DLC膜を医療材料のポリマーや低融点金属に形成する技術

2022.09.22 By 東京電機大学

材料工学

技術概要

ポリマーや低融点金属へのDLCコーティングについて、基材との密着性を向上させ、低融点金属への安定したコーティング法および簡易装置による三次元構造材料へのDLCコーティングを実現。

用途・応用

・医療材料、デバイス

背景

 ダイヤモンド状炭素(Diamond-Like Carbon:DLC)膜は、高硬度であり、生体適合性、耐摩耗性、耐腐食性などに優れ、物理的及び化学的に安定した特性を有することから、医療分野や工業分野などの様々な分野での応用が期待されている。例えば、切削工具や金型、建築部材などの表面をDLC膜でコーティングすることにより、製品寿命を延ばすことが期待できる。また、人工関節などの医療器具をDLC膜でコーティングすることによりこれらの医療器具の生体適合性を向上させることが期待できる。

 DLC膜は、高周波プラズマ化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)装置などのプラズマ反応装置を利用することで基材の表面に形成することができる。プラズマ反応装置によるDLC膜の成膜手法において、形成するDLC膜と基材との間の密着性の向上が望まれており、例えば基材の上にシリコンを主成分とする中間層を形成して、この中間層の上にDLC膜を形成する手法が提案されている。る(例えば特許文献1,2参照)。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2000-178737号公報
【特許文献2】特開2010-106311号公報

課題

 しかしながら、特許文献1,2に記載されている従来のプラズマ反応装置によるDLC膜の成膜手法では、中間層を形成する必要があるため、成膜プロセスの複雑化や処理時間の増大などの問題がある。このため、中間層を設けなくても、迅速にDLC膜を形成でき、かつ、形成されるDLC膜の密着性を向上できるように、簡易な構成でプラズマ反応を利用したDLC膜の成膜を促進できることが望ましい。

 ところで、プラズマ化させた反応ガスを利用して基材の表面を加工するプラズマ反応装置という括りでは、上記のDLC膜の成膜以外でも、例えば反応性イオンエッチングなどの様々な加工手法が適用されている。プラズマ反応装置を用いたこれらの多種の加工手法においても、上記のDLC膜の成膜手法と同様に、簡易な構成でもプラズマを利用した基材の加工を促進させる点でさらなる改善の余地があった。

 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成によって、プラズマを利用した基材の加工を促進できるプラズマ反応装置を提供することを目的とする。

手段

 上記課題を解決するために、本発明に係るプラズマ反応装置は、反応ガスを導入する反応室と、平板状に形成され相互に対向する対向面が設けられるアノード電極及びカソード電極を有し、前記反応室の内部に配置される電極部と、前記カソード電極の前記対向面に基材と共に設置され、前記基材の周囲を包囲する筒型電極と、電磁波を前記電極部に発生させる電源と、を備え、 前 記 筒 型 電 極 が 前 記 カ ソ ー ド 電 極 に 設 置 さ れ て い る 状 態 に お い て、 前 記 筒 型 電 極 の 高 さ 寸 法 は 、 前 記 ア ノ ー ド 電 極 と 前 記 カ ソ ー ド 電 極 と の 間 の 電 極 間 距 離に 対 し て 1 2 . 5 % ~ 5 0 % で あ り 、 且 つ 、 前 記 筒 型 電 極 の 断 面 積 は 、 前 記 カ ソ ー ド 電 極の 前 記 対 向 面 の 面 積 に 対 し て 0 . 2 5 % よ り 大 き く 2 . 8 % 未 満 で あ り 、 前記電源により前記電極部の前記アノード電極と前記カソード電極との間に前記電磁波を発生し、前記反応室内に導入される前記反応ガスを前記電磁波によりプラズマ化させることで、前記プラズマ化させた反応ガスを利用して、前記反応室内に設置され前記筒型電極に包囲される前記基材の表面を加工することを特徴とする。

効果

 本発明に係るプラズマ反応装置は、基材の周囲を包囲する筒型電極を設置することで、筒型電極の内部、すなわち基材の周囲のプラズマ強度を増大させることができるので、簡易な構成によって、プラズマを利用した基材の加工を促進できるという効果を奏する。

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特許情報

特許第6411869

JPB 006411869-000000