超純水の作り方!水道水から超純水ができるまで

2021.09.16

普段何気なく使用されている純水・超純水について解説した記事です。水道水からどのような処理を経て超純水を精製しているのか。また、それぞれの水処理方法にはどのような役割があるのかを分かりやすく説明します。

水中の汚れの種類

水は化学式ではH2Oと表し、水素(H2)と酸素(O2)から作られています。
これを化学反応式にすると:2H2 + O2 → 2 H2O となります。
しかし、私たちが普段飲んでいる水は、酸素と水素だけでなく、様々な「汚れ」(不純物)も一緒に溶け込んでいます(カルシウム、ミネラルなど)。
水自体には味がないので、私たちはミネラルなどの「汚れ」によって水を美味しい・不味いと感じています。また、水には「汚れ」の量によって、大きく分けて一般水(水道水・井水など)→純水→超純水というランクがあります。
水中の汚れは大きく4つのカテゴリーに分けられます。
・有機物:炭素を含む複雑な化合物。生物由来のものも多い。
     例)皮脂、毛髪、洗剤、農薬など
・無機物:有機物でないもの。水中で帯電(イオン化)しているもの。
     例)塩素、ミネラル、カリウム、重金属など
・微粒子:例)コロイド、配管のサビなど
・微生物:例)細菌類、藻類、ウィルスなど

超純水の作り方

「汚れ」の除去方法は以下の表のように様々な方法があります。各方法には、除去できる「汚れ」に違いがあり、目的に応じてこれらの方法を組み合わせることで、純水・超純水装置は構成されています。今回は、各方法の役割についてみていきましょう。

水処理方法の違い

前処理カートリッジ(活性炭)~RO膜を守る騎士~

前処理カートリッジは、水道水中の塩素を取り除くために用いられます。プールの消毒にも使われている塩素は、水道水中に0.1ppm以上含まれています。水質を維持するために重要な物質ですが、超純水を作る過程においては不純物のため、除去する対象になります。また、後に述べるRO膜は有機物・無機物・微粒子・微生物を95~99%除去できる優秀な方法ですが、塩素に非常に弱く除去能力を著しく損なうことが分かっています。そのため、前処理カートリッジは、一番始めに装着し、塩素からRO膜を守る役割を担っています。

前処理カートリッジの役割

逆浸透膜(RO膜)~必殺除去人~

濃度の高い溶液側に圧力を加え、膜を通して濃度の低い方へ水を精製する方法で、有機物・無機物・微粒子・微生物を95~99%除去できます。活性炭とRO膜に通すだけで多くの「汚れ」を除去できることから、RO膜で精製した水はRO水と呼ばれ純水クラスにランクされます。また、水の通過スピードが水温によって変わるため、RO水製造量の仕様欄には「25℃」などの水温の記載があります。

RO膜の役割

UVランプ(紫外線ランプ,185/254 nm)~有機物 殺すマン~

UVランプは、RO膜では十分に除去しきれなかった有機物を除去するために用いられます。太陽光にも含まれているUVは、一般的に波長が短くなるほど殺菌力が強くなります。中でも、185 nmの波長は有機物の化学結合(C-C,C-H結合など)の切断に非常に有効で、185 nmで切断できない結合も254 nmの波長を組み合わせることで分解できます。また、260nm付近の波長は、生物が持っているDNA(遺伝情報)も分解できます。しかし、UVランプにより分解された有機物は、炭酸イオンや重炭酸イオンなどの無機物として水中に残ることがあります。これにより、UV直後の比抵抗値は直前より上昇していることがしばしばあります。

UVランプの役割

イオン交換カートリッジ(DI)~最後の砦~

イオン交換カートリッジ(DI)は無機物の除去に非常に優れた方法です。微生物の繁殖や有機物の吸着がしやすい環境なので、ここまでに無機物以外の「汚れ」をできるだけ除去する必要があります。無機物の除去に強いことから、RO水と同様にイオン交換カートリッジで精製した水は「イオン交換水」として純水にランクされます。

イオン交換カートリッジの役割

超純水装置内における「汚れ」の除去フロー

数多くの除去方法を解説しましたが、実際のところは超純水をどのように製造しているのでしょうか?今回は超純水製造装置メーカーであるELGA社の水道直結型超純水製造装置 Quest2を例に見てみましょう。

Quest2本体

下記のように、水道水にはたくさんの「汚れ」が存在しておりますが、2番目に設置しているRO膜で大部分の汚れは除去できます。しかし、RO膜は塩素に弱いため、活性炭の入った前処理フィルターを1番目に置くことで塩素を完全に除去します。RO膜で十分に除去しきれなかった有機物はUVランプを用いることで大部分を除去することができます。除去時に一部の有機物が電離し、無機物を発生させます。そこで、最後にイオン交換カートリッジを置くことで残りの無機物を排除します。これらの4つの工程を経て初めて超純水が完成します。

水道水から超純水への水処理フロー

また、これらのカートリッジやUVランプは消耗品となっております。適切な頻度で交換されなかった場合、水処理能が著しく低下することがございます。消耗品の交換頻度には、是非ともご注意ください。

Quest2のフロー図

まとめ

いかがだったでしょうか?使用用途によって、必要な水処理・超純水製造装置は変わってきますので、ご不明な点がございましたら、アズワン株式会社までご連絡ください。