著者紹介:西川 伸一
京都大学名誉教授。医学博士であり、熊本大学教授、京都大学教授、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター副センター長などを歴任した生命科学分野の第一人者である。現在はNPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン (AASJ) 代表理事を務めながら、1日1報、最新の専門論文を紹介する「論文ウォッチ」を連載している。
【主な活動場所】 AASJ(オールアバウトサイエンスジャパン)
オールアバウトサイエンスジャパンは医学・医療を中心に科学を考えるNPO法人です。医師であり再生科学総合研究センター副センター長などを歴任された幹細胞や再生医療に関する教育研究の第一人者である西川伸一先生が代表理事を務められております。日々最新の論文を独自の視点でレビュー、発信されておりますのでご興味のある方はぜひお問い合わせください。
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リンパ節は哺乳類になって初めて現れる器官で、局所の免疫状態を感知して、特異的免疫反応に必要なリンパ球の種類をリクルートして、迅速に外来抗原に対応する基地の役割がある。まさに、炎症を組織化するために進化した器官だ。
身体に存在するリンパ球は膨大な数で、それらが無秩序に動員されると混乱を来すだけだ。そこで、特定のリンパ球をリクルートする複雑なケモカインネットワークがリンパ球には存在し、必要なときに必要なリンパ球をより選択的に動員できるようにできている。
CONTENTS
本日紹介する論文
今日紹介するカリフォルニア大学サンフランシスコ校、ケモカイン研究の第一人者 Cyster 研からの論文は、平時と炎症時でケモカインネットワークが変化することで感染に対応していることを示した研究で、12月27日 Cell にオンライン掲載された。
タイトルは「Inflammation switches the chemoattractant requirements for naive lymphocyte entry into lymph nodes(炎症が化学誘起物質の依存性をスイッチしてリンパ球のリンパ節への流入を調節する)」だ。
解説と考察
論文を読んでいて、基礎知識がないとおそらくついて行けないなと感じるぐらい複雑な論文だ。ただ、研究はリンパ節へのリンパ球のホーミングは CCL21 とその受容体 CCR7 が調節しているという通説を疑うプロの視点から始まっている。すなわち、局所炎症が起こると肝心の CCL21 の発現がリンパ節で低下するという気づきから始まっている。
そこで炎症時という最もリンパ球ホーミングが必要な時期に働くケモカインや遊走誘導因子を探索するため、多くの実験を重ねたのがこの論文で示されている。ただ、複雑なので結論だけをいかにまとめておく。
実験では足蹠にウイルスを感染させ所属リンパ節の変化を見る実験系を使っている。
まとめと感想
以上が結果で、長年この分野を牽引しているプロの実験について解説できないのは残念だが、免疫反応調節の複雑性がよく理解できる論文なので、是非読んでみてほしい。こうして得られた知識が、新しいワクチンやアジュバントに生かせることも申し添えておく。