衝撃吸収材料と繊維との親和性によるせん断速度適応スマート構造体

2022.08.17 By 信州大学

材料工学

技術概要

強化材料を繊維、母材をダイラタント流体とした、変形可能な収容体に封入された繊維複合構造体。構造体の剛性に変形速度依存性を持たせる。

用途・応用

変形、せん断、衝撃吸収

 

背景

 ダ イ ラ タ ン ト 流 体 と は 、 shea r thickeningと か ダ イ ラ タ ン シ ー と 呼 ば れ る 、 粘 度 が せん断速度によって増加する特性をもつ流体、すなわち、せん断速度が大きいときに粘度が大きくなり、せん断速度が小さいときには粘度が小さくなる材料である。良く知られているダイラタント流体にウーブレック(片栗粉の懸濁液,コーンスターチの懸濁液)がある。
 ダイラタンシーを備える素材はしなやかな衝撃吸収性を備えることから、自動車のヘッドレスト等の衝撃吸収剤として利用されている(特許文献1等)。

 ダイラタント流体の利用例として、水中の推進機構であるフィンへの適用が考えられる。
 フィンは小型船舶,水中探査艇,水中ロボット,スキューバダイビング等の推進に応用されているが、水中における推進には速度・環境・運動タスクなどによって最適なフィンの剛性が変化する。また、うちわのような揺動による冷却用フィン,飛翔のための揺動フィンにおいても同様に最適な弾性がある。
 しかしながら、動作中に剛性が異なるフィンに交換することは現実的でないことから、可変剛性機構を備えるフィンが開発された(特許文献2、非特許文献1)。この可変剛性機構を備えるフィンは,フィンの内部にモータを設置し,板バネの有効長さを変化させたり,弾性板のねじりを変化させたりして剛性を変化させるものである。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-126820号公報
【特許文献2】特開2006-076372号公報
【非特許文献】
【 非 特 許 文 献 1 】 Shunichi Koba ya shi a nd Hirohisa M orika wa , Hirota ke Soya no, Ma sa ta ka Na ka ba ya shi, Propulsion M echa nism in Fluid Using Va ria ble‑Stiffness Fin with Torsiona l Recta ngula r Ela stic Pla tes, Interna tiona l Journa l of Offshore a nd Pola r Engineering, 23 (3): 172‑177, 2013.

課題

 水中推進機構としてのフィンは、水中の生物に対する危険性,網や藻などの巻き込み,激しい攪拌で起こる汚泥の巻き上げによる水質汚染などの問題が抑制できる点で、スクリュープロペラを用いる水中推進機構に対して優れている。しかしながら、機械的機構を利用してフィンに可変剛性を付与する従来構造は、構造が複雑であり、高コストで効率的でないという課題があった。
 本発明は、より簡素な構造により揺動速度に応じて剛性を可変とすることを可能にするダイラタント流体を用いた複合材料を提供することを目的とする。

手段

 本発明に係るダイラタント流体を用いた複合材料は、ダイラタント流体と、該ダイラタント流体と接触して相互作用することにより、ダイラタント流体との間でせん断作用を生じさせる作用材料とからなる複合材料であって、 前 記 ダ イ ラ タ ン ト 流 体 と 前 記 作 用 材 料 とが 、 変 形 可 能 な 収 容 体 に 封 入 さ れ 、 前記作用材料は、柔軟性と、前記ダイラタント流体との親和性とを有する と と も に 、 前 記 作 用 材 料 は 、 多 数 本 の 柔 軟 な 繊 維 を 束 状 に 繊 維 方 向 を揃 え て 、 前 記 収 容 体 の 一 端 側 と 他 端 側 と を 繋 ぐ よ う に 配 置 さ れ た も の で あ る ことを特徴とする。
前 記収容体の形態としては、たとえば水中あるは空気中で利用する、フィン形状に形成することができる。

効果

 本発明に係るダイラタント流体を用いた複合材料によれば、揺動速度に応じて剛性を可変とする作用を備える複合材料として提供することができる。

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特許情報

特許6811978

JPB 006811978-000000