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みなさんこんにちは!サイエンス妖精の彩恵りりだよ!
今回の解説は、ジャガイモとにがりで作る地球外コンクリート「スタークリート」に関する解説だよ!
どういうこと?って思うかもだけど、固めにくい月や火星の砂である「レゴリス」で、現地生産が必要な大量の建材を作る、最も良い方法を模索した研究だよ!
しかも、スタークリートは作り方が簡単なのに、かなりの性能を持っているよ!以下解説していくね!

(スタークリートの画像引用元: プレスリリースより)
CONTENTS
将来的に計画されている有人火星探査や月面基地には、分厚い壁や天井を持つ建造物の建設が必要となってくるよ。大気がない、あるいは薄いために、宇宙から降ってくる放射線や流星を防ぐ必要があるからだよ。
人が長期間住める建造物を作るには大量の建材が必要で、これを地球から大量に持っていくのは、費用の面で非現実的だよ。ということで、現地で建材を作る必要性が出てくるよ。
月や火星の表面は「レゴリス」と呼ばれる細かい砂で覆われているよ。乾いた砂や土で泥団子を作るのが難しいように、レゴリスをそのまま固めても建材には不向きなままだよ。
強度を高めるには、レゴリスの粒子同士を結合させる結合剤を混ぜる必要があるけど、これの選定がものすごく難しいよ。例えば、地球ならコンクリートは一般的な建材だよね。
しかし、コンクリートを固めるためのセメントは、その原料となる炭酸カルシウムが月や火星にほとんど存在しない上に、加工に大量の熱、そしてその熱を生み出すためのエネルギー源が必要という欠点があるよ。
また、別の選択肢として焼きレンガという手もあるけど、もちろんこれには高い熱が必要で、専用の炉やエネルギー源の準備という、多大なコストの問題があるよ。
よって、コンクリートや焼きレンガのような建材で、かつ月や火星でも入手しやすいものをどう作るのか、というのが、現在の研究対象の1つでもあるんだよ。

従来のコンクリートやレンガは、地球外では製造が難しく、原料調達やエネルギーなどのコストも高いよ。これを解決するためにアストロクリートという建材が考案されたけど、アルブミンや尿素を使うことに対する欠点があったよ。これらを克服するのがスタークリートだよ! (画像引用元: ①スタークリートの原材料 / ②スタークリート / ③アストロクリート)
この研究に面白いアイデアを提供したのがマンチェスター大学のA.D. Roberts氏などの研究チームだよ。2021年に公開された論文では、宇宙飛行士の "血と汗と涙の結晶" となる建材が提案されたよ。
これは比喩表現ではなく、人の血液に含まれる「アルブミン」というタンパク質と、汗や涙に含まれる「尿素」をレゴリスと混ぜ合わせてできるからだよ!
「アストロクリート (AstroCrete)」と名付けられたこの物質は、水と混ぜた後に家庭用オーブン程度の多少の熱で固めるという簡単さながら、通常のコンクリートより少し硬い強度を持っているよ!
ただし、アルブミンの調達に若干の難があるよ。もちろん、そのために血を抜き取るなんてことはせず、人体由来の廃棄物、例えば使用期限を過ぎた輸血用血液からアルブミンを抽出するという方法になると思うよ。
あるいは、クモの糸はアルブミンの原料になるかもしれないよ。クモは輸送も飼育も簡単で、クモの糸からアルブミンを大量に生産できるようになるかもしれないよ。
とはいえ、抽出にステップが必要なのは難点であり、生体由来物質がそのまま建材に含まれているというのは、長期的に宇宙飛行士の健康を損なう可能性も懸念があるというのも確かだよ。
そこで、アストロクリートに代わる物質として検討されたのが、植物由来物質の使用だよ。これは既に地球でも、コンクリートの代わりの材料として検討されているよ。
例えば、コーンスターチを使用した「コーンクリート (CoRncrete)」と呼ばれる材料は、普通のコンクリートとほとんど同じ強度を持っているよ!
これは、スターチ (=でんぷん) の非常に長い分子が、水と混ぜられることで砂同士をつなぎ、強度の高いコンクリートのような塊になることができるんだよ。
しかし、コーンクリートのような植物由来物質の場合、湿気に弱いでんぷんを主原料としているために、空気中に湿気が存在する地球では用途が限定されるよ。そう、地球ならね。
湿気の存在しない月や火星なら、湿気の問題はないね。更に、でんぷんの原料となる植物は、同じく長期滞在で問題となる食糧源としてその場で栽培されるだろうから、調達の問題も少ないよ。

