局所排気装置の定期自主検査および点検について

2021.09.16

2022年の労働安全衛生法施行令、および労働安全衛生規則等の省令の一部改正により、2024年4月の施行後は段階的に順次追加され、国のGHS分類による危険性・有害性が確認された全ての物質(2900物質+α)がリスクアセスメント対象になります。

詳細リーフレットは下記画像リンクを参照ください。

 

 

特定化学物質、有機溶剤、鉛、粉じんを扱う際には、健康障害が起こらないように正しい作業方法を守らせ、きちんと検査された排気装置を使用することが不可欠です。

この記事では、そうした排気装置の自主検査に欠かせない「風速計」メーカーである株式会社テストー様監修のもと、自主検査の方法および風速計の原理について、解説いただきました。

局所排気装置そのものの機構や法令関係をまとめた記事としては、下記の記事も解説しております。あわせてお読みいただけると幸いです。

局所排気装置(ヒュームフード)の機構・法令関係・定期点検について

はじめに

労働安全衛生法では、特定化学物質、有機溶剤、鉛、粉じんは健康障害が多発する物質として個別規則が設けられています。職務上これらの物質を取り扱うには作業主任者を置き、労働衛生の3管理「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」を推進し、正しい作業方法を守らせる必要があります。(粉じんは作業主任選任義務はなく、特別教育を受けた作業者による自主点検のみ。)

また、一定の危険性・有害性が確認されている化学物質*については、事業者に危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)が義務付けられています。
*安全データシート(SDS)の交付が義務づけられている6674物質

リスクアセスメントとは、①危険性・有害性の特定 ②リスクの見積 ③優先度の設定 ④リスク低減措置の決定の一連の手順で、事業者はその結果に基づき、適正なリスク低減措置を講じ、労働者へ結果を周知します。

局所排気装置の定期自主検査してますか?

局所排気装置の自主検査および点検は、労働安全衛生法 第四十五条(法令)、および以下の省令により義務付けられています。

「作業主任者による点検」: 作業主任者の職務: 局所排気装置等、労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を1か月を超えない期間ごとに点検する。
(有機溶剤中毒予防規則 第十九条、特定化学物質障害予防規則 第二十八条)

 

「定期自主検査」: 局所排気装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。
(有機溶剤中毒予防規則 第二十条、特定化学物質障害予防規則 第三十条)

 

「記録」: 自主検査を行ったときは、必要な事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。
(有機溶剤中毒予防規則 第二十一条、特定化学物質等障害予防規則 第三十二条)

罰則規定も定められており、これらを遵守していない場合は、50万円以下の罰金が課せられます。

 

【参考URL】
労働安全衛生法
https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-1/hor1-1-1-m-0.htm

有機溶剤中毒予防規則
https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-21-m-0.htm

特定化学物質障害予防規則
http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-29-m-0.htm

定期点検を怠ると・・・

適正な換気がされていないと、有害物質はガス、蒸気、粉じんとなって室内に拡散され、呼吸器・皮膚・消化器より人体に吸収されます。吸収量が代謝による対外排出を上回ることが長期間続くと中毒や内臓疾患等の健康上の被害、精神障害を引き起こします。

2014年以前、特別規則で規制されていなかった化学物質が原因の労災事案(胆管がん)が発生したことで、2014年6月に労働安全衛生法が改正(施行は2016年6月)され、化学物質管理の在り方が見直されました。現在、リスクアセスメントの義務化範囲は、個別規則が設けられた物質を含め、674物質に広げられています。

また、改正後の労働安全衛生法では、化学物質に接していることに起因するストレスをチェックする制度(従事者が50名以上の事業者を対象)や、同一事業者における同種の災害が発生すると厚生労働大臣が企業単位で改善計画を作成させ、改善を図らせる仕組みも創設されました。従わない場合は企業名が公表されます。

囲い式フードの定期検査の方法

局所排気装置等の点検は作業主任者が行います。研究室や実験室で一般的に使用されるのは、吸引効果の高い囲い式ドラフトチャンバです。

作業主任者による点検は、1か月を超えない期間ごとに1回と決められており、定期的な自主検査・記録により、換気量が低下していないかの判断ができます。

検査項目:
1. フード、ダクト及びファンの摩耗、腐食、くぼみその他損傷の有無及びその程度
2. ダクト及び排風機におけるじんあいのたい積状態
3. 排風機の注油状態
4. ダクトの接続部における緩みの有無
5. 電動機とファンを連結するベルトの作動状態
6. 吸気及び排気の能力
7. 前各号に掲げるもののほか、性能を保持するため必要な事項

(有機溶剤中毒予防規則 第二十条2、特定化学物質障害予防規則 第三十条)

 

風速計の原理の説明

点検項目の 6.に関して、ドラフトチャンバで有機溶剤を使用する場合の制御風速は 0.4 m/s です。これはフードを全開にした状態で、1辺が0.5 mになるよう16分割(極端に小さい場合は2分割)し、すべての分割エリアでの 0.4 m/s 以上であれば、吸排気能力ありと判断されるというものです。

図1 開口部を16分割する

 

また、特定化学物質**がガス状であれば 0.5 m/s、粒子状であれば 1.0 m/sという制御風速が求められています。
**特定化学物質の抑制濃度で排気能力を確認する物質もあります。

 

風速センサには熱線式やベーン式がありますが、0.4 m/s 前後の風速を測定するには熱線式センサが採用された風速計が適しています。熱線式センサは、0.03~5 m/s の微~低風速域において、0.01 m/sの分解能で高精度に風速を測定します。
※粒子状の物質は熱線式センサに付着すると測定性能に影響しますので、おすすめはできません。

 

図2 風速計の指向性について

熱線式風速計には一定の温度を保つよう細い金属線のようなセンサが取り付けられています。この熱線に風が当たり温度が下がると、元の温度に戻すために電流が流れます。この時の電流値を風速値に換算し表示しています。このプローブは指向性があるため、吸入口に対してセンサヘッドの向きを風速の最大値が出るよう少しずつ動かします。図2の右に示したグラフは、360°センサを回転させた場合の指向性を表したものです。正しく風速を測定するために、センサの向きに注意してください。

 

内蔵メモリが搭載された機種なら測定値を本体に記録できるので、16ポイントを連続して測定することができます。

図3 内蔵メモリが搭載された機種の例(製品サイトへのリンク)

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事では、風速計の仕組み解説に焦点を当て、局所排気装置の自主検査および点検について規制や法令情報を交えて解説いたしました。

局所排気装置そのものの機構や法令関係をまとめた記事としては、下記でも解説しております。

あわせてお読みいただけると幸いです。

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