【正月太り撃退 〜運動編〜】筋肉の研究者に聞いた!超ズボラ運動でも意味あるの?

2023.01.12

皆さん、こんにちは。俳優・サイエンスコミュニケーターの佐伯恵太です。昨年末、正月太りを避けるための食事の工夫について、薬の研究者の樋口先生に色々と教えていただきました!その甲斐あって僕自身も今年は・・・

髪が伸びたせいですよね?年末の方がシュッとして見えるのは気のせいですよね?・・・というわけで今回は、正月太りを撃退する方法を、教えていただくことにしました!

★★【本日の先生】★★

大田 崇央(おおた たかひさ)先生
山口県生まれ。中京大学体育学部(現;スポーツ科学部)卒業。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。同博士課程修了。博士(学術)。
博士課程在学中に公益財団法人横浜市体育協会横浜市スポーツ医科学センターに勤務し、在浜トップチームのメディカルチェックおよびフィジカルテストのスタッフとして従事。2020年より日本体育大学体育学部助教。その他、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)認定Personal Fitness Trainer(PFT)、中学校・高等学校教諭1種免許(保健体育)などの資格を持つ。2022年より東京都健康長寿医療センター研究所にて常勤研究員として勤務。現在、高齢者をとりまく公衆衛生的課題(サルコペニア、フレイル、認知症etc…)の研究に従事している。趣味は城巡り、日本酒、バスケ。
★★★★★★★★★★★

佐伯:では大田先生、よろしくお願いします!!

大田:よろしくお願いします!

ほんの少しの運動って意味あるの?

佐伯:正月太りを撃退するための運動について教えていただきたいのですが、年末年始は引き篭もってたので、楽な運動から始めたいです。運動と呼べるのか際どいくらいの・・・

大田:めちゃくちゃ意識低いですね。そんな佐伯さんでも絶対にできるオススメの運動があります!それは、テレビを観ながら・・・立つ。

佐伯:立つ・・・だけですか?

大田:はい。まぁ立つと結局また座るので、それを繰り返しやっていると、スクワットになってるんですよね。椅子に座る時も、2回くらい立ち上がってまた座るとか。

佐伯:先生、僕でも出来そうです。

佐伯:あ、でも簡単すぎて全く効果がなさそうな気がするんですけど。

大田:いやそれがですね、そんな軽い運動でも筋活動は起こりますし、筋血流量も増加するので、効果はゼロではないんです。それと今、WHOやアメリカスポーツ医学会などいろんな団体が、全く何もしないよりは少しでも何かやった方が良いって言ってるんです。これまでは、こういった運動を何分間するとこういう効果があると打ち出してたんですけど、運動の効果が現れる最小時間などが検討され始めて、最近ではこんなメッセージになっています。

Some physical activity is better than none.

佐伯:じゃあ先生、例えば、お腹に外から刺激を与える装置みたいなのって、もはや自分では何もしてないですけど、それでも効果はあるんでしょうか?

大田:そうですね、痩せたいと思うのであれば、自分でしっかり運動した方が良いのは間違いないです。ただ、外からの電気刺激によって筋肉の振動を起こして筋活動を促進するっていうのが一概に効果がないということではなくて、例えば高齢者のように自分で活動がなかなかできない人に対しては良い方法なんです。

佐伯:なるほど。

大田:あと、自分でトレーニングして追い込むのって精神的な限界がありますけど、それを外部の刺激を使うことによって生理的な限界まで引き上げることも可能です。
佐伯:精神と肉体の限界の差分を埋めると。筋トレの向こう側ですね〜(遠い目)。

初詣は絶好のチャンス!

大田:あとこの時期だと、初詣もオススメです!初詣ってけっこう歩いたり、階段も登らなきゃいけなかったりして運動として良いんです。

佐伯:初詣行くぞー!っていうテンションで行くから運動って思わないですけど、言われてみれば運動ですよね。しかも寒い時って外に出たくないのに、初詣なら行けちゃう不思議。

大田:それから、今年も健康に過ごせますようにとか、お願いをしますよね。新年早々自ら初詣に行って健康を願うことで、自己暗示的に1年間、健康行動を変えていくんじゃないかと。これはまだ仮説なのですが、研究してみようかと思っています。

[階段の多いところがオススメ]

 

佐伯:まだ初詣に行けてなかったので、階段があるところにチャレンジしたいと思います!

大田:初詣は2箇所以上行っても大丈夫!例えば九州なんかでは三社参りが古くからの風習としてあるくらいなので、既に行かれた方もオススメです!

運動の効果は意識で変わる!

佐伯:もう少ししっかり頑張れそうな方は、どういう運動をするのが良いですか?

大田:一番はジムに行くことですね。自分でジムに行くことを決めて、お金を投資して、運動しなきゃいけない環境に身をおく。これは行動変容を起こすためには重要なポイントです。もちろん意識の面だけじゃなくて、いろんな器具があって、家では鍛えにくい筋肉、特に背中側の筋肉を鍛えられるのも良いところです!

佐伯:トレーナーさんに指導してもらえるジムだと、より効果が期待できますか?

