サイエンスコミュニケーションの祭典! 博物ふぇすてぃばる!に出展してきた!

2023.07.27

「博物ふぇすてぃばる!」というイベントをご存じだろうか? 博物ふぇすてぃばる!とは、博物学に関する幅広いジャンルを題材にした創作・展示・研究の販売・発表イベントである。

様々な博物学をモチーフにした作品を見て、触れて、聞ける。このイベント自体がサイエンスコミュニケーションを体現していると言っても過言ではないだろう。(拙著「マンボウのひみつ」を書くことになったのも、この博物ふぇすてぃばる!に出展したことがきっかけだった)

 

 博物ふぇすてぃばる!は、2014年に第1回が開催され、それから基本的に年1回、毎年夏に東京都千代田区にある科学技術館で行われてきた。今年でもう10年目になる。私は今回、4年ぶりに出展を行った。

久々の博物ふぇすてぃばる!は非常に楽しかったので、今回参加した話をお伝えしよう。

 

 

「博物ふぇすてぃばる!」とは?

今回出展した「博物ふぇすてぃばる!9」は2023年7月22日~23日にかけて2日間開催された(10年目なのに第9回になっているのは、コロナ禍でリアル開催できなかった年があり、ズレてしまったからである)。博物ふぇすてぃばる!に出展参加するには、毎年2月頃にある公式ホームページからの募集に応募しなければならない。特に自分のグッズを頒布する場合は、博物ふぇすてぃばる!の「ガクモンからエンタメ☆」という企画に参加することが必須条件となる。

 

「ガクモンからエンタメ☆」とは、自分が調べた博物学的内容や作品をブースの見えるところに展示して、お客さんに解説する企画のことである(テーマは自分で自由に決められる)。展示物はポスター形式でも立体物でも基本的には何でもOKなので、私はいつもポスター形式でマンボウのトピックを紹介し、お客さんに聞かれたら解説している。

 

 今回の私の「ガクモンからエンタメ☆」のテーマは、「海とくらしの史料館にある日本最大のマンボウの剥製を徹底解説!」だったので、以下のポスター(※ここに載せているのは一部だけ)を作製した。

 

 

 この「ガクモンからエンタメ☆」は投書コーナーでお客さんが投書でき、後日、集計結果が発表されるというアフターイベントもある。会場でお客さんと話すネタを展示物として事前に準備し、当日は興味を持ってくれたお客さんに解説し、自分の調べた事柄を知ってもらう。準備は大変だが、これこそサイエンスコミュニケーションの場ではないだろうか?(とはいえ、多くのお客さんはささっと作品を買ってどこかに行ってしまうので、私は聞かれたら解説するくらいの感じで行っている)

 

 博物ふぇすてぃばる!が開催される科学技術館は、電車だと、九段下駅と竹橋駅からが近い。しかし、この2つの駅には一長一短があり、九段下駅からは距離は遠いが重い荷物を引きずって会場に辿り着くことができる。一方、竹橋駅からは距離は近いが、地下から地上まで急な階段を上る必要があるため、荷物が重いとかなり大変だったりする。私は今回九段下駅から歩いて会場に向かった。

 

 

会場の様子

 会場が近くなると、車が大量に並んでいる! 出展者の皆様だ! ワクワクする気持ちが高まり、会場に到着―!



 今回は両日ともに良い天気に恵まれたので、たくさんの人が会場に来てくれた。どうも過去最高の来客数だったようだ。

 

 今回、私のブースはこんな感じだった。


 立体物の作品を頒布するブースが多い中で、私のような10種類を超える同人誌を並べているブースはかなり珍しいことと思う。私のブースは白黒のコピー本のみを扱っているので、地味な部類に入るのだが、マンボウの干物が集客を手伝ってくれた。Twitter(X)やMisskey.ioといったSNSでもしつこいくらい宣伝しまくっていたので、そちらで見て興味を持った方も来て下さり嬉しかった。Misskey.ioにマンボウの干物の画像をアップすると、お水のんでとリアクションがたくさん付いていたのには思わず笑ってしまった。



 今回はブースの助っ人がいたので、両日とも助っ人の方と交互に休憩時間を設けたりして、接客や解説、購入を楽しんだ。私の知るところでは、同じラボブレインズライターの佐伯さんもブースで出展していた。

 

 

他のブースの様子

 380以上あるブースをすべて紹介することはできないが、撮影許可をもらった他のブースがどんな感じだったのかも簡単に紹介しよう。

 

 こちらは透明標本レジンアート工房のS-factoryさんのブース。透明標本を出しているブースはいくつかあったが、瓶詰やレジンに四角く封入している標本だけでなく、立体的な生物の形に透明標本を固めているものは初めて見たので、すごく面白かった。

 


 もう一つは硝子造形作家oba:obaと3D造形作家keroccoの方がユニットで出展していたパブロフマートさんのブース。

 

 

 一番気になったのが、ガラスで作られたクサビフグのサンキャッチャーだ! ちゃんと口もクサビフグの特徴である縦長になっている! 隣には6月にTwitter(X)上で話題になったサカバンバスピスのサンキャッチャーもあった。

 

 普段目にしない知る人ぞ知るコアな生き物のグッズを見られるのも、こういったイベントの醍醐味である。出展者の方にどうしてその作品を作ったのかを聞くと、その情熱を詳しく語ってくれるので、見て回るだけでも楽しいことと思う。

 

 来年は第10回目となるので、もしかしたらいつもよりも盛り上がる企画が準備されているのかもしれない。気になった方はぜひ、来年博物ふぇすてぃばる!に参加してみてほしい。

 

 

 ちなみに私の今回の戦利品は、アンモナイトガチャで回したアンモナイト化石と、S-factoryさんの透明標本だ。これらについての詳しい話はまた別の記事で語りたいと思う。

 

博物ふぇすてぃばる!
https://www.hakubutufes.info/

 

今日の一首

 サイエンス
  コミュニケーション
   夏祭り
    博物ふぇすてぃばる
     刺激たくさん

【著者情報】澤井 悦郎

海とくらしの史料館の「特任マンボウ研究員」である牛マンボウ博士。この連載は、マンボウ類だけを研究し続けていつまで生きられるかを問うた男の、マンボウへの愛を綴る科学エッセイである。

このライターの記事一覧

参考文献

上田啓未・堀井美里・堀井洋・古畑徹.2015.「企鵞図」は Lacépède のペンギンか?水野掛図・動物学掛図を中心に.金沢大学資料館紀要,(10): 11-25.

岡﨑こころ・後藤太一郎.2020.アリの営巣観察のための新型アリ飼育容器の開発.三重大学教育学部研究紀要:自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践,71: 31-36.