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みなさんこんにちは!サイエンス妖精の彩恵りりだよ!
今回はみんな大注目!2023年ノーベル物理学賞の解説だよ!
まず、今回の受賞者と授賞理由は以下の通りだよ!
2023年10月3日、スウェーデン王立科学アカデミーは、本日、2023年のノーベル物理学賞を以下の者に授与する事を決定しました。
ピエール・アゴスティーニ (Pierre Agostini)
オハイオ州立大学、コロンバス、アメリカ合衆国
フェレンツ・クラウス (Ferenc Krausz)
マックス・プランク量子光学研究所、ガーヒング、およびルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン、ドイツ連邦共和国
アンヌ・ルイリエ (Anne L’Huillier)
ルンド大学、スウェーデン王国「物質中の電子動態を研究するためのアト秒パルス光を発生させる実験方法」に対して。
【光による実験が捉えた最短の瞬間】
2023年のノーベル物理学賞受賞の3名は、原子や分子内の電子の世界を探求するための新たな手段を人類に与えた実験が評価された。ピエール・アゴスティーニ、フェレンツ・クラウス、アンヌ・ルイリエは、電子が移動したりエネルギーが変化したりする急速なプロセスを測定するために使用できる、極めて短い光パルスを作成する方法を実証した。賞金額: 1100万スウェーデンクローナ、受賞者間で均等に分配。
選考委員: Mats Larsson & Olle Eriksson
Pierre Agostini (ピエール・アゴスティーニ)
チュニジア共和国、チュニス県、チュニス出身
1941年7月23日生まれ (82歳)[注1]
オハイオ州立大学 (アメリカ合衆国) 所属
賞への貢献度: 1/3
Ferenc Krausz (フェレンツ・クラウス)
ハンガリー、フェイェール県、モール出身
1962年5月17日生まれ (61歳)
マックス・プランク量子光学研究所 (ドイツ連邦共和国) 、およびルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン (ドイツ連邦共和国) 所属
賞への貢献度: 1/3
Anne L’Huillier (アンヌ・ルイリエ)
フランス共和国、イル=ド=フランス地域圏、パリ市出身
1958年8月16日生まれ (65歳)
ルンド大学 (スウェーデン王国) 所属
賞への貢献度: 1/3
CONTENTS
私たちの身の回りにある物質は、いくつかの「原子」が組み合わさってできているよね。この原子同士はどうやって組み合わさっているのかというと、原子の外側にある「電子」のやり取りで成り立っているよ。
電子は原子の外側を決めるだけでなく、原子同士をくっつけたり離したりして、原子の配列の位置や化学反応を決定する役割があるよ。なので原子のことを深く理解するには、電子の動きを理解するのが重要になってくるよ。
原子や電子の動きを理解するにはどうしたらいいか?どうにかして写真を撮るように静止画を得たいと考えてきたよ。動きを観るために静止画を得る。これはマクロの世界でも一緒だよね。
例えばハチドリや昆虫の羽は毎秒数十回も羽ばたくから、普通に撮影しても羽の部分はボヤけてしまうよ。きちんと撮影するには、撮影時間をなるべく短くし、1回の羽ばたきより短い速度で撮影するしかないよね?
この原則は、電子の動きを見る場合も変わらないよ。ただし、電子の動きは信じられないほど高速なので、これがメチャクチャ難しく、今まで観ることは不可能だったよ!
一応、研究者たちはその手前として、原子の動きを静止画で観ることを試みていた時期があるよ。原子は電子よりはるかに重くて動きが遅いので、電子そのものを見るよりは難易度が幾分か下がるよ。
と言っても原子の動きも高速なので、やはり一筋縄ではいかなかったよ。原子の動きを見るには10フェムト秒から100フェムト秒 (100兆分の1秒から10兆分の1秒) の時間だけ光を当てなければならないよ!
