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こんにちは。理科講師、サイエンスライターの山﨑 実香です。
今回は、家庭や学校で簡単にできる煮干しを使った科学実験を紹介します。実験のネタを探しているご家庭や先生方、必見!
身近な材料で「生物の体のつくり」「顕微鏡の使い方」「プランクトン」「生態系」などについて楽しく学べますよ。
私が講師として参加したSEISAアカデミーでの授業の様子を交え、実験内容と学びの広がりをご紹介します。
CONTENTS
《(1)準備物》

基本的に
・煮干し
・ピンセット
・生物顕微鏡(通販などで2,000円台から購入可能。上から光を当てるハンディ実体顕微鏡ではプランクトンが見えにくいので注意。)
・プレパラートを作るための無色透明な板(クリアファイルを切ったものでもOK)
・水
のみ!
今回この実験内容で授業を実施した場所は、神奈川県横浜市にあるSEISAアカデミーです。
今回2025年5月末に行った80分間授業には、生徒合計16人(学年横断型のため小学3年生1人、小学4年生2人、小学5年生1人、小学6年3人、中学1年生3人、中学2年生3人、高1生1人、高2生1人)、講師の私、補佐スタッフ数名が参加しました。
ここは、興味のあるもの&とことんやりたいことを突き詰める学び舎。探求を中心に学ぶカリキュラムを実施し、2E・ギフテッド特性を持つ子も通っています。2023年と2024年度の2年間、文部科学省「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業」にも採択されていました。
また、同校を運営する星槎グループは、フリースクール、保育園、幼稚園、中学校、高等学校、大学、大学院、研究所などを展開する、不登校や引きこもり、発達障がい分野の支援を得意とする学校法人。学びの多様化学校を複数運営しています。
①解剖


水に約15分間浸してふやかした煮干しを開くと、脳・エラ・心臓・浮き袋・胃・肝臓・腸・背骨など多くの器官が観察できました。
楽しくなり「もう一匹やる!」と追加の煮干しを解剖し始める生徒も続出する事態に。

生徒たちは「エラがたくさんあるよ?」「クネクネしてるのが腸か!」「風船みたいに膨らんでないけど、このペチャンコが浮き袋なの?」と良い気づきを発言してくれました。
その通り!エラは4層になっていますし、浮き袋はほとんどの場合潰れた状態で発見されます。
②顕微鏡でプランクトン観察

少量の水をかけた煮干しの胃を細かくつぶし、無色透明な板2枚で挟み、プレパラートを作ります。
小さいものを観察したいとき、生物顕微鏡で観察すべきはこのプレパラート!

▲プランクトンの痕跡が見えました!

更にこの実験から学んだことは、「顕微鏡の使い方にはルールがあり、そのルールには理由があること」です。
例えば、対物レンズとプレパラートを近づけてピントを合わせるときには、横から見ながら操作します。
理由は「接眼レンズを覗きながら操作をすると、対物レンズとプレパラートがぶつかって傷ついちゃうから!」「ぶつかったら、カバーガラスが割れるかも」「見たいものが濡れてるから、ぶつかったら対物レンズが汚れるよ」と生徒たちが教えてくれました。
大正解!実験は楽しいですが、常に注意点があることも体感できましたね。
生徒の中には、顕微鏡を覗きながら「丸いのは植物プランクトンかな?」「変な形のものがあるけど、これは消化されかけたプランクトンなのかな?」等ナイスな観察結果や考察を口にしてくれる子も。
複数人で実験をすると「なぜ人によって違いが出るのか?」「本当にそうなのか?」を皆で考えられる点が面白いですね。
また、嬉しそうに「僕の顕微鏡で面白いもの見つかったから、見に来て!」と友達や講師を誘う生徒も。
個体によって食べているものが違うことや、顕微鏡を巧みに操作すれば沢山のプランクトンを探せることに気づきましたね。

煮干しの胃からプランクトンが出てきたのは、カタクチイワシが海洋性の動物プランクトンや植物プランクトンを食べているからです。つまり、食物連鎖など生態系の繋がりについて学習できました。
また、小さなプランクトンが顕微鏡を通すと大きく見えるのは、凸レンズ(とつレンズ)が光を曲げているから。
物体(今回はプランクトン)から出た光は、通常は真っ直ぐに私たちの目に届きます。しかし、凸レンズを通すとその光の軌道が曲がります。
曲がった先にできる像は、まるで大きくなったかのようなプランクトンの姿!
人間の脳は「光は真っ直ぐ目に入っているはず」と思い込んでいるため、「そこに大きなプランクトンがある」と錯覚してしまうのです。

今回の実験のような作業は、漁業にも役立っています。
例えば、どの場所にどんなエサがあるかを知ることは、漁業において魚を捕獲したり養殖したりする上で重要です。エサの場所を把握することで、効率的な漁や養殖が可能になるためですね。
授業中にも紹介したところ、生徒の中には「エサの臭いが重要なのかな?」「エサの形に惹かれているのかな?」とエサの重要さに気づいている子も!

今回の実践では、にぼしなどすぐ手に入る材料で「生き物の体のつくり」「顕微鏡の操作方法」「生態系」といった科学の基本を楽しく学ぶことができました。
考えながら作業することで、SEISAアカデミーの生徒たちも原理を楽しく実感できていた様子!
少ない道具で手軽に始められるため、ご家庭での自由研究や学校での理科実験にもぴったりです。
「個体差はあるのか?」「季節によって食べている物は違うのか?」など、発展させて色々な対照実験にチャレンジするのもお勧め。
この実験が、子供たちが科学への興味を深めるきっかけになれば嬉しいです。