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みなさんは日常的に音楽を聴くでしょうか?何気なく聴くときもあれば、気分によって音楽を選んで聴くことも多いかと思います。
今回は、「同質の原理」という理論を用いて自分自身の精神状態をリラックスさせていくセルフ音楽療法について説明をしていきたいと思います。
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まず、音楽療法とはどのようなものかを解説していきましょう。日本音楽療法学会によると音楽療法とは「音楽の持つ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」と定義されています。医療、福祉、教育の分野で用いられる技法であり、対象は健常者から障害者、児童から高齢者と多岐に渡ります。※1
そもそも、音楽とは言語よりも歴史は古いとされています。また、どの文化においてもどの時代においても音楽を使って人々はコミュニケーションを行ってきました。音楽は芸術表現の一つでありながら、コミュニケーションの一つとして考えられています。
人は、進化の中で言語を発達させ、意思疎通を図ってきました。しかし、その言語というのは発達した文化によって違いがありますし、用いる言語によって細かなニュアンスを伝えられないこともあります。「もったいない」という言葉は日本語特有の表現であり、他の言語ではうまく表現できないという話は聞いたことがある人もいるでしょう。
このように、言葉は便利なものである一方、微妙な表現が苦手な方法であると考えられます。また、言語化するためにはその感情を自覚する必要があります。自覚されない感情は言語化することができないのが言語のデメリットになります。音楽療法は、音楽を使ってその言語化できない感情を表現したり自覚するのに役立つと言われています。
また、音楽療法は大きく分けて「能動的音楽療法」と「受動的音楽療法」に大別されます。能動的音楽療法とは楽器演奏や歌唱に参加し、自己を表現したり社会参加をすることになりますが、今回説明する同質の原理は受動的音楽療法に分別されます。
では、同質の原理とはどのようなものでしょうか。
ざっくり説明すると落ち込んでるときに無理に明るい曲を聞いても元気になることは難しく、敢えて暗い曲を聴くことによって音楽と気分を同調させる、という理論です。※2
気分が高揚しているときは脈拍数も高まっている状態です。逆に、気分が落ち込んでいるときは脈拍数はそこまで高くはありません。そして、自分の精神のテンポと耳から入ってくる音楽のテンポを合わせることが「寄り添い」を体感できるという事になります。
自分の精神のテンポと音楽のテンポを同調させると、その音楽の中から自分の無意識に感じている「悲しい」「寂しい」などの感情を見出すことができます。その曲の雰囲気(調)や歌詞をじっくり感じることによって何度も何度も自分と対話をするような感覚を起こし、少しずつ自分の気分を客観視していきます。
そうすると、今まで当事者として言語化できない、感じることのできない感情に支配されていた自分を冷静に見つめることができます。そして、その中で少しずつ自分が目指していきたいテンポや調に曲を移行させることによって自分の気分も変化していきます。
音楽療法の現場では、その場に音楽療法士が存在し自己を見つめるお手伝いをしたり、気分を言語化する(外に表現する)手伝いを行いますが、ここまでの話を理解してくれた方はある程度自分自身の中でそれを行うことができるでしょう。これが同質の原理を用いたセルフ音楽療法ということができます。
落ち込んでるとき、悲しいときに元気を出そうと思って無理やり元気になる曲を聴くこともあるかもしれませんが、それでも気分が回復していかないときがあります。そんなときは同質の原理を取り入れ、敢えて自分の感情を表現してくれているような音楽を聴き、自己としっかり向き合うことをしてから元気になる音楽を聴くと良いです。
音楽は芸術表現でありながら、コミュニケーション技術の一つとしてはるか昔から行われていました。そして、言葉にできないような、自分でも意識できないような感情を見つめるために敢えて今の感情に近い音楽を聴き、自己と向き合うことが心の回復につながるという理論を説明しました。
ぜひ、同質の原理を取り入れて心のメンテナンスを行ってみてくださいね。