スタークリートはレゴリスにでんぷんを混ぜることで作られるよ。塩化マグネシウムを加えることで、更に強化されるよ! (画像引用元: 原著論文Fig2)
そこで研究チームは、食糧事情を圧迫しないように、余剰生産分を建材建造に回せるよう、少ない量でコンクリートのような建材を作れないか、複数の植物で検討したよ。
その結果、トウモロコシや米、タピオカや小麦などの候補の中で、ジャガイモでんぷんがかなり優秀であることが分かったので、これを「スタークリート (StarCreat)」と名付けたよ。
この名前は、宇宙の星 (Star) でにかけているとは思うけれども、直接にはジャガイモでんぷん、つまりポテトスターチ (Potato Starch) から作られることに由来しているよ。
スタークリートは、そのままではあんまり硬くはないので、更に添加剤を追加して強化することを試みたよ。これは、金属イオンがでんぷん分子同士を結び付けてくれる可能性のある無機金属化合物が検討されたよ。
これについても、現地で用意がしやすいいくつかの候補が検討された結果、尿素、酢酸、塩化マグネシウムが候補に残ったよ。そして追加のテストの中で、塩化マグネシウム[注1]が最も良い材料であることが分かったよ。
塩化マグネシウムと聞いてもピンと来ないかもしれないけど、豆腐を固めるにがりの主成分で、家庭用食塩にも不純物として含まれているなど、結構身近だよ!
色々検討した結果、レゴリスに対して約4.5%のでんぷんを混ぜ、塩化マグネシウムを溶かした水で固め、100℃以上の加熱脱水が、スタークリートを低コストで強度の高い材料にするコツであることが判明したよ。

スタークリートは作るのが簡単なのに、普通のコンクリートや、その前に考案されたアストロクリートよりも硬いという特徴があるよ! (画像引用元: 原著論文Fig3)
人工的に再現された火星のレゴリスと月のレゴリスを原料に作られたスタークリートは、それぞれ71.95MPaと91.68MPaという圧縮強度を示すことが分かったよ。
これは普通のコンクリートはおろか、高強度コンクリートである42MPaを超える値だよ!曲げに対する強度は普通のコンクリートよりわずかに弱い程度と弱点はあるけれども、この強度はとてつもないよ!
また、今回の割合からすると、25kgの脱水でんぷんから500kg、レンガにして213個分のスタークリートが生産できるようになるよ。
現地で生産されるであろう植物を原料に、その場に大量にあるレゴリスを使って、コンクリートと同程度の強度の建材を作れるのは非常に利点となるはずだよ!
ジャガイモでんぷんならば、同じ生体由来物質とはいえ、長期的な健康問題に関する懸念は相当抑えられているのも、非常に有利となる点だよ。
将来的に、火星でジャガイモ栽培を行う理由は、基盤となる食糧だけでなく、建材として必要物資を確保するため、という別の役割が与えられるかもしれないよ!
[原著論文]
[参考文献]
[注1] 塩化マグネシウム ↩︎
後述する通り、にがりの主成分であり、にがりは塩化マグネシウムの他、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどの混合物である。また、食品用の食塩として販売されている塩化ナトリウムは、不純物として塩化マグネシウムを含んでいる。苦味を主体とする独特の風味を食塩に与えるが、一方で塩化ナトリウムより吸湿性が高いため、湿気で食塩が固まる原因ともなる。