大幅な低価格化を実現したPET装置

2022.08.08 By 千葉大学

電気・電子工学

技術概要

シンチレータと光ファイバーを組み合わせた新しい構造のPET装置であり、PET装置の大幅な低価格化が実現できます。

用途・応用

PET装置

背景

 PET( Positron Emission Tomography: 陽 電 子 放 出 断 層 撮 像 法 ) は 、1 1C、1 8Fな ど の 陽子過剰核を含む薬剤を被験者に投与し、発生した陽電子が生体内の電子と対消滅する場合に 180度 方 向 に 発 生 す る 2本 の 511keVγ 線 ( 放 射 線 の 一 種 。 ) を 計 測 す る こ と に よ っ て 生 体内部の薬剤分布を測定する核医学診断法である。がん(癌)組織は新陳代謝が活発でブドウ 糖 消 費 量 が 正 常 組 織 の 5倍 程 度 で あ る た め 、 ブ ド ウ 糖 疑 似 物 質 の PET薬 剤 を 使 え ば 、 原 理的には初期がんでも診断が可能である。

 現 在 市 販 さ れ て い る PET装 置 は 、 位 置 分 解 能 が 2cm程 度 の も の が 2億 円 程 度 、 位 置 分 解 能が 5mm程 度 の も の が 10~ 20億 円 程 度 の 価 格 で あ る 。 ま た 、 現 在 研 究 開 発 中 の 世 界 最 高 位 置分 解 能 2~ 3mmの PET装 置 は 、 素 材 価 格 の 総 計 で 50億 円 以 上 と な る。

特 許 文 献 1 に は 、 ガ ン マ カ メ ラ を 搭 載 し た PET装 置 が 記 載 さ れ て い る 。

【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2014-182059号公報

課題

 PET用 γ 線 検 出 器 の 本 体 は 、 入 射 γ 線 の エ ネ ル ギ ー に 比 例 し た 可 視 光 を 放 出 す る シ ン チレ ー タ 結 晶 と そ の 光 を 受 け て 電 気 信 号 に 変 換 す る 受 光 素 子 で あ る 。 従 来 の PET装 置 は 位 置分解能を向上させるためにできるだけ細かく分割したシンチレータ結晶を使用している。一 般 に 同 じ 体 積 ( 例 え ば 50mm× 50mm× 25mm) の 結 晶 の 価 格 は 、 板 状 ( 例 え ば 、 50mm× 50mmで 厚 さ 3mmの 板 8枚 ) が 最 も 安 価 で 、 全 体 を 1個 の ブ ロ ッ ク と す れ ば 価 格 は 約 2倍 、 3mm× 3mm× 6mmの 微 小 結 晶 1024個 で 構 成 す る と 価 格 は 板 状 結 晶 で 構 成 し た 場 合 の 20倍 以 上 の 価 格 とな る 。 従 来 製 品 は 多 数 の 微 小 結 晶 に よ っ て 位 置 分 解 能 を 向 上 さ せ て い た 。 全 身 用 PET装 置は 10リ ッ ト ル 程 度 の γ 線 結 晶 が 必 要 だ が 、 代 表 的 な GSO結 晶 の 価 格 は 板 状 で 4000万 円 程 度、 微 小 結 晶 で 10億 円 程 度 に な る 。

 現 在 研 究 機 関 で 開 発 中 の 世 界 最 高 分 解 能 の PET装 置 は 、 レ ー ザ ー 加 工 に よ っ て 内 部 が 16× 16× 16=4096分 割 さ れ た 13mm× 13mm× 13mmの 立 方 体 結 晶 ブ ロ ッ ク を 使 用 す る ( 以 下 、 この 方 式 を 「 A方 式 」 と い う ) 。 こ の 方 式 で 全 身 用 P E T 装 置 を 制 作 す れ ば 、 結 晶 の 価 格 だけ で 50億 円 以 上 と な る 。

