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私たち人間は大人に成長していくうちに、自分でトイレに行くことができますが、産まれてからしばらくは垂れ流すしかありません。そんな時に助けてくれるのが『紙おむつ』ですよね。赤ちゃんの頃に履かせてもらっていた方も多いと思います。
そんな紙おむつの歴史は意外と浅く、世界で初めて紙おむつが誕生したのは1940年代であり、それまでは布おむつが主流でした。そこから現在のような、たくさん水を吸ってくれる紙おむつに進化したのは、もう少し後の1980年代となります。履き心地良く、嫌な臭いを抑えてくれたり、たくさん水を吸収してくれるようになったりと、おむつも日々進化を続けており、子育ての負担を大きく減らしてくれる、無くてはならない存在ですね。
では、どうしておむつはたくさん水を吸収することができるのでしょうか? 今回はその秘密に迫ります! また、おむつを利用して芳香剤を作ってみましょう。
CONTENTS
おむつがどうして糞尿をたくさん吸うことができるのかを確かめるため、まずはおむつを分解してみましょう。
準備するもの
※おむつを分解する際、綿埃がたくさん舞うので、マスクの着用をお勧めします。また、高吸水性樹脂が目に入ると危険です。分解する時はゴーグルを着用しましょう。
それでは始めましょう。これからの作業はバットの上で行ってくださいね。
① まずはおむつの端をはさみで切ります。
② 端を切ったらおむつを2つに割いていきます。
③ 綿の上側や綿の間にたくさん高吸水性樹脂が入っているので、回収していきます。
小さな白い粒が高吸水性樹脂です↓
④ 綿の間の高吸水性樹脂は指でわしゃわしゃすると落ちていくので、しっかりと回収しましょう。
この時、高吸水性樹脂を下側の面に一旦落としてから、傾けて一気にバットに入れるのがコツです。できる限り回収し残しが無いように手でもしっかり払うとたくさん落ちていきます。
余分な綿はある程度取って捨て、バットに落ちた高吸水性樹脂をコップに移しましょう。高吸水性樹脂をコップに入れるには、マドラースプーンを使用するのがおすすめです。紙コップやプラスチックのコップに高吸水性樹脂を少し入れてみましょう。(この後芳香剤作りにも使うので、すべての高吸水性樹脂をコップに移してしまわないよう注意)
ちなみにコップに少し綿が入り込んでしまった場合、コップを少し振ることで綿が上に上がってくるので、綺麗に取ることができますよ。
さて、先ほど少しコップに移した高吸水性樹脂が、どのように水を吸うのか観察しましょう。実験は簡単。コップに水を少しずつ入れていくだけです。
しっかりと水を吸えば、このように逆さにしても落ちません。
水を入れたコップを逆さまにしても出てこない!なんて科学マジックをすることもできます。高吸水性樹脂の量に対して、どのくらいの量の水を何秒で吸うのかを確かめ、みんなに披露してみましょう。
例えば、マドラー1杯の高吸水性樹脂でどれくらいの水を吸えるのでしょうか? 実験してみてくださいね。
高吸水性樹脂に水を加えると、はじめは小さかったのに、どんどん大きくなっていくのが目に見えてわかるとおもいます。高吸水性樹脂はイクラのように膜の中に水を閉じ込めているわけではなく、網目状になったところにたくさんの水をかかえていきます。そうすることで最初の大きさから何倍もの大きさにふくれることができるのです。だから、おむつに染み込んできたたくさんの糞尿を漏らさずにキャッチすることができるのですよ。
さて、いよいよタイトルの実験です。先ほど分解したおむつに含まれていた高吸水性樹脂を使用し、芳香剤作りに挑戦してみましょう。
準備するもの
① まずは完成予想図を作りましょう。
② 食用色素を水に溶かして、色水を作りましょう。コップ1杯に対して、食用色素に附属のスプーン半杯でも十分色はつきます。入れすぎると濃くなり瓶に入れた時に暗い色になるため、入れすぎには注意です。上記の量でも少し濃いと思う方は少なめにしたり、水を入れて薄めたりして、自分で調整してみてください。
③ ガラス瓶に高吸水性樹脂をマドラースプーンで5杯入れ、色水をいれます。色水を入れ終わったら完全に水を吸ってくれるのを待ちます。まだ高吸水性樹脂に完全に色水が吸われていない状態で次の色水をいれてしまうと、混ざってしまうので注意が必要です。きちんと吸ってくれたかを判断する指標として、上に高吸水性樹脂をかけても白い粉として残ってくれればOKです。もし、少ないと感じる場合は高吸水性樹脂を足してください。
④ 完全に高吸水性樹脂が色水を吸ってくれたことを確認したら、再び高吸水性樹脂をマドラースプーンで全体に広げるように5杯入れます。この時、高吸水性樹脂を入れすぎてしまうと、水を吸わなかった高吸水性樹脂が白い粉として残ってしまうので注意しましょう。
⑤ 次の色水を始めはスポイトを使いながら、まんべんなく全体に入れていきましょう。横から見た時、きちんと層になっているかを確認します。だいたい1 cmくらい層ができたら、そっと優しく色水を注いでいきましょう。下の層がしっかり固まっていても勢いよく注いでしまうと、色が混ざってしまうので注意が必要です。
⑥ 2層目ができたら、3層目も同じ手順で作っていきましょう。
⑦ 最後に好きな香料を入れて完成です。
おむつは誰しもがお世話になったことがあるものであり、身近な科学がつまっています。
ぜひ、どうしておむつがたくさんの水を吸うことができるのか?を実験で学びながら、自分だけのオリジナル芳香剤作りにチャレンジしてみてください。市販の消臭ビーズと組み合わせても綺麗ですし、うまくやれば3層以上の色の層を作ることができますよ!
大きな瓶で綺麗な色の層を作るにはかなりコツが必要なので、事前に予備実験を行うことをお勧めします。生徒には2層目以降はすべてスポイトで入れてもらうと失敗する確率は減りますが、瓶が大きいとかなり時間がかかるので、瓶の大きさは対象の生徒の学年によって検討してみてください。小さめの瓶でしたら失敗する確率は減ります。また、試験管の中であれば色水の入れ方に注意せずとも簡単に色の層を作ることができるので、消臭剤作りが難しい場合は、試験管の中に色の層を作る実験でも同じように高吸水性樹脂について学んでいただけるかと思います。