大田:そうですね。パーソナルジムだとさらに、専属トレーナーに自分にあったトレーニングを組んでもらえたり、食事管理をしてもらえたりします。ひとつ面白い研究があって、ジムのトレーナーが自分の理想の姿かどうかでトレーニングの効果が変わるとも言われてるんですよ。

佐伯:えっ!?

大田:マッチョになりたい人に細いトレーナーがついたり、その反対だったりすると、自分の目標と、トレーナーの体型が合ってないですよね。トレーナーが自分の理想の体型をしている時に一番の効果が出るらしいんですよ。視覚的な効果とか、モチベーション、そういった複合的な要因が考えられます。

佐伯:確かに、筋トレの説明を受ける時なんかも、自分の理想の姿のトレーナーさんからだと、説得力が違いそうです!

大田:私も大学の授業でよく筋トレした方がいいよ、みたいな話をするんですけど、女子大生から必ず、でもマッチョになりたくないしっていう返答が来るんです。筋トレしたらすぐマッチョになるとか言ってないのに、不思議です。

[大田先生です]

 

佐伯:全く不思議じゃないです。

大田:あとジム以外だと、通勤時間を使って運動するのをオススメしています。

佐伯:極力歩くとか?

大田:そうですね。エスカレーターの代わりに階段を使うとか、ひと駅歩くのも良いですし、それに加えておすすめなのが、自転車ですね!これも、意識が色々な良い影響をもらたすという話なんですけど、どういう人が職場でストレスを抱えにくく、うつ病になりにくいのかっていう研究をしていると、歩いてる人より自発的に自転車に乗ってる人の方が、メンタルヘルスが良好だとわかったんです。

[ロードバイクでもママチャリでも自分に合う自転車でOK]

 

佐伯:自転車に乗るというのは自分で選び取った行為で、そのこと自体が良いんですね。

大田:その通りです。最近の研究によると、自転車通勤が2型糖尿病発症の予防にも有効かもしれない[※1]と言われています。もちろん、消費カロリーという点でもオススメです。


筋肉なんていらないと言えるのは今だけ!?

大田:こんな感じで、まずはぜひ簡単なところから始めていただければと思いますが、一つ重要なことは、食事と同じで、運動もちょっと頑張ったら劇的に痩せる、効果が出るというものではないですし、習慣化していくことが大事なんです。

佐伯:僕は今35歳なんですけど、筋肉が減っていってる実感があります。抗いたい。。

大田:そうですね。男女で比べると、女性の方が加齢に伴う骨格筋量の減少が早いということがわかっているのですが、そのことが、女性の方がアルツハイマー型の認知症になりやすいということと関係している可能性があって、現在研究されているところです。

佐伯:女性は筋肉をあまりつけたくないという方も多いかと思いますが、将来の健康のためにも、若いうちから鍛えておくことは大切なんですね。
大田:それから骨格筋が内分泌器官としての役割もあるというのがここ20年くらいの見解です。BDNF(脳由来神経栄養因子)っていうのがあって、脳の海馬内での発現量が多いほど認知機能が高いとか、うつ傾向がないとか、脳に対して良いんですね。そういったものが筋肉を起点に分泌されてるんです。

佐伯:コロナ禍でうつ病やうつ状態の人が増えてしまった今こそ必要ですよね。

大田:まさにそうで、コロナ禍においても、運動をたくさんしてる人はうつ病やうつ状態になりにくいです。もちろん、いろんな要因はありますが、生理学的な面でも、活動をしているから体の中でも脳に良い影響を与えていると考えられます。

佐伯:もう脳筋とか言って揶揄したらいけないですね。

大田:むしろこれからは脳筋が世界を獲りますよ!

[筋肉があれば世界も獲れる!プチトマトも採れる!]

あとがき

正月太りを撃退するために食事や運動について教わりましたが、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが一番重要で、痩せようと思ったらまずは摂取カロリーを減らすのが基本だそうです。トップアスリートが引退後に太ってしまうというのも、このバランスが崩れているからですよね。その上での、運動です!

年末年始で若干体重が増えてしまった気がする僕も、じっくり健康な身体を作っていきたいと思います!

参考文献

[1] Kuwahara, et.al.(2022)
Commuter Cycling and Risk of Type 2 Diabetes: A Cohort Study in Japan

 

【著者紹介】佐伯 恵太

俳優 / サイエンスコミュニケーター。
1987年5月30日生。京都出身。京都大学大学院理学研究科で修士号を取得し、日本学術振興会特別研究員(DC1)として同大学院博士後期課程に進学。1年間の研究活動の後、俳優に転身した異色の経歴の持ち主。現在は、科学とエンターテイメントの架け橋になるべく、俳優・サイエンスコミュニケーターとして活動中。
【出演ドラマ】BS時代劇「大富豪同心」シリーズ / 「ABEMAヒルズ」コメンテーター / 日本科学振興協会(JAAS)正会員 / 「エンタメ×科学」のプロ集団「asym-line(アシムライン)」代表
プロデューサー・監督・出演者として、YouTube科学番組「らぶラボきゅ〜(※)」を手がけている。
※「東京応化科学技術振興財団」助成事業

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