リサイクル実験!発泡スチロールを再発泡させてみよう

2024.02.02

大きめの電化製品の箱を開けると、必ずと言っていいほど商品が発泡スチロールで保護されています。また、冷凍食品を通販で購入すると、発泡スチロールで届くことが多いですよね。さらに魚市場では、山積みになっている発泡スチロールの山を見たことがあるのではないでしょうか。

 

このように発泡スチロールは物を運んだり、保存したりする時には必須のアイテムとなっております。



では、発泡スチロールは何からできているのでしょうか?

 

それは、石油です。

 

発泡スチロールをよく見てみると、小さな粒々がたくさん集まってできているのがわかると思います。

発泡スチロールは、石油をプラスチックの一種であるポリスチレンに加工し、小さなビーズ状にしたものを膨らませ、押し固めることで作られています。

 

そのため、発泡スチロールのほとんどは空気であり、軽くて丈夫、さらには断熱性も高い優れものとなるのです。また、私たちが一般的に発泡スチロールと呼んでいるものはビーズ発泡スチロール(EPS)であり、製法の違いにより、お肉やお魚などの容器に使われる発泡スチレンシート(PSP)や、家やマンションの断熱材などに使われる押出法発泡ポリスチレン(XPS)に姿を変えて使用されています。無くてはならない存在ですよね!

 

今回はこのように身近にたくさん溢れている発泡スチロールを一度溶かして、再び膨らませてボールを作る実験を紹介しましょう。

 

実験を通して、いかに発泡スチロールの体積の多くが空気で占められているのか?を目で見て体験し、発泡スチロールのリサイクルについて学んでいきましょう。

発泡スチロールを溶かしてみましょう

準備するもの
・発泡スチロール
・215 mLプラスチックコップ(PET)
・ポリエチレン製のスポイト
・アセトンリムーバー
・割りばし
・ポリエチレン製の手袋
・保護面
・安全眼鏡

※アセトンには毒性があるので、十分換気した状態で実験を行ってください。また、アセトンを取り扱う場合は、安全眼鏡、ポリエチレンの手袋、保護面を必ず着用してください。アセトンは揮発性の高い液体なので、必要量だけを取り出し、容器の蓋は占めた状態にしてください。その他、保管方法や取扱方法、安全上の注意事項など、安全製品データシートに記載されていることをしっかりと理解してから使用してください。

 

① 発泡スチロールをプラスチックのコップにちぎっていれましょう。ここで特段細かくする必要はありません。



② ちぎった発泡スチロールにアセトンをかけていきましょう。アセトンの量は、コップ満タンの発泡スチロールに対してスポイト2回分で十分です。



ほんの一滴垂らしただけで、みるみる発泡スチロールは溶けていきます。また、よく観察すると、アセトンをかけた部分がシュワシュワしています。これは中の空気が出てきているからです。



コップ満タンに入っていた発泡スチロールがこんなにも小さくなりました。そのほとんどが空気であることが分かると思います。


③ わり箸を使ってまとめていきましょう。アセトンがまだ残っている場合は、発泡スチロールを少しだけ加えましょう。割りばしで押し付けてあげると、溶けていきます。追加で発泡スチロールを入れすぎると、硬くなってしまうので、気をつけてください。



コップの中で箸を使ってうまく、くるくると丸めながら、表面のアセトンを蒸発させましょう。コップにべた付かなくなってきたら、発泡剤の完成です。アセトンが表面に多く残っている状態で触ってしまうと、手袋にくっついて取れなくなってしまうので注意してください。

 

実際に発泡スチロールをリサイクルする際にも、熱を加えたり、溶剤によって空気を抜く減容化という処理をしています。その後、インゴットと呼ばれる塊にし、それを再び細かく砕き、熱で処理してから小さなペレット状にすることで、もう一度発泡スチロールに戻ったり、ペンや定規などの文房具、ハンガーなどの日用品、さらにはセメント混和材などの建築資材として生まれ変わるのです。

 

発泡スチロール協会さんが、発泡スチロールのリサイクル工程を動画で出しているので、ぜひ、そちらをご覧ください。

発泡させてボールを作ってみよう

では、発泡剤を膨らませていきましょう。

準備するもの

・ガスコンロ
・お鍋
・水
・網上のすくえるもの


※アセトンの引火点は-20℃です。常温でも引火するため、必ずアセトンを片付けてからこの工程を始めてください。

① 水を沸騰させ、発泡剤を入れてみましょう。



お湯につけるとすぐに膨らんできます。



② 膨らみがとまったら、お湯から取り出しましょう。すると、しぼむことなく膨らんだ状態で回収することができます。もし、少し潰れてしまっても再びお湯に入れることで復活します。


さらに、アセトンで溶かす前に、このように発泡スチロールに油性マジックペンで色を塗っておけば・・・


なんと、カラフルな発泡スチロールボールを作ることができます。

アセトンの取り扱いには十分注意が必要な実験ですが、発泡スチロールがみるみるうちに溶けていく姿や、再び膨らむ姿がとても面白いので、ぜひ挑戦してみてください。この実験を通して、発泡スチロールのリサイクルについても学んでいただけると嬉しく思います。

 

理科の先生へ

アセトンの取り扱いには十分な注意が必要なため、生徒に扱わせる際には必要最小限の量のみを使用し、換気を徹底してください。もしくは、先生が演示として、アセトンで発泡スチロールが溶けていく姿を見せ、発泡剤自体は事前に作っておくと、アセトンを使わせず、安全に膨らむ姿を見てもらえるかと思います。

参考文献

厚生労働省 職場のあんぜんサイト GHSモデル MSDS情報 製品安全データシート アセトン
発泡スチロール協会HP 発泡スチロールとは 
発泡スチロール協会HP 3つのリサイクル 

【著者紹介】くもM

サイエンスコミュニケータ―。「身近な科学・学びを遊びに」をテーマに、サイエンスショーや実験教室、講演など科学を通じて学びを楽しくしていく活動を続けている。YoutubeやTikTokなど実験動画配信も人気。

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