過渡吸収応答検出装置および過渡吸収応答検出方法

2022.08.03 By 埼玉大学

物理学

技術概要

 ポンプ光パルスを試料に照射して試料を光励起すると同時に、プローブ光を試料に照射し、透過光または反射光の光強度の時間的変化を測定することにより、過渡吸収応答を検出することにより、過渡吸収応答の測定を、プローブ光の1ショットの期間内に行うことができる。

用途・応用

各種分光測定と色の測定

背景

 試料にポンプ光を照射して当該試料を光励起すると同時に、前記試料にプローブ光を照射し、透過光の光強度の時間的変化を測定することにより、過渡吸収スペクトルを測定することができる。

 この種の技術として、以下の技術が知られている。
(a)自己相関法:自己相関関数の計測を行うことで、簡便にパルス幅を計測できる。
(b)FROG法:参照パルスをゲート信号により時間分解計測することで、位相計測ができる(引用文献1参照)。
(c)SPIDER法:周波数をずらした自己位相干渉光を分光計測することで、位相計測ができる(引用文献2参照)。
(d)ポンプ・プローブ法:光路長で時間を走査することで、フェムト秒での時間分解ができる。
(e)パルスシンセサイジング法:25GHz間隔1THz帯域の光周波数コムの振幅・位相制御を行うことで、高速任意波形の生成が容易。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【非特許文献1】Daniel J. Kane, Rick Trebino, "Single-shot measurement of the intensity and phase of an arbitrary ultrashort pulse by using frequency-resolved optical gating," OPTICS LETTERS 18 (10) pp. 823-825 (1993).
【非特許文献2】C. Iaconis and I. A. Walmsley, "Spectral phase interferometry for directelectric-field reconstruction of ultrashort optical pulses," OPTICS LETTERS 23(10) pp. 792-794 (1998). 

課題

 しかし、(a),(b),(d)の技術では、一回のポンプ光の照射により一連の過渡吸収応答を測定することができない。(c)の技術では、位相計測ができるもののフェムト秒の時間分解ができない。

手段

 本発明は、以下を要旨とする。

(1)
 1つまたは複数のポンプ光パルス(optical pump pulse ( orpulses))を試料に照射して光励起すると同時に、プローブ光を前記試料に照射(irradiate)し、透過光または反射光の振幅および位相の少なくとも一方の時間的変化を測定することにより、前記試料の過渡吸収応答を測定する過渡吸収応答検出装置において、光周波数コムを発生する光周波数コム源と、前記光周波数コムを入射し、周波数軸上で、光周波数コムの縦モードの各々に位相変調、または位相変調および振幅変調を行うことで、前記光周波数コムを構成するパルス列の繰返し周波数を増大する光周波数コム変調器と、前記光周波数コム変調器から出射された、パルス列の繰返し周波数が増大した前記光周波数コムをプローブ光として前記試料に照射するプローブ光照射系と、前記ポンプ光パルスを、前記光周波数コム源が発生する光周波数コムを構成するあるパルスに同期するタイミングで、前記試料に照射し当該試料を光励起するポンプ光照射系と、前記試料に照射された前記プローブ光の透過光または反射光を、過渡吸収応答光として前記スペクトル検出器に出射する検出光出射系と、前記光周波数コム源が発生する光周波数コム、または、前記光周波数コム変調器が出射する光周波数コム、に同期する光周波数コムを参照光としてスペクトル検出器に出射し、または当該同期する光周波数コムから参照光を生成し、この参照光をスペクトル検出器に出射する参照光出射系と、前記検出光出射系を介して入射した前記プローブ光の透過光または反射光および、前記参照光出射系から入射した参照光から、前記過渡吸収応答光の位相スペクトルまたはさらに振幅スペクトルを検出するスペクトル検出器と、を備えたことを特徴とする過渡吸収応答検出装置。

(2)
 (1)に記載の過渡吸収応答検出装置において、前記光周波数コム源が、光コム発生器およびコム間隔粗化器を備えていることを特徴とする過渡吸収応答検出装置。

(3)
 (2)に記載の過渡吸収応答検出装置において、前記ポンプ光パルスが、前記光コム発生器または前記コム間隔粗化器の出射光パルスから生成されまたは前記出射光パルスから選ばれ、または、前記ポンプ光パルスが、前記光コム発生器または前記コム間隔粗化器に同期して動作する光源から生成されることを特徴とする過渡吸収応答検出装置。

(4)
 (2)に記載の過渡吸収応答検出装置において、前記 参 照 光 出 射 系 が前記光コム発生器、前記コム間隔粗化器または光周波数コム変調器か ら 光 周 波 数 コ ム を 入 射 し 、 ま た は 、 前記光コム発生器、前記コム間隔粗化器または光周波数コム変調器に同期して 光 周 波 数 コ ム を 発 生 す る 光源から当該 光 周 波 数 コ ム を 入 射 す る

効果

 過渡吸収応答の測定(複数の周波数成分についての振幅および位相の少なくとも一方の測定)を、ポンプ光パルスの1回の照射期間内に、フェムト秒の時間分解で行うことができる。

 特に、フェムト秒時間分解での波形計測により、光触媒や高分子重合反応の不可逆反応の素過程の追跡も可能となる。

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特許情報

特許第6298654

JPB 006298654-000000