生体用超弾性ジルコニウム合金

2024.08.08 By 筑波大学

材料工学

技術概要

生体適合性が高く、加工性が高く且つ超弾性を有する生体用超弾性合金を提供することができる合金。チタン、ジルコニウムのβ相を安定化させるβ相安定化元素のニオブ、ジルコニウムのω相を抑制させるω相抑制元素のスズおよびアルミニウムの少なくとも1つ、残部のジルコニウムと、不可避的不純物と、からなることを特徴とする。

用途・応用

医療用デバイス、ガイドワイヤ

背景

医療分野において、手術や人工骨(インプラント)として、様々な生体用の合金が使用
されている。
 例えば、Ti−Ni系合金は、強度、耐摩耗性、耐食性に優れ、生体とのなじみがよい
等の特徴を有し、生体用材料として、多種多様な医療機器に利用されている。
 しかしながら、Ti−Ni軽合金は加工性が乏しく、冷間加工率は30〜40%程度と
限界があるため、中間焼鈍等の加工プロセスを組み入れることが必要であり、加工コスト
が高く、複雑な形状を有する危機への応用には制限がある。また、Ti−Ni系合金を用
いた生体用材料では含有されているNiがアレルギー症状を引き起こす恐れがあることか
ら、生体に対して毒性やアレルギーを起こす恐れのある元素を含まず、より安全な生体用
材料の研究が行われている。
 このような生体用材料に関して、特許文献1〜4記載の技術が従来公知である。

 特許文献1(特許第3521253号公報)には、図3に、ニオブ(Nb)が10〜2
0at%、スズ(Sn)が3〜8at%、残部(74at%〜86at%)のチタン(T
i)からなるTi−Nb−Sn系の生体用の形状記憶合金が記載されている。特許文献1
記載の技術では、図10の応力−歪み曲線に示されるように、最大回復歪み量(歪みの最
大値−除荷後の残留歪み)が、高々3.5%程度の弾性しか有しない。
 特許文献2(特許第3884316号公報)には、2〜12at%のモリブデン(Mo
)と、14at%以下のガリウム(Ga)と、残部のチタン(Ti)とからなるTi−M
o−Ga系の生体用超弾性チタン合金と、2〜12at%のモリブデン(Mo)と、8a
t%以下のゲルマニウム(Ge)と、残部のチタン(Ti)とからなるTi−Mo−Ge
系の生体用超弾性チタン合金と、が記載されている。

 特許文献3(特許第4128975号公報)には、ニオブ(Nb)が5〜40mol%
、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)がそれぞれ10mol%
以下且つ合計で20mol%以下と、残部のチタン(Ti)とからなるTi−Nb−(A
u,Pt,Pd,Ag)系の生体用超弾性チタン合金が記載されている。
 特許文献4(特許第4302604号公報)には、xmol%のタンタル(Ta)とy
mol%のニオブ(Nb)を15mol%≦1.5x+y≦45mol%、ジルコニウム
(Zr)を1〜20mol%、モリブデン(Mo)を1〜6mol%含有し、Ta,Nb
,Zr,Moの総量が60mol%以下で、残部のチタン(Ti)とからなるTi−(T
a,Nb)−Zr−Mo系の生体用超弾性チタン合金が記載されている。なお、特許文献
4では、図2,図3に記載されているように、応力−歪み曲線において、高々4%程度の
弾性しか有しない。
【先行技術文献】
【特許文献】

【特許文献1】特許第3521253号公報(特許請求の範囲、「0009」、図3、図
10)
【特許文献2】特許第3884316号公報(請求項1,2、「0013」〜「0022
」、「0042」〜「0047」、図2、図3)
【特許文献3】特許第4128975号公報(請求項1、「0023」〜「0039」)
【特許文献4】特許第4302604号公報(請求項1、「0030」〜「0058」、
図2、図3)

課題

(従来技術の問題点)
 特許文献1,4記載の超弾性チタン合金では、弾性が5%程度までしかなく、大きな弾
性が必要な部位、例えば、血管を拡張する手術で使用されるステント等では、採用するこ
とが困難である問題がある。
 また、特許文献1〜4記載の構成では、超弾性特性や冷間加工性が十分ではない問題が
あった。
 さらに、特許文献3記載の構成では、AuやPt、Ag等の比較的高価な貴金属元素が
使用されるため、コストが高くなる問題がある。

 本発明は、生体適合性が高く、加工性が高く且つ超弾性を有する生体用超弾性合金を提
供することを技術的課題とする。

手段

 前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の生体用超弾性ジルコニウム
合金は、
 チタンを27mol%以上54mol%以下と、
 ジルコニウムのβ相を安定化させるβ相安定化元素のニオブを5mol%以上9mol
%以下と、
 ジルコニウムのω相を抑制させるω相抑制元素のスズおよびアルミニウムの少なくとも
1つを、総量で1mol%以上4mol%以下と、
 残部のジルコニウムと、
 不可避的不純物と、
 からなることを特徴とする。

 前記技術的課題を解決するために、請求項2に記載の発明の医療用器具は、
 請求項1に記載の生体用超弾性ジルコニウム合金により構成されたことを特徴とする。

 前記技術的課題を解決するために、請求項3に記載の発明の眼鏡は、
 請求項1に記載の生体用超弾性ジルコニウム合金により構成された眼鏡フレームを備え
たことを特徴とする。

効果

 請求項1記載の発明によれば、生体適合性が高く、加工性が高く且つ超弾性を有する生
体用超弾性合金を提供することができる。
 請求項2記載の発明によれば、生体適合性が高く、加工性が高く且つ超弾性を有する生
体用超弾性合金により構成された医療用器具を提供することができる。
 請求項3記載の発明によれば、生体適合性が高く、加工性が高く且つ超弾性を有する生
体用超弾性合金により構成された眼鏡を提供することができる。

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特許情報

5924825

JPB 005924825-000000