近くて遠い?ノーベル賞|研究所で働く漫画家兼テクニシャンが送る4コマ『ラボりだな日々』第22話

2025.10.01

バイオ系研究所で働くテクニシャン(技術員)でありながら漫画家として活躍するAyaneアヤネさんによる「ラボりだな日々」(※ラボりだ…ラボから離脱すること。ラボから帰ることの意を持つ造語)。

第22回のテーマは「近くて遠い?ノーベル賞」です。

 

 

 

こんにちは!ラボりだな日々、第22回のテーマは「近くて遠い?ノーベル賞」です。今回の漫画では、ノーベル賞の発表日を迎えたある研究所の日常が描かれています。ノーベル賞ウィークは研究機関にとって特別なシーズンですが、候補者が身近にいるラボでは、ちょっと違った“あわただしさ”が漂います。

そもそもノーベル賞って?

ノーベル賞とは、スウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベルの遺言に基づいて創設された、「人類のために最大の貢献をした人物」に贈られる世界的な賞です。

賞は以下の6部門に分かれています

・物理学賞

・化学賞生理学

・医学賞

・文学賞

・平和賞

・経済学賞(これはノーベルの遺言に基づくものではなく、後に追加された部門)

そして2024年のノーベル生理学・医学賞は、ヴィクター・アンブロス(Victor Ambros)博士とゲイリー・ラヴカン(Gary Ruvkun)博士に共同で授与されました。

受賞理由は、microRNA(マイクロRNA)の発見と、その転写後遺伝子制御における役割の解明によるものです。私たちの体の中で、たんぱく質を作る設計図(=遺伝子)がどう読み取られ、必要なタイミングで「オン・オフ」されるのか。その鍵を握る存在としてmicroRNAが注目されるきっかけを作った、まさに生命科学の基盤を揺るがす発見でした。

ノーベル賞の日、研究所がざわつく

発表当日の朝、研究所内では「報道関係者は本部棟へ」との張り紙が掲示され、すでにざわざわとした空気が漂っています。

「今年こそはY先生が…!」という期待が高まる中、発表前から報道機関からの“取材の予約の予約”がたくさん…!ラボの秘書さんや広報担当は電話対応に追われ、研究所内もなんとなくソワソワした雰囲気。

一方、肝心のY先生は落ち着いた様子で、周囲の喧騒もなんのその、毎年恒例のように平常運転です。これもまた風物詩のようになっています。

候補者が身近にいるということ

Ayaneも語っていたように、「ノーベル賞候補者のそばで働く」というのは、研究の世界に入る前はあまり想像したことのない環境です。

でも、実際にその“そば”にいると、取材対応や記者会見の準備、万が一の対応まで、多くの人が裏でドタバタと動いていることを目の当たりにします。

なかなか該当する人も少ないと思うのですが、受賞しても、受賞しなくても、ある種大変なのだなぁと思いました。

研究者にとっての「ノーベル賞」とは?

ノーベル賞受賞は世界中の研究者からの尊敬を集め、後進の研究者たちにも大きな影響を与えます。

一方で、多くの研究者にとってノーベル賞は「目指して取るものではない」とも言われます。多くの研究者にとってのモチベーションは

・「まだ知られていないことを明らかにしたい」

・「病気を治す手がかりを見つけたい」

・「誰かの役に立ちたい」

といった、もっと“生活に根ざした探究心”です(こちらはもちろん人それぞれですが)その結果がいつかノーベル賞という形で評価されることもある――というイメージに近いかもしれません。

近くて遠い、でも確かに誇らしい

毎年ノーベル賞の季節になると、研究所の空気が少し変わります。どこか緊張感がありつつも、誇らしいムードも漂う、不思議な一週間。候補者が受賞すれば大きなニュースに、惜しくも逃した年には「また来年!」という声が飛び交う。そんな“ノーベル賞のそばにいる日常”は、少し特別で、でも少し身近でもあります。

研究者にとってノーベル賞は、決してすぐ手が届くものではないけれど、「研究の力が社会に届く瞬間」として、私たちを勇気づけてくれる存在です。

 

それではまた次回!

次はどんな「ラボの一コマ」をお届けできるでしょうか?お楽しみに。

 

Ayane_icon
【著者紹介】Ayane

サイエンスコミックライター(漫画家、イラストレーター)
日本にある某生命科学研究所でテクニシャンとして勤務しながら、Science X Manga X Kawaiiをテーマに漫画を描くサイエンスコミックライターとして活動させていただいております!