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みなさんこんにちは!サイエンス妖精の彩恵りりだよ!
今回のお話は、世界最古!3億8000万年前の心臓の化石に関するお話だよ!
内臓の化石という点で驚きかもしれないし、確かに心臓以外にもいろんな内臓の化石がセットで見つかった点でとても驚きだよ!
ただ、今回はそれとは別に、脊椎動物の進化を考える上でとても重要な発見でもある、という点が追加で驚きなんだよ!解説するね!
CONTENTS
私たちの特徴として挙げられるのはいくつもあると思うけど、動物の進化においてポイントとされるのは、背骨と顎を持っているという点だよ。
中枢神経が通り、身体の主軸にもなる背骨は、正確には脊椎と呼んでいるよ。動物の胚発生や進化を調べると、脊椎はより柔らかい組織である脊索からスタートしていることが分かっているよ。
このため、動物の中で脊索を持つ動物を脊索動物門、その中でも成長の過程で脊索が脊椎に置き換わる動物を脊椎動物亜門と分類しているよ。
脊椎動物について更に調べてみると、顎を持つ動物と持たない動物がいるよ。私たちを含めた、現代にいる大半の脊椎動物は顎を持っており、顎口上綱とまとめられているよ[注1]。
顎は、鰓を支える骨だった鰓弓が進化して発生したと考えられており、デボン紀に発生した板皮類[注2]が最初の例だと考えられているよ。このように、背骨や顎の歴史はよく理解されているよ。
その理由は、背骨や顎と言った器官は骨などの硬組織でできており、化石として残りやすいからだよ。このため、世界中様々な時代の化石からこの進化を推定することができるよ。
一方で、身体の内部の進化はほとんど理解されていないよ。その理由は、内臓などの軟組織は生物の死後直ちに腐敗してしまい、化石として残りにくいからだよ。
本当に稀なことではあるけど、化石化の条件が整えば、内臓のような軟組織化石が残ることもあるよ。ただしその場合でも、軟組織研究は難しいよ。
何億年も前の化石は、長大な地球の歴史の中でぺしゃんこにされてしまい、、私たちが掘り出す頃には押し花のように二次元の情報しか残されていない場合が大半だよ。
この場合、私たちが知ることができるのは、ある1方向から見た内部組織の様子だよ。内臓1個1個を分離してみることも容易じゃないから、ごく一部の情報しか認識できないことも珍しくないよ。
もし、そのような化石が多く見つかるならば、いろんな角度で潰れていることになるから、内臓の種類や位置を推定することもできるけど、軟組織化石は稀だという前提とは矛盾しちゃうよね。
カティーン大学のKate Trinajsticなどの研究チームは、このような謎多き古生物の内臓組織の配置と進化に関して大きな発見をしたよ!
まず、この発見の元となった化石は、オーストラリアのゴーゴー・ラーガーシュテッテ (Gogo lagerstätte) と呼ばれる、デボン紀後期、3億8000万年前の地層で見つかった化石だよ。
ゴーゴー・ラーガーシュテッテから産出する化石は極めて保存状態が良いことで知られていて、過去にもへその緒や胚の化石が見つかっていることで知られているよ!
ゴーゴー・ラーガーシュテッテがこれほどまでに化石の保存に適していたのは、この場所がまだ海だった時代、酸素に乏しく、かつ炭酸カルシウムに富んだサンゴ礁の海底だったからと考えられているよ。
酸素の乏しさは死骸を食べたり腐敗させる生物活動を遅らせる一方、炭酸カルシウムは泥に含まれる有機物と結合し、死骸の周りを包む "天然のセメント" となるよ[注3]。
これらの条件が重なったことで、ゴーゴー・ラーガーシュテッテの化石は身体が立体的に保存されているという、世界でも稀にみる保存状態の良さで産出するんだよ!
また、技術の進歩が今回の発見を後押ししたとも言えるよ。いくら内部組織が保存されていても、石の塊になってしまっている化石を調べるのは容易じゃないよ。
でも、現代ではシンクロトロンと中性子マイクロ断層撮影法を駆使することで、化石を破壊することなく内部の構造をコンピューターグラフィックスに画像化できるんだよ。
もしも同じ化石が20年前に見つかっていたら、同じような研究ができなかっただろうとTrinajsticが語っている通り、現代技術の賜物とも言える研究成果だよ!

