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みなさんこんにちは! サイエンスライターな妖精の時々VTuber彩恵りりだよ!
今回のお話は、初期生命の進化に関する研究! 生命は最初は自力で生きることはできず、環境に依存して生きていたと言われているんだけど、では自力で生きていく進化は、生命の歴史で何回あったのかな?
これまでは漠然と1回だと思われていたんだけど、今回の研究により、どうやら生命の2つの重要な系統で独立して発生した可能性があることが分かったよ! 遺伝情報を担う物質の自力合成は1回のみっぽいけど、自力で生きられる進化はどうやら2回発生したらしいんだよね。
地球に誕生したばかりの初期の生命のことはほとんどわかっておらず、今回の研究はその謎に迫るものなのよね。初期生命の進化の仕方を知ることは、進化の系統樹の末端にいる私たちにも直接影響することだから、結構重要なものになるよ!
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地球には生命が満ち溢れているけど、では生命はどのように誕生したのかな? 明らかに、誕生したばかりの地球に生命はおらず、単純な物質から複雑な生命が生まれる一連の過程があったわけだよね? この、生命誕生の一連の流れは、生物学における最大の謎の1つであることは間違いないだろうね。
ところで、そもそも「生命」って何なのだろう? これに答えるのはちょっと難しいのよね。一般的には、生命とは「自分と外側を区別する仕切りを持つ」「環境に適応する」「成長や自己複製を行う」の3つの性質を持つとよく言われるんだけど、定義としては不十分かもしれないのよね。
というのは、通常の文脈では生命扱いされないウイルスも、ほぼ似たような性質を持つからなのよね。もちろん、仕切りの構造が違ったり、自己複製といってもその増え方が細胞とは大きく違ったりするなど、完全にイコールとは言えないんだけど、それでもある程度共通点があると言えるのよね。
もっと大きな違いを挙げるなら、それは「代謝」になるよ。代謝とは、生命の体内で行われる複雑な化学反応のことで、外部から取り込んだエネルギーや物質を使って、別の物質を生産・分解したり、エネルギーを生産する機能のことだよ。これは生命は持ち、ウイルスは持っていない機能になるからね。
代謝は非常に多くのステップを挟む複雑な化学反応だけど、この制御には「酵素」と呼ばれるタンパク質の存在も欠かせないよ。化学反応の中には、その反応を手助けする「触媒」があることで進みやすくなるものがあるんだけど、酵素は生命が持つ有機的な触媒なのよね。
地球に誕生した最初の生命は、水、水素、二酸化炭素、アンモニア、硫化水素、無機リン酸を材料に代謝を行い、アミノ酸、核酸塩基、補因子を合成したと考えられているんだけど、この少ない代謝だけでも約400種類もの化学反応を挟んでいたと考えられているのよ!
ただ、ここで1つ問題があるのよね。酵素はとても複雑な分子で、とても自然に生成したとは思えない。なので酵素は生命が作り出したと考えられるんだけど、酵素を作るにも代謝が必要。「代謝は酵素がないと成り立たないのに、酵素は代謝がないと作れない」と、まさに鶏が先か卵が先か状態なのよね。
この問題について、このような解決策が考えられているのよ。酵素の持つ触媒の機能は、自然界にあふれている金属でも持っている機能なのよね。なので地球最初の生命は、自分では持たない外部からの金属を利用し、その触媒機能で代謝の化学反応を代替していたのでは? と考えられるわけ。
もしそうならば、生命は進化の過程で酵素を発明し、初期の金属に依存しなくてもいいように段々と進化していった、というケースが考えられるわけ。金属はその場にないと使えないけど、酵素は自分で作ることができるので、最終的には金属なしでも自活できるようになるよ。
このように、環境に制約されず、自分単独でも生きていけるようになった段階を「自由生活」と呼ぶのよ。地球の生命は、進化のどこかの段階で、代謝の化学反応を自分の身体の中で自己完結させ、自由生活生物となったと考えられるのよ。
ここで、もう1つだけ基本用語を振り返るね。地球の生命は「真正細菌」「古細菌 (アーキア)」「真核生物」の3つのドメインと呼ばれる巨大なグループに大別されると考えられているのよね。私たちヒトなど、大雑把に言えば目に見える大きさ、身近な生き物の大部分は真核生物に属するのよ。