そのようなものすごく一瞬だけ光を当て、原子の動きを見る「フェムト秒パルス光」は、1980年代後半にアハメッド・ズウェイル氏によって初めて実現し、これは1999年のノーベル化学賞となっているよ。
ところが、電子の動きはこれより更に100倍から10万倍も高速!なのでフェムト秒パルス光でさえ、電子の動きを見ることは不可能なので、更に一段上のパルス光が必要となってくるよ。
短い時間の光を当てれば高速な現象も見ることができる。単純だけどとてもわかりやすいね。実際この種の研究は、レーザー登場以前の1949年のマイクロ秒スケールから時間を短くしてく努力の積み重ねで成り立っているよ。
しかし、電子の動きは1アト秒から数百アト秒 (数千兆分の1秒から100京分の1秒) という短さなので、電子の動きを見るには「アト秒パルス光」が必要となってくるよ!もはやどんな単位?ってなってくるよね。
アト秒の世界は本当に短い時間だよ。1アト秒に対する1秒は、宇宙の年齢に対する1秒とほぼ同じスケールだよ! (Image Credit: Johan Jarnestad, The Royal Swedish Academy of Sciences / 日本語訳は筆者による)
今までフェムトとかアトとか出てきたけど、これはナノやマイクロやミリのように、大きさを表す接頭語をつけた単位だよ。アトとは10-18、つまり100京分の1を表す接頭語だから、1アト秒が100京分の1秒なわけ。
とはいえ1アト秒と言われてもピンとこないよね?1アト秒刻みの目盛りで1秒を計るのは、1秒刻みの目盛りで宇宙の年齢138億年を計るのと大体同じスケールだよ!え?これもよくわからない?そうかもね~。
ただ、アト秒の世界を見るというのは、今までのフェムト秒までの世界を見るのとは話が全く違ってくるよ。というのは、アト秒程度になると「短い時間の光を当てれば」という前提を成り立たせるのが困難だからだよ。
光というのは振動する波の性質を持っているので、1秒間に何回か振動しているわけだね。例えば私たちの目で見ることができる可視光線は、1秒間に約500兆回振動しているよ!
光でモノを見るということが成立するには、当てた光が最低でも1回分振動する時間が必要になってくるよ。つまり光が1回振動するより短い現象というのは、原理的には光を当てて見るという行為が不可能となってしまうよ!
実際、従来のパルス光技術で実現可能だった光の長さは、最も短いもので6フェムト秒だったよ。これは原子の動きを見るには十分でも、電子の動きを捉えるにはあまりにも時間が長すぎる光なんだよね。
これより振動周期の短い光は、そもそもパルス光はおろか、パルス光の素となるレーザーにできないなどの問題があったから、短い時間だけ光を当てて電子を見ることは不可能だと考えられるようになったよ。
ところで、これとは別の話として、科学者たちは1980年代ごろから、電子を何個も失って高度にイオン化した原子の研究をしていて、その生成方法として強力なレーザーを使用していたよ。
この実験を行うには、どんな感じのレーザーを当てると原子はどの程度イオン化し、その結果どんな光を出すのか、を詳しく知らないと実験のセッティングができないから、イオンから放出される光を色々測っていたよ。
特に、放出される光の波長と強度は興味を持って見られていたよ。そもそもとしてイオン化した原子から光が放出されるのは、電子がレーザーのエネルギーを吸収し、その後放出するからだよ。
電子がエネルギーを受け取ると、坂道の上にあるかのように不安定な状態となるので、すぐにエネルギーを放出して安定化を図るよ。この時に放つ光は何でもいいわけではなく、必ず元のエネルギーとの関係性を持つよ。
より具体的には、原子スケールの世界を記述する「量子力学」の制約により、放たれる光の波長は必ず元のレーザーの整数倍になる、という縛りがあるよ。ならどの倍数の光が強いのか、この辺を探っていたわけだね。
1人目の受賞者であるアンヌ・ルイリエ氏は1988年、当時所属していたフランスの研究所で、イオン化した貴ガス[注2]に赤外線レーザーを当てる実験を行っていた時に、奇妙な現象が起きていることに気づいたよ。
イオン化したアルゴンに1013W/cm2という超強力な1064nm赤外線レーザーを当てると、その波長の整数倍となる光が放出されていたよ。それ自体は不思議じゃないんだけど、問題はその強度だよ。
原子から放出される光はレーザーの波長の整数倍とは言ったけど、倍数が大きいほどその波長の光は出にくいので、波長に対する光の強度のグラフを書くと、どんどん減少する右下がりの直線グラフになるはずだよ。
a原子にエネルギーを与えて放たれる光は、周波数が大きくなるほど、つまり波長が短くなるほど、放たれる量が少なくなるので、単純な右下がりのグラフになるはずだよ。ところが強度の強いレーザーを使うと、途中でほとんど減少しない「プラトー」と呼ばれるものが出現すると分かったよ! (Image Credit: Johan Jarnestad, The Royal Swedish Academy of Sciences / 日本語訳は筆者による)
ところが1988年の実験では、4倍以下の波長の光予想通り減少したものの、5倍から33倍にかけては強度がほとんど減少せず、そして34倍以上はほとんど消えてしまう、という右下がりの直線グラフとは程遠い形だったよ!
