タンパク質シート及びタンパク質シートの製造方法

2024.08.08 By 日本大学

材料工学

技術概要

タンパク質シートは、その特性制御の困難さから、合成樹脂のシートなどと比べ研究開発が進んでいない。熱安定性を異にする2種以上のタンパク質を混合することにより、従来の単独タンパク質を用いたシートに比べて、曲げ強さ及び伸展性に優れるタンパク質シートを製造可能とした。

用途・応用

可食フィルム、生分解性容器、プラスチック代替素材

背景

タンパク質シートは、タンパク質を原料とするシートであり、従来、食品や薬剤を包む包装シートとして広く使用されてきた。また一般に、タンパク質シートは生分解性であることから、環境負荷の小さい素材としても着目されている。
 非特許文献1に示されるように、これまでに、ゼラチン、トウモロコシタンパク質、小麦タンパク質(グルテン)、大豆タンパク質などのタンパク質のフィルム(シート)が開発されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】

【非特許文献1】田中 宗彦、「可食性フィルムの開発と利用(2)」、食品と容器、2
003年、第44巻、第7号、p.405−409

課題

しかし、タンパク質シートは、その特性制御の困難さから、合成樹脂のシートなどと比べ研究開発が進んでおらず、優れた特性を有するタンパク質シートの開発について未だ改善の余地がある。
 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、曲げ強さ、及び伸展性に優れるタンパク質シートの提供、および該タンパク質シートの製造方法の提供を課題とする。 

手段

発明者らは、熱安定性を異にする2種以上のタンパク質を混合することにより、従来の単独タンパク質を用いたシートに比べて、優れた特性を有するタンパク質シートが製造可能となることを見出し、本発明を完成させた。
 すなわち、本発明は、下記の特徴を有するタンパク質シート及びタンパク質シートの製造方法を提供するものである。

(1)熱凝固性タンパク質、及びカゼイン若しくはカゼインの塩を含有 す る タ ン パ ク 質 シー ト で あ っ て 、前記熱凝固性タンパク質が、卵白タンパク質及び乳清タンパク質からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、
前 記 熱 凝 固 性 タ ン パ ク 質 と 、 前 記 カ ゼ イ ン 若 し く は カ ゼ イ ン の 塩 と の 質 量 比 ( 熱 凝 固 性
タ ン パ ク 質 / カ ゼ イ ン 若 し く は カ ゼ イ ン の 塩 ) が 0 . 1 〜 1 0 の 範 囲 で あ り 、前 記 タ ン パ ク 質 シ ー ト の 総 質 量 に 対 す る 、 水分含有量が30質量%以下であることを特徴とするタンパク質シート。
( 2 )更に多価アルコールを含有する前記 ( 1 ) に記載のタンパク質シート。
( 3 )前記多価アルコールの含有率が30質量%以下である前記( 2 )に記載のタンパク
質シート。
( 4 )前記多価アルコールが、グリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチ レ ン グ リ コ ー ル 、 プ ロ ピ レ ン グ リ コ ー ル 、 1,4− ブ タ ン ジ オ ー ル 及 び ソ ル ビ ト ー ル か らなる群から選ばれる少なくとも一種である前記( 2 )又は( 3 )に記載のタンパク質シート 。
( 5 )前記熱凝固性タンパク質の含有率が10質量%以上である前記(1)〜( 4 )のいずれか一つに記載のタンパク質シート。
( 6 )前記熱凝固性タンパク質のアルブミン又はグロブリンの含有率が30質量%以上である前記(1)〜( 5 )のいずれか一つに記載のタンパク質シート。
( 7 )前記カゼイン若しくはカゼインの塩が、α−カゼインのナトリウム塩である前記(1)〜( 6 )のいずれか一つに記載のタンパク質シート。
( 8 )厚みが1〜3000μmの範囲である前記(1)〜( 7 )のいずれか一つに記載のタンパク質シート。
( 9 )熱凝固性タンパク質、カゼイン若しくはカゼインの塩、及び溶媒を含有する試料液をシート状に広げる工程と、前記溶媒を取り除くことによりシート化させる工程と、を有し 、前記熱凝固性タンパク質が、卵白タンパク質及び乳清タンパク質からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記(1)〜( 8 )のいずれか一つに記載のタンパク質シートの製造方法。
( 1 0 )前記試料液が、更に多価アルコールを含有する前記( 9 )に記載のタンパク質シートの製造方法。
( 1 1 )前記試料液をシート状に広げる工程が、前記試料液をシート状にゲル化させる工程を含む前記( 9 )又は( 1 0 )に記載のタンパク質シートの製造方法。
( 1 2 )前記ゲル化させる工程が、前記試料液を加熱処理する工程を含むものである、前記 ( 9 )〜( 1 1 )のいずれか一つに記載のタンパク質シートの製造方法。
(13)前記溶媒が、アルコール含有割合30体積%〜60体積%のアルコール水溶液である、前記( 9 )〜( 1 2 )のいずれか一つに記載のタンパク質シートの製造方法。

効果

 本発明によれば、曲げ強さ、及び伸展性に優れるタンパク質シート、および該タンパク質シートの製造方法を提供できる。

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特許情報

特許6739767

JPB 006739767-000000