長年の研究を総合すると、現在のところ地球の生命は、たった一度だけ誕生したと考えられているのよね。これは、細胞に含まれる共通の構造を作るための遺伝情報 (リボソームRNA) を、3つのドメインにまたがる形で比較し、祖先へと辿っていくと見えてくるのよね。
遺伝情報の比較を行うと、最初に祖先が合流するのは真核生物と古細菌。近年では真核生物と古細菌は独立したドメインではなく、古細菌の中に真核生物が含まれるという考えがあるけど、いずれにしても真核生物と古細菌は、祖先が共通していたと考えられているのよ。
さらにさかのぼれば、やがて真核生物を含む古細菌は、真正細菌と合流するね。この範囲を外れる生命は見つかっていないことから、3つのドメインは祖先をたどり続けると、やがて1つの共通祖先に辿り着く、という結論が導かれるのよ。
この、知られているすべての生命が辿り着く祖先系は「LUCA (Last Universal Common Ancestor / 最終普遍的共通祖先)」と呼ばれているのよ。ただ注意しないといけないのは、LUCAは科学的な方法で辿れる最初期の生命であっても、LUCAが地球で初めて誕生した生命ではないということよ。
実際、LUCAは代謝関係の400の化学反応のうちの半分ほどに関与する酵素を持っていることがわかっているのよね。なので、地球最初の生命からそれなりに進化して、いくつかの酵素を持っているのがLUCAだということになるよ。LUCAは科学的手法で辿れる最古の生命だけど、決して最初の生命じゃないのよ。
ただ、LUCAは反応の半分しか酵素を持ってないので、残り半分をきちんと作らないと自由生活生物にはならないよね? じゃあ、生命はLUCA以降いったいいつ自由生活生物になったのか? これが割と疑問として持ち上がってくるのよね。
現在の真正細菌と古細菌は、まぁそれなりに例外もいるけど、多くが自由生活生物なのよね。自由生活生物ではないものも、元々は自由生活生物だったんじゃないかと思われているんだけど、いずれにしてもLUCA以降のどこかの段階で、真正細菌と古細菌は自由生活生物へと進化したはずなのよね。
じゃあ、こういう質問はどうだろう? LUCA以降に自由生活生物となってから、真正細菌と古細菌は枝分かれしたのか? それとも真正細菌と古細菌に枝分かれした後、自由生活生物になったのか? この順番は結構大事なのよね!
自由生活生物としての進化が枝分かれより前なら、地球の生命の歴史の中で、自由生活生物への進化は1回だけ起こったことになるね。ところが枝分かれより後なら、自由生活生物への進化は独立して2回発生したことになるよね。 これは生命の多様性を考える上でとても重要な違いになるよ。
ハインリッヒ・ハイネ大学デュッセルドルフのNatalia Mrnjavac氏を筆頭とする研究チームは、この疑問に迫る研究を行ったのよ。研究では、真正細菌と古細菌が持つ代謝に関わる酵素の構造を解析。酵素がどの順番で出現したのかを推定するとともに、LUCAの時点で持っていた酵素との比較を行ったのよ。
このような解析は、今回具体的な数が割り当てられた、426種類の化学反応を1つ1つ調べるだけじゃダメなんだよね。どれが先に出現したのかを突き止めるには、お互いの前後関係も含めて考えないといけないので、複雑に絡み合ったネットワークを紐解いていかないといけないのよ。
この解析で主要な役割を果たしたのは、カンタベリー大学のMike Steel氏と、ハインリッヒ・ハイネ大学デュッセルドルフのManon L. Schlikker氏。両氏はこの手のネットワークを数学的に解析していくことを専門としているので、どの酵素が先に出現したのかを順序付けたのよ。
その結果はかなり面白かったのよね。真正細菌と古細菌の間で、同じ役割を果たす5種類の酵素が、お互いに無関係な構造をしていたことが明らかにされたのよ! 機能は同じだけど構造は無関係ということは、真正細菌と古細菌の間で、独立してこの酵素が作られたことが示唆されるのよね。
今回の研究では、代謝に関する主要な4つの機能のうち、DNAやRNAのような遺伝情報を刻む核酸の最小単位である「ヌクレオチド」の合成に関わる酵素は、LUCAの時点で全部揃っていたことも分かったのよ。なので、遺伝情報を作る機能は真正細菌と古細菌が分かれる前に開発済みだったことになるよ。
こうしてみると、生命の誕生と進化の文脈においては、このような主張ができるのよ。少なくとも現在見つかる全ての生命を見る限りでは「遺伝情報の起源」はただ1回に絞られるけど「自由生活生物への進化の起源」はどうやら独立して2回あったらしい、となるのよね!