ほとんど強度が減少しない「プラトー (台地)」を発見したルイリエ氏らは、プラトーをうまいこと使えば短いパルス光を生成できるんじゃないか?と考えたんだけど、そのためにはプラトーの発生原理を知る必要があるよ。
1991年にルイリエ氏らは、「時間依存シュレディンガー方程式」を解くことで、プラトーが発生する原理を理論的に説明したよ。これにより、プラトーを利用した短いパルス光生成のめどが初めて立ったよ!
これとは別に、2人目の受賞者であるピエール・アゴスティーニ氏は、1979年に「超閾イオン化 (ATI; Above-Threshold Ionization)」と呼ばれる現象を見つけ、1990年代にはこの研究の第一人者となっていたよ。
電子がレーザーのエネルギーを受け取って原子から飛び出す、という現象を観察していると、電子が原子を飛び出す時に必要な最低のエネルギーより多くのエネルギーを吸収する、という現象が稀に見つかるよ。これが超閾イオン化だよ。
電子は原子を飛び出してイオン化するのに必要な分以上のエネルギーを持っているので、これは電子そのものの運動エネルギーに変換され、かなり高速で電子が動いていることを示唆する結果だよ。
超閾イオン化の前提を踏まえ、K.C. Kulander氏やP. B. Corkum氏はそれぞれ独自に、プラトーが発生した時のイオンから放たれる、極めて波長が短い極紫外線[注3]のパルス光がどのように発生するのかを理論化したよ。
レーザーによってアト秒パルス光が発生する原理。電子が原子と衝突して放出されたエネルギーによって発生することから、アト秒物理学が「自分で自分を見る方法」と呼ばれる理由となっているよ。 (Image Credit: Johan Jarnestad, The Royal Swedish Academy of Sciences / 日本語訳は筆者による)
原子と結合している電子は、エネルギー的に最も安定な状態だからその場にいるよ。エネルギーの大きさで線を書けば、電子は漏斗状の坂の底にある穴にいるような状態で、谷底のボールのように勝手には這い上がらないよ。
どうしたら電子を取り出せるか?普通に考えれば、穴の底の電子から見て上り坂となっている坂を登らせるだけのエネルギーを与える、だよね?ところがこれは古典的な考えで、量子力学を考慮すると答えが変わってくるよ。
電子にレーザー、つまり光の波を与えると、まず坂道の形状が変化し、片側が上り坂から下り坂になるよ。とはいえこれは電子を穴の底から出すほどのエネルギーじゃないので、やはりこのままでは電子に変化がないよ。
しかし、量子力学では「トンネル効果」[注4]によって、電子の位置が穴からズレることがあるので、下り坂の方に電子が移動することがあるよ。これにより電子はエネルギーの坂を下っていくよ。
ただ、光は波であるので、一旦下り坂へと変化したエネルギーの坂は、今度は上り坂になるよ。電子は上り坂を登るほどのエネルギーがないので、変化した坂の影響を受け、急激に元の位置、つまり原子まで戻ってくるよ。
ただ、電子は上り坂のある程度上から原子に向かって落ちてくるので、運動エネルギーを持ったまま原子に衝突するよ!この時に放たれる光が、短い時間だけ持続する高エネルギーな光、つまり波長の短いパルス光となるよ!
