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去る2025年8月17日、今年も開催された夏のビッグイベント、コミックマーケット106! コミケ2日目であるこの日の入場者数は約13万人だった。私は毎年のようにコミックマーケットに参加している。コミケと言えば、エッチなマンガというイメージが定着しているが、それだけではない! 私が参加しているジャンル「評論・情報」は、自分で調べたこだわりの同人誌を頒布する場所。様々な研究者が割と潜んでいる色々なものがあるエリアだ。私はいつものように参加していたのだが、今年は私のブースがちょっとした夏コミの観光スポットと化して面白かったので、その話をしよう。

以前の記事で詳しく紹介したが、コミックマーケットはマンガやコスプレだけでなく、やり方によってはサイエンスコミュニケーションに有効な場所である。私が毎回出展している評論島は、その他のジャンルにカテゴライズされる様々な分野がひしめき合っているエリアで、通の間ではコミケで一番面白いエリアとして知られている。ここに全てがある訳ではないが、本当に色々ある。こんなものを収集している人がいるのか!と驚くと同時に、ここなら自分も同志を見付けられるかもという期待感も湧く。実際に物を買わなくても見て回るだけで楽しい。
私がコミケに参加する目的は、自分の研究成果を一般の人に普及する、同人誌やグッズを頒布して小遣いを稼ぐ、来場者からマンボウ情報を収集するの3点だ。毎回サークル出展していると常連の方もできてくるが、それ以上に新規で来られる方が多いのがコミケである。評論島は物珍しさを見にふらりとやって来る人も多いので、毎回マンボウのサークルなんてあるの!?と驚かれる。私はイベント前日に天気予報をチェックをして、イベント当日が雨予報でなければ、マンボウの干物を持って行くようにしている。この理由は単純に、マンボウは一般的に触れる魚ではないので、ブースに来た人に実物のマンボウを体感してもらおうと思って持って行くのだ。一見は百聞に如かずと言うように、マンボウの干物を私のブースに来てくれた方々に差し出すと、多くの場合、喜んで触っていく。これこそ一種のサイエンスコミュニケーションだ。マンボウはツルツルしたイメージを持たれるが、実際はザラザラした手触りで、これはマンボウがフグ科+ハリセンボン科に近い仲間だから鱗が棘状になっているのですよ、と教えてあげると知らなかったと返す人が多い。私はもうかれこれ18年ほどマンボウを研究してきて、私がいくら発信したところで、多くの人に私の研究成果は届かないということを悟ってしまったので、せめて関わりがあった人にマンボウの面白い話を少しでも届けることができたらいいなという思いで、イベントに参加している。
今回もいつものようにたまたまブースに来てくれた方々にマンボウの干物を触ってもらっていたのだが、途中から「マンボウの干物の写真を撮って良いですか?」というマンボウの干物の目的で私のブースに来る人が多くなった。X(旧Twitter)で拡散でもされたのかな?と思って、触りに来た人に聞いてみると、TRPGデザイナーである朱鷺田祐介さんのポストを見て私のブースに来たのだという。早速Xで検索してみると……マンボウの干物がバズっていた!

干物にXのアカウント名を貼り付けていたので、それで私のXアカウントを検索した人がブースに次々とやって来たのだ。ちょっとした観光スポットになり、マンボウの干物の写真だけを撮って去って行く人が多かった……まあせっかくのハレの祭典であるコミケで、マンボウの干物も一つの想い出になるといいなと私は思ったので、積極的に写真を撮ってもらった。中にはマンボウに興味を持ち、私の頒布している同人誌やグッズを買って下さる人もいたし! この話題はtogetterにもまとめられ、評論島の面白さを知ることにも貢献できたので嬉しい限りだ。
バズった朱鷺田祐介さんのポストに反応した他の方々のコメントを見ていると、やはり値段を気にしている人が多かった。マンボウの干物は非売品なのだが、普通に書くと面白くないので、3億円と値札を付けている。実はこの値段、テレビや有名人がマンボウの干物を触ると付加価値が上がるシステムで、少しずつ変動している。最初の方は1500万円くらいだった。

実はこの干物、コミケで話題になったのは今回が初めてではなく、C100でも話題になったことがあり、その時はtogetter公式に取材記事を書いて頂いた。もうかれこれ10年近くあちこちのイベントに持ち運んでいる。余裕で数百人以上の人々に触ってもらった相棒的存在となっている。
マンボウは水分含量が非常に多いため、カラカラの干物の状態にするまでかなり苦労した。片側の皮を残すように慎重に解剖していき、可能な限り水分を多く含む皮下ゼラチン層をナイフで削り落とす。水分を早く飛ばすためにドライヤーで何時間も何時間も熱風を当て、ティッシュを何回も内側に貼り付けて水分を吸収させ、天日干しで完全に水分を飛ばした。この干物を作った時の記録は取っていないが、結構手間暇掛かったのは覚えている。小型のマンボウさえ入手できれば、誰でもマンボウの干物を作ることはできるが、きれいに作るにはそれなりに時間とお金が掛かることは覚悟しておいてほしい。私のマンボウの干物は長年イベントなどで使っているせいで背鰭の先端が欠けてしまったが、今後もまだ見ぬマンボウお触り未体験の方々に、サイエンスコミュニケーションの一環としてマンボウの実物を知ってもらうため、活躍してもらおうと思っている。
マンボウの
干物触って
ザラザラ感
その体験を
想い出にして