鮮やかな色彩が実現できる構造色材料

2022.08.09 By 千葉大学

材料工学

技術概要

粒径が揃ったコア-シェル粒子により、鮮やかな構造色を呈するインク、塗料を製造することが可能となりました。

用途・応用

鮮やかな構造色を呈するインク、塗料

背景

 粒子径の揃った有機、無機、及び有機-無機複合粒子が規則的に配列したコロイド結晶構造を作製すると、粒子の配列により光の回折・干渉が起こり、見る角度によって色が変化して見える角度依存性のある構造色を観察することができる。

 また、粒子径の揃った有機、無機、及び有機-無機複合粒子が不規則に配列したアモルファス構造を作製すると、見る角度によって色が変化しない非角度依存性の構造色を観察することができる。

 一般に構造色を観察することができる材料(以下「構造発色体」という。)の作製には、粒子径の揃った有機、無機、及び有機-無機複合粒子が利用されているが、これらの粒子を用いた場合は光の散乱によって白濁し、得られる構造色が乳白色で視認しにくくなってしまうといった課題がある。

 粒子径の揃った有機、無機、及び有機-無機複合粒子を用いる構造色の視認性を向上する試みとして、散乱光を吸収する黒色材料の添加が試みられている。黒色材料としては、例えば下記非特許文献1乃至4にはカーボンブラックが、下記非特許文献5、6には酸化鉄粒子が、下記非特許文献7にはイカスミを用いる技術が開示されている。

 また、粒子そのものを黒色高分子であるポリドーパミンで作製し、得られる黒色粒子のみを用いて構造発色体を作製する技術が下記非特許文献8に記載されている。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【非特許文献1】O.L.J.Pursiainenl et al.,Optics Express,2007,15,9553.
【非特許文献2】J.D.Forster et al.,Adv.Mater.,2010,22,2939.
【非特許文献3】Y.Takeoka et al.,Angew.Chem.Int.Ed.,2013,52,7261.
【非特許文献4】S.Yoshioka et al.,Chem.Phys.Chem,2014,15,2209.
【非特許文献5】I.Lee et al.,Adv.Mater.,2010,22,4973.
【非特許文献6】Y.Takeoka et al.,Sci.Rep.,2013,3,2371.
【非特許文献7】Y.Zhang et al.,Adv.Mater.,2015,32,4719.
【非特許文献8】M.Kohri et al.,J.Mater.Chem.C,2015,3,720.

課題

 しかしながら、上記非特許文献1乃至7で示されるように、視認性の高い構造発色体としては、粒子径の揃った有機、無機、有機-無機複合粒子に、カーボンブラック、酸化鉄粒子又はイカスミ等の添加物を導入し、複数の原料で達成した系が開示されているに過ぎない。

 一方、上記非特許文献8には、ポリドーパミン黒色粒子のみを用いた構造発色体の作製が報告されているが、固体状態での構造色の視認性において課題を残す。

 そこで、本発明は上記課題に鑑み、簡易な系で、固体状態であっても構造色の視認性の高い膜及び物品を提供することを目的とする。

手段

 本発明者らは、上記課題について鋭意検討していたところ、シェルがコアを覆うコア-シェル粒子を用いることで固体状態であっても視認性の高い構造色を呈することを発見し、本発明を完成させた。

 すなわち上記課題を解決する本発明の一観点に係る膜は、コアとこのコアを覆うシェルを有するコア-シェル粒子を含む膜である。

効果

 以上、本発明により、簡易な系で、固体状態であっても構造色の視認性の高い膜及び物品を提供することができる。

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特許情報

特開2017-062271

JPA 2017062271-000000