Kulander氏やCorkum氏が提唱したこのモデルは半古典的なものなので、1994年には量子力学で解き直したモデルが再構築されたよ。この研究に関わった研究者の1人がルイリエ氏だよ。
超閾イオン化とプラトーを組み合わせることでのアト秒パルス光での観察は、光の放出がその原子自身に由来するので、アト秒パルス光は「自分で自分を見る方法」と例えられるようにもなったよ。
普通のレーザー技術では実現しないほどの波長の短いアト秒パルス光が放たれる下地ができたので、次はパルス光の具体的な利用をしたい、と言いたいところだけど、更にもう一段階の発展が必要だよ。
つまり、いくら時間が短いパルス光と言っても、どれくらいの長さなのかが分からないと実際に使った時の様子が分からないし、できれば連続ではなく1回だけの孤立したパルス光を取り出したい、と考えたわけだよ。
最初の1歩は1994年にアゴスティーニ氏によってもたらされ、パルス光の取り出し方法と時間測定に関する重要な基盤が確立したよ!これは後に「RABBIT法」と呼ばれるようになったよ。
更にKulander氏やCorkum氏など、いくつかの研究者により、原子に当てるレーザーについて特定の条件を整えると、波長の短いパルス光が1回だけの孤立した状態で放出されることが理論的に証明されたよ。
ここでようやく下地が構築され、1997年には3人目の受賞者であるフェレンツ・クラウス氏らによって、クリプトンから放出される4.5フェムト秒のパルス光という、当時の世界最短のパルス光が初めて実現したよ!
アト秒パルス光を放出して電子を見るための実験装置のセットアップ例。ここまでこぎつけるには、何十年もの研究による理論と実践の蓄積が不可欠だったよ! (Image Credit: Johan Jarnestad, The Royal Swedish Academy of Sciences / 日本語訳は筆者による)
そして2001年、ついにアト秒パルス光と名がつく、極めて時間が短いパルス光が報告されたよ!重大な報告の1つはアゴスティーニ氏で、アルゴンから放出される250アト秒の連続パルスの取り出しに成功したよ!
そしてもう1つの記録はクラウス氏によるもので、時間こそ650アト秒とアゴスティーニ氏の研究より長いものの、1個の孤立したパルス光であるという点がとてもすごいよ!
アト秒パルス光はその後も洗練され続けていて、2017年にはわずか43アト秒のパルス光が作れるようになるなど、アト秒物理学黎明期と比べても中々とんでもないことになりつつあるよ!
アト秒パルス光によって新しい物理学の分野「アト秒物理学」の扉が開かれたことにより、例えば「光電効果」[注5]のような基本的とすら思える現象について、具体的な時間測定ができるようになったよ。
光電効果の原理は1905年にアルベルト・アインシュタインによって理論的に証明されたことで、量子力学の基礎の1つとなり、これは1921年にノーベル物理学賞となっているよ。現在では教科書にも載る基本的な話だね。
ところが、光電効果が起こる理由は理解していても、電子が光を受けて原子から飛び出すまでの様子、というのは誰も見たことが無かったよ。それくらい光電効果は一瞬の出来事だよ!
特に、電子が光を受けて原子から飛び出すまでの時間は、電子が元々いた位置によってズレが生じるだろうと考えられていたんだけど、あまりにも短い時間なので、誰も測定に成功してなかったよ。
クラウス氏らは2010年に、アト秒パルス光によってネオンの光電効果を計測し、電子が元々いた位置によって21アト秒のズレがあり、電子が原子の周りを移動する時間と区別ができることを初めて示したよ!
