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最近、「バイオミメティクスを知りたい」という人と話す機会がとても多かった。そのような人達と話して感じたのは、よく知られている活用例よりもどうやって生物アイデアを見つけだすかということ。
論文だと「この生物を参考に、技術を開発しました」と書かれるが、どのようにその生物に気付いたのかはほぼ記されない。
しかし、バイオミメティクスを使いたい人にとって知りたいのは「生物アイディアの発端」である。
今回は、課題から生物につなげる方法について書いていく。

CONTENTS

まず、どのような課題を解決したいのかを言葉に表そう。
注意するのは、目的の設定方法である。例えば、「新しい扇風機を作りたい」は目的としては良いが、課題がわからない。
後の段階で扱いやすいように、「どうすれば涼しくなるか」「どうすれば効率よく風を送れるか」など、できるだけ具体的に表現しよう。
コツとしては「どうしたいか」を考えた後に、「どうするか」「どうすれば〇〇できるか」の文章で表すのが良い。
課題設定の段階では生物のことは一旦忘れて、解決したい課題や解決後の理想を具体的にイメージする。
次に、「どうすれば〇〇できるか」を「生物はどのように〇〇しているのか」の形で、自然界にある言葉に変換しよう。
この段階では生物を探しやすくするための準備を行う。扇風機、乗り物、電池といった人工物がここに含まれてしまうと、参考にする生物を探せなくなるので、商品の中の機能に着目する必要がある。

例えば、扇風機なら「空気をうまく動かしている」「涼しく保っている」などである。また、「この角度と速度でまわる物体の表面で空気抵抗を〇〇%減少させる」など、細かく指定しすぎるのもアイデアを探しにくくなるので、最初は少なくとも一つの生物アイデアが見つかるように広く考えよう。
その作業の中で「耐熱」「換気」などキーワードを把握しておくと、次の段階で生物を探しやすい。
バイオミメティクスのメイン作業である生物探索。
考え方は色々あるが、「生物はどのように〇〇しているのか」を基に、同じ問題に取り組む必要のある生物、という視点で探すのが王道だろう。

「(キーワード)、生物」の検索ででてくる場合もある。生息環境であったり、他の生物との相互関係であったりに同じ課題がないかを想像しながら探してみよう。
ネットや図鑑などが生物を探す手軽なツールとなるが、どうしてもここでは生物にどれだけ詳しいかが重要である。
幼虫や蛹といった生育ステージが異なると形や生態も異なる生物も多いので、バイオミメティクスではそこは別の生物として捉えて調べたほうが良いと考えている。
生物に目星をつけた後は、採集観察や論文等で目的の機能を細かく調べてみよう。
使えるツール『Ask Nature』
バイオミメティクスのアイデア探索は、生物とモノづくりが関わる特殊なプロセスとなり、先が見えにくくなりやすい。
生物の知識が必要になる段階はあるが、プロセスを知ることでバイオミメティクス導入のハードルが少しでも下がると嬉しい。
バイオミメティクスのプロセスは学ぶほど奥深い。ツールなどもっと詳しく知りたい方はご連絡ください。
目指せ、セレンディピティからの脱却。
・Biomimicry ToolBox
・ISO (International Organization for Standardization) 18458: 2015 Biomimetics — Terminology, concepts and methodology.
・S Tachibana et al. (2023) Evaluation methods of biomimetic development: how can topics be compared and selected?. Bioinspired, Biomimetic and Nanobiomaterials, 12(2), 41-51.
・Helms M et al. (2009) Biologically inspired design: process and products. Design Studies 30(5): 606–622.