar, Anthony Monterrosa, Lindsay P. Keller, Roy Christoffersen, Catherine A. Dukes, Mark J. Loeffler & Michelle S. Thompson. "Solar wind contributions to Earth’s oceans". Nature Astronomy, 2021. DOI: 10.1038/s41550-021-01487-w
[参考文献]
○Lucien Wilkinson & Vanessa Beasley. (Nov 30, 2021) "Study suggests Sun is likely an unaccounted source of the Earth’s water". Curtin University.
○A. S. Ichimura, A. P. Zent, R. C. Quinn, M. R. Sanchez & L. A. Taylor. "Hydroxyl (OH) production on airless planetary bodies: Evidence from H+/D+ ion-beam experiments". Earth and Planetary Science Letters, 2012; 345-348, 90-94. DOI: 10.1016/j.epsl.2012.06.027
○Abu Asaduzzaman, Krishna Muralidharan & Jibamitra Ganguly. "Incorporation of water into olivine during nebular condensation: Insights from density functional theory and thermodynamics, and implications for phyllosilicate formation and terrestrial water inventory". Meteoritics & Planetary Science, 2015; 50 (4) 578-589. DOI: 10.1111/maps.12409
○Lydia J. Hallis, Gary R. Huss, Kazuhide Nagashima, G. Jeffrey Taylor, Sæmundur A. Halldórsson, David R. Hilton, Michael J. Mottl & Karen J. Meech. "Evidence for primordial water in Earth’s deep mantle". Science, 2015; 350 (6262) 795-797. DOI: 10.1126/science.aac4834
○Yusuke Nakauchi, Masanao Abe, Makiko Ohtake, Toru Matsumoto, Akira Tsuchiyama, Kohei Kitazato, Keisuke Yasuda, Kohtaku Suzuki & Yoshinori Nakata. "The formation of H2O and Si-OH by H+2 irradiation in major minerals of carbonaceous chondrites". Icarus, 2021; 355, 114140. DOI: 10.1016/j.icarus.2020.114140