この研究は当初、理論と実験結果が合わないという問題に当たっちゃったものの、その後の理論の洗練に繋がり、結果としてクラウス氏が得た結果が正しいことが証明されたよ!
また、アト秒パルス光は、最初に説明したズウェイル氏のフェムト秒パルス光との絡みがあるよ。というのは、フェムト秒パルス光は「ポンプ-プローブ分光法」という原子の状態の分析方法に利用されるからだよ。
つまり、フェムト秒パルス光によるポンプ-プローブ分光法で電子を振動させて、アト秒パルス光で電子の様子を測定することで、フェムト秒パルス光のみよりも更に深く原子の状態を知ることが可能になるよ!
更にクラウス氏は、アト秒パルス光やその他の技術を組み合わせ、生体分子を分析する「電場分子フィンガープリンティング (Electric-Field Molecular Fingerprinting)」と呼ばれる分析手法を確立したよ!
この分析手法は、例えば血液中に含まれる微量の分子を分析し、病気に関連する分子を特定あるいは見つけるなど、生化学に関する新しい分析方法として期待されているよ!
この分析方法は、多くの分子を同時に分析できることに加え、電離放射線を使っていないので生体に対して有害ではないという強みがあるよ!アト秒物理学はいよいよ生化学まで領域を広げかけているよ!
そして現在では、物理学の中でも興味深く、かつ謎も多い、低温での物質の凝縮相の研究に使われ始めるなど、アト秒物理学がこれから開拓する領域はたくさんあるよ!
正直、アト秒物理学は現在でも新しい分野を開拓中と言える状態で、既に成果を上げているアト秒物理学でも、更なる発展が期待される感じでもあるよ!
理論の基礎を作ったルイリエ氏、そして実際にアト秒パルス光を作り出したアゴスティーニ氏とクラウス氏によって、人類は物質の理解を更に深めることができるようになった。これがノーベル物理学賞の理由だね!
[注1] ピエール・アゴスティーニ氏の出身地と生年月日
この解説記事の執筆時点では、ノーベル財団の公式ページに情報が無かったため、1970年発行のEEE Journal of Quantum Electronics誌の情報を参考にした。
[注2] 貴ガス
第18族元素の別称。旧称「希ガス」。安定な元素はヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン。1つの原子で構成された気体であるため、レーザー物理学の分野では多用される。
[注3] 極紫外線
英語の名称 "Extreme ultraviolet" の略で「EUV」または「XUV」とも。波長121nmから10nmまでの紫外線で、極めてエネルギーが高い。X線との境界に位置するため、波長の短い極紫外線は文脈によっては軟X線に分類されることもある。
[注4] トンネル効果
量子力学の不確定性原理で発生する現象。マクロの世界では、高い壁を乗り越えて反対側にボールを投げるには、ボールを壁よりも高く上げるしかない。ミクロの世界では、高い壁に相当するエネルギー障壁を粒子が乗り越えるためには、通常は乗り越えるためのエネルギーを与えないといけない。しかし不確定性原理によって、粒子はエネルギー障壁の向こう側に存在する可能性がゼロではないため、確率的にエネルギー障壁の向こう側に行ってしまうことがある。これがあたかも、壁に空いたトンネルを潜り抜けたように思えるため、これをトンネル効果と呼ぶ。
[注5] 光電効果
物質に光を当てると電子が飛び出す現象。現在ではデジタルカメラのCCD素子や太陽光発電に応用されている。19世紀までの研究により、光の正体が粒子であるのか波動であるのかが問題となり、光電効果については、光が粒子であっても波動であっても、どちらか片方だけでは説明がつかない部分が存在した。アルベルト・アインシュタインは1905年に「光は粒子と波動の両方の性質を同時に持つ」という「光量子仮説」を提唱し、後にこれが正しいと証明されたことで1921年にノーベル物理学賞が贈られた。光は量子でできているという考えは、後に量子力学を組み立てる上で非常に重要な概念の1つとなった。
[ノーベル財団の公式資料]
[受賞理由に関わる主要な論文]
[授賞理由と関わりの深い研究論文]