蒸留とは?その目的って?原理についてもグラフを使って解説!

2023.03.24

蒸留は、複数の物質がまじりあった液体から、より純度の高い液体を取り出す手法のひとつです。この記事では、基本的な蒸留の考え方と、具体的にどのような場面で使われているのかについて紹介します。

蒸留とは

蒸留は、液体を一度気体にしたのち、再び液体にして集める方法のことを指します。

例えば海水は水に多くの塩が含まれており、そのまま飲むことは難しい液体です。

しかし、塩はイオン化して水の中に溶けているだけであり、水分を完全に飛ばすと塩だけが取り出せます(析出)。

蒸留はこれと似たような操作で、水分のみを海水から抽出することができます。

類似する言葉として「分留」があります。分留は、複数の物質が混じりあった液体を沸点の違いで選別する方法です。

蒸留は何に活用されているか

蒸留は、液体を沸騰させて気体にし、気体の温度を下げることで液体に戻して集めるという手法です。

蒸留は、先ほど紹介したように、海水から真水を取り出すために使われることがあります。

また、酵母菌によって発酵して作られた醸造酒を蒸留することで、よりアルコール度数の高い蒸留酒を作ることができます。

お酒の蒸留では、醸造酒の中に含まれている香りや味の元となる物質と混ざっているアルコールのみを抽出しますが、アルコール分の沸点が78.37℃と比較的低く、水の沸点に近いため、一度の蒸留では水と、水に溶けやすい成分も残ります。

これが、焼酎などに残っている香りや味になるのです。

また、蒸留は医薬品の製造などにも活用されています。

ほかにも、原油を分留することで、灯油・軽油・ガソリン・重油を生産できます。

現代社会の維持に、蒸留・分留という技術は不可欠です。

蒸留のグラフ

では、実際に蒸留を行うとどのようなグラフが描画されるのでしょうか。

下図はエタノール(沸点78℃)と水(沸点100℃)の混合物を加熱していった時のグラフです。

赤く塗られたエリアは78℃付近で、青く塗られたエリアは100℃付近で、それぞれ温度が安定しています。

このグラフ上では、どのようなことが起こっているのでしょうか。

78℃付近では、エタノールが主に蒸発しています。

このとき、水も78℃ではかなり揮発しやすくなっているため、多くのエタノールと、少量の水が蒸発していっている状態となります。

ここから得られた気体を再冷却すると、濃度の高いエタノールが蒸留によって回収できます。

さらに加熱し続けると、78℃からさらに温度が上がっていきます。

このとき、ほとんどのエタノールは蒸発しきっています。

あとは、水が蒸発する100℃付近まで温度が上昇し、青のエリア、100℃付近で温度が安定します。

青のエリアで蒸発した気体を冷却して得られる物質は、純度の高い水です。

78℃でもある程度蒸発する水と違い、エタノールは100℃になる前に大半が蒸発していますので、この青の加熱時間帯で得られる水は、不純物の少ない水となっています。

このグラフでは、水とエタノールの混合物であったためこのようなグラフになっていますが、混合する物質、混合の割合によってグラフの形は大きく異なります。

蒸留のやり方

蒸留には、主に常圧蒸留と減圧蒸留があります。

常圧蒸留は、一般的な大気圧下で行う蒸留です。中学・高校で学習するのは、主にこの方法です。

減圧蒸留は、大気圧よりも低い気圧で蒸留する方法です。

気圧を下げることで沸点の差を広げることができ、より沸点の近い物質を精密に分留しやすくなります。

この記事内では、常圧蒸留についての方法を紹介します。

 

常圧蒸留では、加熱用の枝付きフラスコと回収用のフラスコ(もしくは試験管)、加熱用のバーナー、温度計、沸騰石、リービッヒ冷却器、穴の開いたゴム栓を用意します。

加熱用の枝付きフラスコの中に蒸留したい液体と沸騰石を入れ、その上からゴム栓でふたをします。

ゴム栓の穴に温度計を通し、液体から十分に離れた位置に計測部が来るよう、高さを調整します。

次に枝部にリービッヒ冷却器を取り付けます。

リービッヒ冷却器の下流に、蒸留した液体を回収したいフラスコ(試験管)を用意したら、おおよその準備は完了です。

リービッヒ冷却器には、冷却管に2つの管がついています。

下流側(回収するフラスコに近いほう)から冷水を流し、上流側(加熱装置に近いほう)から放水することで、冷却器内の温度を下げ、蒸留の効率を上げられます。

リービッヒ冷却器に水を通せたら、いよいよ枝付きフラスコを加熱していきます。

蒸留時には、液体の温度が非常に重要です。

上で説明したようなエタノールと水の混合物を蒸留する場合、78℃で停滞している状態をしっかり確認しておかないと、蒸留後の液体が再びエタノールと水の混合物になってしまうためです。

温度の変化を確認しながら、蒸留する物質ごとに回収する器具を変えましょう。

まとめ

蒸留は、現代社会でも多く用いられている基本的な物質単離方法のひとつです。やり方も決して難しくはありません。

テストで問われるのは、リービッヒ冷却器の使い方や、蒸留時の温度変化のグラフを読み取る問題が中心となります。

基本的な事項を抑え、間違えないよう気を付けましょう。

 

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