今回の研究はそれだけでなく、別の側面も明らかにしたのよね。先ほど書いた通り、LUCAは代謝のすべてを酵素で行っていたのではなく、半分近くを金属の触媒でやっていたらしいのよね。しかし代謝という化学反応は、そもそもエネルギーを加えないと進まないという別の課題もあるのよ。
全ての代謝が酵素で行われている生物だと、「ATP」と呼ばれるリンを含む分子をエネルギー源としているのよね。ところがこのATPは自然界には存在しないのよ。リンを含む無機の亜リン酸などは存在するけど、これはATPと比べると反応性が悪く、そのままでは代謝に使えないのよね。
研究チームは、亜リン酸を触媒する金属が、生体内におけるATPと酵素の代わりになるんじゃないかと考え、いくつかの物質を検討したよ。その結果、貴金属の1つである「パラジウム」があれば、亜リン酸から代謝に必要なエネルギーを生み出すことができるのを突き止めたのよね!
少し厳密に言えば、今回の研究はパラジウムが酵素の代わりになる可能性を突き止めただけで、LUCAのような初期の生命の生体内で、実際にパラジウムが亜リン酸の代謝に使われたことを証明しているわけじゃないのには注意しないといけないよ。
また、パラジウムは単体ではなく、鉄やニッケルの合金で存在しただろうとも考えているので、これによって触媒作用が変化するかどうかについては検討されていないのよね。この点に注しないといけないものの、貴金属のパラジウムが初期の生命を支えていたかもという可能性はかなり興味深いよ。
また、貴金属といった通り、パラジウムは天然の存在量が低いけど、パラジウムと同レベルの地殻濃度であるセレンはアミノ酸にあり、代謝に関わる酵素にも含まれている事実から、パラジウムの濃度が低いこと自体は問題ないと研究チームは考えているのよ。
そして、少しマニアックながらもユニークな点として、今回の研究結果は、酵素の代わりとなる金属触媒は主に単体の金属であるという点もあるのよ。初期生命の酵素は金属によって代替されていたという説自体は珍しくないけど、これは主に金属硫化物を焦点としているという点に違いがあるよ。
もしも初期生命が頼っていたのが金属硫化物ではなく単体の金属である場合、地球で最初に生命が誕生した現場の考察にも影響を及ぼすかもしれないのよね。その点では、少しマニアックながらもこの成果を上げておくのよ。
繰り返しになるけど、今回の研究結果は「生命の2つの系統で、それぞれ独自に、環境に依存せずに生きられるようになる進化をした」という内容になるのよ。一部では「生命の起源は2つある」みたいなニュアンスで報じているところもあるんだけど、この点は受け止め方に注意しないといけないよ。
文字通り受け取れば「地球の生命は2回誕生したのか?」となりそうだけど、その質問は「自力で生きられる段階になったら生命」という立場ならYesになるね。ただそれだと、タイミング的にはLUCAより後であり、LUCAは生命扱いされなくなるよ。ちょっと違和感があるんじゃないかな?
多分多くの人は、LUCAを生命扱いするはず。そして今回の研究では、遺伝情報を自力で合成する能力はLUCAの時点で揃っていたことも明らかにされているのよね。それを踏まえると、特に遺伝情報を基準に置くならば、地球の生命が誕生したのはただ1回ということになるはずだよ。
とはいえ、こういう風に表現を修正したからこの研究は価値が落ちるのかと言えば、もちろんそんなことはないよ。むしろこれまでの研究では、ある程度の過去の研究の積み重ねと、そして素朴なイメージと合わせ、自力で生きられる自由生活生物となったのも1回であると考えていたわけだからね。
今回の研究結果がどこまで的を射るものなのかはこれから検証しないといけないけど、それでも生命の起源に関わる研究というのはやはりわくわくするものがあるよね。これからの発展に期待したいところなのよ!
<原著論文>
<参考文献>
<画像引用元の情報> (必要に応じてトリミングを行ったり、文字や図表を書き加えている場合がある)