LINE公式アカウントから最新記事の情報を受け取ろう!
電気回路には、直列回路と並列回路があります。中学理科で学習するアンペア(A)、ボルト(V)、オーム(Ω・抵抗)と直列回路・並列回路の関係をそれぞれ抑えておくことで、複雑な電気の問題を、簡単な計算問題にできます。内容をチェックして、抜け・漏れがないように復習しましょう。
CONTENTS
電池や電熱線が一列につながっている回路を、直列回路といいます。
直列回路では、電流は抵抗の数に関係なく、一定量が流れます。
一方、電圧はそれぞれの抵抗に対して働きます。そのため、各抵抗器に対してかかる電圧の合計が、回路全体に流れている電圧となります。
具体的な数字で見ると、例えば下の図のような形になります。
電流(A)は電球が増えても変わりませんが、電圧はそれぞれの電球に分散して使われています。
<例題1>
下図のような電気回路があります。
電球Aに流れる電流は2A、電圧は10Vです。電球Bに流れる電流は2A、電圧は5Vです。
電源の電流・電圧を求めなさい。
<解答1>
電流は2A、電圧は15V。
直列回路の場合、電流は回路を通して変わらないため、電球A・電球Bと同じ2Aになります。
電圧は、電球A・Bにそれぞれかかっている電圧の和になるので、15Vです。
電池や電熱線が途中で分岐している回路を、並列回路といいます。
並列回路では、電圧は回路内で分岐しても変わりません。
一方、電流は分岐によってそれぞれの回路に振り分けられます。
具体的な数字で見ると、下図のような形です。
電圧(V)は分岐の上下で変化していませんが、電流量は分岐によって分散しています。
<例題2>
下図のような電気回路があります。
電球Aに流れる電流は3A、電圧は10Vです。電源の出力は5A・10Vです。
電球Bに流れる電流・電圧を求めなさい。
<解答2>
電流は2A、電圧は10V。
並列回路では、電圧が変わらず、電流量が分岐して変化します。
そのため、電球Bに流れる電流量は、出力電流の5Aから電球Aで使用している電流量3Aを引いた2Aとなります。
電圧は電源や電球Aと同じく、10Vとなります。
より実践的な内容の例題には、次のようなものがあります。
回路が複雑化していて一見難しそうに感じるかもしれませんが、落ち着いて、パズルの要領で解いていきましょう。
<例題3>
下図のような回路がある。
この回路において、以下のことが分かっている。
・電源は、電流が20A、電圧が10V
・抵抗Aの電流は8A、電圧は4V
・抵抗Dの電流は7A、電圧は4V
この情報から、抵抗B、抵抗C、抵抗Eに流れている電流、電圧をそれぞれ求めよ。
<解説>
こうした複雑な回路の問題にあたったときは、できるだけ問題を簡単にして考える、というのが有効です。
この回路は、抵抗A側の流路と抵抗C側の流路に分岐している並列回路、と捉えられます。
この図を頭にイメージした状態で、考えていきましょう。
まず、電流について計算します。
この回路は抵抗A側と抵抗C側に分岐する並列回路なので、抵抗A側と抵抗C側の流路では電流量が分散していることがわかります。
抵抗Aと抵抗Bは直列につながっているため、抵抗Aと抵抗Bの電流量は等しくなります。
また、抵抗Cと抵抗D・抵抗Eは直列につながっていますが、抵抗Dと抵抗Eは並列につながっているため、抵抗D・抵抗Eの電流量の合計と、電流Cの電流量が等しくなる、ということが分かります。
つまり、電流量の計算式を立てると、
・A=B
・C=D+E
・20=A+C
という3つの計算が可能になります。
今、抵抗Aに流れている電流量は8A、抵抗Dに流れている電流量は7Aなので、それぞれを代入してみましょう。
A=Bから、抵抗Bの電流量は8Aであることがわかります。
20=A+Cから、抵抗Cの電流量は12Aであることがわかります。
また、20=7+Eとなるため、抵抗Eの電流量は5Aであることがわかりました。
次に、電圧について計算します。
電圧は、並列回路の上下では変わらず、直列回路では分散されます。
そのため、抵抗A側と抵抗C側では電圧量が変わらず、抵抗Dと抵抗Eの電圧量も同じとなります。
つまり、抵抗A側では抵抗Aと抵抗Bの電圧量の合算が、抵抗C側では抵抗Cと抵抗D・Eの電圧量の合算が、それぞれ起電力と等しくなる、と考えられます。
先ほどのように数式に起こすと、
・10=A+B
・10=C+D
・D=E
という式が立てられます。
今、抵抗Aに流れている電圧は4V、抵抗Dに流れている電圧は4Vです。
そのため、10=A+Bから、抵抗Bの電圧は6Vであることがわかります。
10=C+Dから、抵抗Cの電圧は6Vであることがわかります。
また、D=Eから、抵抗Eの電圧は4Vであることがわかります。
これらの情報をまとめて、以下が答えとなります。
・抵抗Bは8A・6V
・抵抗Cは12A・6V
・抵抗Eは5A・4V
電球内の抵抗によって電源からの電流がフィラメントによって妨げられることで熱を持ち、それによって白熱電球は光っています。
電球には固有の抵抗値(オーム)があり、オームの法則により『電圧=抵抗値×電流(V=R×A)』が成り立ちます。
また、電気がどの程度のパワーで動いたかを示す電力(W)は、電圧と電流の掛け算によって求められます(W=V×A)。
これらを頭の中に入れて、下の図を見てください。
同じ抵抗値の電球を直列・並列にそれぞれつないだときの回路図です。
直列につないだ時には2A・12Vの電源が必要なのに対し、並列につないだ時は、4A・6Vの電源が必要です。
一般的な乾電池は1.5V、家庭用電源は100Vなどのように、電気は電圧が決められており、それに対して必要な電流を流す、というしくみで動いています。
そのため、同じ電球を使って1.5Vの電圧を流すと、直列回路では0.25A、並列回路では0.5Aがそれぞれ流れます。
このとき、消費された電力量(W)は、直列回路より並列回路のほうが2倍多い、ということになります。
つまり、直列回路よりも並列回路のほうが、より多く電気が流れて仕事をしている状態といえます。
このことから、電球は直列につなぐよりも並列につないだほうが、より明るく光るのです。
直列回路と並列回路に関する出題は、混乱しやすい問題ではありますが、落ち着いて考えればパズルのように解けるものが大半です。
まずは、下にまとめた表をしっかりと頭の中に入れ、一つひとつ間違いのないように解き進めていきましょう。
コミュニティサイト「Co-Lab BRAINS」に会員登録すると、数学・理科分野などの問題集40種類以上が無料でダウンロードし放題!!
日々の勉強や試験勉強に使ったり、大人でも覚えているかどうかの確認に・・・などなど、ぜひご活用ください!