インキソスキュータムの化石には、様々な内臓やその内部構造が、位置関係と共に残っているよ! (画像引用元: いずれも 原著論文のProvenance Statement Materials and Methods Supplementary Text Fig. S1 および S2 よりトリミング)

インキソスキュータムの胃内壁や筋繊維など、普通は残らないだろう細かい部分までもが化石化するほど、ゴーゴー・ラーガーシュテッテの化石は保存状態がいいよ! (画像引用元: 左上のみphys.orgより、他は原著論文のProvenance Statement Materials and Methods Supplementary Text Fig. S6よりトリミング)
さて、今回調べられたのはインキソスキュータム (Incisoscutum ritchiei)、コムパゴピスキス (Compagopiscis croucheri) 、ボトリオレピス (Bothriolepis sp.) という3種の化石だよ。
これらの生物はいずれも板皮類に属しているよ。最も古い顎を持つ生物であることに加え、過去には筋肉神経組織化石や、最古の体内受精の証拠が見つかるなど、とても重要な発見に絡んでいるよ!
これらの化石についてスキャンを行ったところ、太い血管付きの心臓、厚い壁を持つ胃、2葉に分かれた肝臓が見つかったんだよ!このうち心臓化石は世界最古の発見例だよ!

インキソスキュータムの化石からは、顎の下に位置する心臓が発見されたよ!心臓は2つの部屋に分かれている構造や、そこにくっついた動脈まではっきりと残っていたよ! (画像引用元: science alertよりトリミング)
そして心臓は、2つの部屋で構成されたS字型の構造がはっきりとモデル化できたよ!更にその位置が、顎やえらの下側にあるという、現代のサメと同じ位置にあることも分かったよ!
これは、心臓が他の内臓組織と明確に分離した位置に配置されたということで、顎や首の進化について考える時に重要な指標となるよ。
一方で、非常に決定的な違いがあることも分かったよ。それは浮き袋が存在せず、代わりに肝臓がとても大きいという特徴だよ。なんでこれが重要なのかな?
浮き袋は、水中で安定して浮力を得るために存在する組織で、魚に固有だけど、これは陸上動物の肺の元になったと推定されている内臓組織な点が重要だよ!
サメのように浮き袋を持たない魚もいるけど、これは脂分の多い肝臓が浮力を持つことで浮袋の代わりとしていて、今回の発見で、板皮類もそのようにして浮力を得ていたと推定されるよ。
これまで、浮き袋や肺は顎を持つ生物に発生し進化したという推定があり、肺の有無と顎の有無は進化の上で関連していたと見られていたよ。
ところが今回、内臓が一通りそろった化石でも浮き袋が見つからなかったことは、肺と顎の進化的な関連はなかったらしく、進化に何か大きな飛躍があったのだろうと推定されるんだよ。
脊椎動物の中で顎を持たないものと顎を持つものが分岐したことと、浮き袋や肺を持つことについての進化の流れは、今回の発見で定説からの再考が必要になるよ。

3億8000万年前の化石から、インキソスキュータムの解剖図をここまで詳しく描けるよ!これも保存状態の良さのおかげだよ! (画像引用元: SciNewsより)
ゴーゴー・ラーガーシュテッテから見つかったこれらの発見は、脊椎動物の進化の中で1つの重要な転換点である顎の発生の時期に起きた動物の進化に関する情報を提供する貴重な情報源となるよ。
今回の3億8000万年前の心臓化石の発見は、脊椎動物の進化という私たちに直接関係する生物の進化に貴重な情報を提供してくれているんだよ!
[注1]顎口上綱 ↩︎
顎のある生物は顎口上綱としてひとまとめにされているのに対して、顎のない生物は無顎類と呼ばれることがあるが、現在では有効な生物の分類とはみなされていない。 "顎がない" という共通点を持つだけで、多くの生物にまたがってしまう分類なため。なお、顎を持たない脊椎動物で唯一の現生生物であるヤツメウナギとヌタウナギはまとめて「円口類」と呼ばれ、こちらは有効な分類。
[注2]板皮類 ↩︎
4億1920万年前に始まったデボン紀に世界中に分布を広げた魚類。顎を持った最初の脊椎動物と考えられている。口を構成する骨が歯のように発達したもので、真の歯は持っていない。多くは3億5890万年前に終わるデボン紀末期を境に絶滅し、ごく少数の生き残りも続く石炭紀前期に全て絶滅した。多くは体長1m未満だが、体長6mを超える「ダンクルオステウス」のような巨大なものもいた。
[注3]"天然のセメント" ↩︎
このようなセメント物質を「コンクリーション」と呼ぶ。コンクリーションは化石を核として成長し、そのものが被覆となって化石を保護するため、保存状態の良好な化石が保存されている場合がある。
[原著論文]
[参考文献]