 最 近 の 高 性 能 PET装 置 で は シ ン チ レ ー シ ョ ン 光 を 観 測 す る 受 光 素 子 は 位 置 弁 別 型 光 電 子増 倍 管 ( 受 光 面 が 8× 8=64分 割 又 は 16× 16=256分 割 に な っ た も の 。 ) を 400本 程 度 使 用 す るも の が 代 表 的 で あ る 。 位 置 弁 別 型 光 電 子 増 倍 管 の 価 格 は 、 例 え ば 、 30~ 50万 円 程 度 の も のが あ る 。 信 号 読 み 出 し 回 路 の 価 格 は 、 例 え ば 1 channel当 た り 5万 円 程 度 の も の が あ る 。

 前 述 の A方 式 で は 、 立 方 体 結 晶 ブ ロ ッ ク 1個 に 対 し て 32個 の PPD( Pixelated Photon Detector。 半 導 体 光 検 出 器 。 ) と い う 微 小 受 光 素 子 を 使 用 す る た め 、 PET装 置 全 体 で 約 20万 個の PPDが 必 要 と な る 。 こ こ で 、 PPDと は 半 導 体 を 利 用 し た 受 光 素 子 で あ り 、 受 光 素 子 は 、 光信号や光エネルギーを、電気信号や電気エネルギーに変換する機能をもった素子である。PPDの 価 格 は 、 電 源 や 信 号 読 み 出 し 回 路 を 含 め て 、 例 え ば 1個 当 た り 約 7,000円 程 度 の も のがある。

 従来の検出器ではγ線が結晶内でコンプトン散乱を起こし複数の場所で発光した場合はそ の 重 心 の 位 置 を 入 射 位 置 と 判 定 し て し ま う た め 、 ほ ぼ 全 て の PET装 置 は コ ン プ ト ン 散 乱事象を積極的に除去し、光電効果によって検出器内の一箇所で全エネルギーを放出する事象 の み を 測 定 し て い る 。 1本 の γ 線 が 結 晶 中 で 光 電 効 果 が 生 じ る 確 率 は 、 40%程 度 で あ る ため 、 2本 と も 光 電 効 果 が 生 じ る 確 率 は 16%程 度 と な る 。

 PET装 置 で は 高 い 位 置 分 解 能 が 求 め ら れ て お り 、 特 に 頭 部 を 診 断 す る た め の PET装 置 で は0.1mm程 度 の 高 精 度 の 位 置 分 解 能 が 求 め ら れ て い る 。 し か し 、 前 述 の と お り 、 従 来 の PET装置 で は 、 位 置 分 解 能 を 向 上 さ せ る に は 、 大 量 の 微 小 結 晶 、 受 光 素 子 が 必 要 と な り 、 PET装置が極めて高価格となるという課題がある。 

手段

 上 記 の 課 題 を 解 決 す る た め に 、 本 発 明 の 一 つ の 観 点 に よ れ ば 、 PET装 置 を 、 放 射 線 が 入射した場合に発光する複数のシンチレータ結晶と、シンチレータ結晶の表面又は裏面に少な く と も 2方 向 に 配 置 さ れ 、 シ ン チ レ ー タ 結 晶 か ら 放 出 さ れ た 光 が 入 射 し た 場 合 、 再 発 光する光ファイバーと、光ファイバーの端部が接続され、光ファイバーにおいて再発光した光を検出する受光素子と、を有するものとした。

 上記構成において、光ファイバーを、シンチレータ結晶の表面又は裏面に略垂直に交差するように配置すると好ましい。

 また、上記構成において、シンチレータ結晶の三番目に長い辺の長さが、二番目に長い辺 の 長 さ の 5分 の 1以 下 と す る と 好 ま し い 。

効果

 従 来 の PET装 置 と 同 等 の 位 置 分 解 能 を 持 つ P E T 装 置 を 低 コ ス ト で 製 造 で き る 。

問い合わせ・詳細資料閲覧

特許情報詳細や資料のダウンロード等については無料会員登録後に閲覧していただけます。

本研究に関するご質問や、話を聞いてみたいなどご興味をお持ちになりましたら、是非お気軽に以下のフォームにお問い合わせください。

特許情報

特許第6498449号

JPB 006498449-000000