作用反作用の法則とは?力のつり合いをもとにわかりやすく解説

2023.03.24

中学理科で学習する作用・反作用の法則は、物理学(力学)の基本であるのと同時に、多くの人が日常生活の中で意識することなく利用している法則です。ぜひ作用・反作用について理解し、物理学の面白さを感じてみてください。

力のつり合いとは?

理科(物理学)における「力」や「運動」は、一般的な言葉の意味である「力」や「運動」とは少し異なります。

物理学では、力は「物体の状態を変化させるもの」であり、運動は「ある物体がほかの物体と比較したときの位置関係が変化すること」を言います。

そして、物体はすべて、「力を加えられない限り運動量が変化しない」というルールがあります。

難しいことばではイメージしにくいので、より簡単なイメージに置き換えましょう。

 

野球で遊んでいる様子を想像してみてください。

ピッチャーがただボールを持って立っている状態では、ボールに対して力を加えていないので、ボールの位置は変わりません。

ピッチャーがボールを投げるとき、ピッチャーはボールをバッターに向けて投げる、という力を加えていますので、ボールはピッチャーから離れていく運動が発生します。

バッターがボールを打ち返したとき、バッターがボールに対して反対向きの力を加えることで、ボールの運動量がバッターからピッチャー側へ向かって動くように変化します。

 

「ある物体に力を加えることで運動量を変化させることができる」というイメージは掴めたでしょうか?

では、力がつり合っている状態とは何なのか、考えましょう。

このイメージには、ルームランナーが最適です。

ルームランナーでは、足元のベルトが自分の後ろ側に向かって移動します。

人間は前に進もうとしますが、体はその場から前後しないように速度を調整して走ります。

このとき、人間の位置はずっと変わっていないため、物理的には「運動量が変化していない状態」といえます。

(正しくは足が動いているので運動しているのですが、ここでは運動していないものとして説明します)

ベルトが後ろに移動している分と同じ量だけ、自分が前に進もうとすることで、運動量をゼロに保っているのです。

これが、「力のつり合いがとれた状態」です。

作用反作用とは?

それでは、より理科的な説明から、作用・反作用を考えます。

まず、下図のように、机の上に箱があることをイメージしてください。

今、この箱が動こうとする力を矢印で表現すると、このようなイメージになります。

この箱から伸びている矢印は、「箱から机への垂直抗力」です。これは、箱が垂直方向に運動し、机に接しているために生じている力です。

もしこのまま垂直抗力が働こうとすると、箱は矢印の方向に運動しようとするため、机を突き抜けて地面に落ちることになります。

しかし、実際そうはならないことは、誰もが感覚的に理解しているでしょう。

これは「机から箱に対する垂直抗力」とは全く反対方向の力が、机の表面から箱に向かって働いているためです。これは反対方向の力なので「机から箱への垂直抗力」ということになります。

このように、ある物体の与える力は、かならず別の物体に反対方向で同じ大きさの力を生じさせます。この2つの力は、一方を「作用」と呼び、もう一方を「反作用」と呼びます。また、これらの作用と反作用の関係を「作用・反作用の法則」と呼びます。

この図における、箱から机への垂直抗力を作用と呼ぶ場合、机から箱への垂直抗力を反作用と呼びます。これらはお互いに全く同じ力の強さで、同じ直線状にあり、かつ反対向きになっているので、箱は机の上に乗ったまま運動量が変化しないことになるのです。

ところで、このような説明では「地球が箱にかける重力」を作用、「机から箱への垂直抗力」を反作用とする説明をみかけることもあるかと思いますが、これはよくある誤解です。

なぜなら、力というのは常に一対に現れる「相互作用」であるためです。この場合、「机から箱への垂直抗力」の反対は、主語と目的語を入れ替えた「箱から机への垂直抗力」であり、「地球が箱にかける重力」ではありません。

では「地球が箱にかける重力」の反作用は何でしょう?主語と目的語を入れ替えた「箱が地球にかける重力」が正解です。直観に反するようにも思えますが、作用・反作用の法則の実体はこのようなものです。むしろ、主語と目的語を入れ替えれば良いという点さえ抑えていればいいだけ、覚えやすいとさえいえるでしょう。

このような誤りは往々にしてありますが、作用・反作用の法則は学校の教師や大学教授ですら間違えていることもあるくらい、非常にややこしい概念です。仮に間違えて覚えていたとしても、今から覚え直せば問題ありません。

 

作用反作用の例

上で説明したような「物体がその場から動かない状態」は、地面や机と物体の間に作用・反作用の力が働いて力がつり合っており運動していない、と考えられます。

一方、力がつり合っていない状態(物体が運動する状態)でも、作用・反作用は働きます。

例えば、壁に向かって立ち、思い切り壁を押すとどうなるでしょうか?

強く押した力の分だけ後ろによろけてしまう、というのは、感覚的に理解できるでしょう。

人間がただ立っているだけのときは、床と人間の間に作用・反作用が働いているため、上下方向には運動が発生しません。

しかし、強く壁を押すと、前後方向の力が発生するため、人間は反作用で後ろに押されることになるのです。

逆に、壁にもたれかかっているだけの時は、人間がかけている作用の大きさと、壁から押し返される反作用の大きさがつり合っているため、人間はその場から運動せず留まっていることができます。

作用反作用を見つけるには

作用・反作用を見つけるためには、2つのポイントがあります。

 

1つめは力の向きです。

作用は物体が別の物体を押す力であり、反作用は物体が別の物体を押し返す力です。

そのため、「何が他の物を押しているか」を考えれば、自然と作用の力の向き、反作用の力の向きがわかります。

 

2つめは、力の出ている点です。

作用は「作用点」から出ています。

作用点は物体と物体が接触しているポイントであり、作用は力の向きにまっすぐ伸びています。

同様に、反作用も作用点から、作用とは反対の方向に、同じ力の分だけ伸びています。

「作用・反作用の矢印の向き」と、「矢印の出発点」の2つから、作用・反作用を表現した図を選びましょう。

まとめ

作用・反作用は、物理学の中では非常に基礎的な考え方であると同時に、多くの人が無意識に使っている力でもあります。

中学理科ではこの考え方を学ぶことで、様々な力学分野の基礎知識を得ることができます。

日常生活では「作用・反作用を感じた!」と思うことは少ないでしょうが、意識してみると、多くのシーンで作用・反作用は働いています。

ぜひ、物理学を身近に感じてみてください。

[to_colab subject=数学・理科分野]