酸素欠乏症は危険です -酸素濃度低下の原因と対策-

2021.08.31

「酸素欠乏症」とは、低濃度の酸素状態で活動することにより発症する様々な悪影響・症状のことで、場合によっては命の危険を伴うものとなります。

本記事は、酸素濃度計メーカーである新コスモス電機様監修のもと、酸素欠乏症の危険性と原因、その対策について解説したものとなります。

酸素欠乏症の基礎

“酸素は人間の生命維持活動に不可欠な元素です。
私たちは呼吸を行うことで血液中に酸素を取り込み、食べ物からエネルギーを生み出しています。

生きるために必要不可欠な酸素ですが、空気中に酸素は通常約21%含まれています。
他には窒素が約78%、アルゴンや二酸化炭素などが約1%といった割合で混ざり合って存在しています。

酸素濃度が18%未満の空気を「酸素欠乏空気」と呼び、酸素欠乏空気を吸入することで人体に様々な悪影響が出てきます。

「酸素欠乏症」とは、低濃度の酸素状態で活動することにより発症する様々な症状のことです。

酸素欠乏症の危険性

酸素欠乏空気を吸入すると、まず最初に大脳の機能低下が生じます。
これは、大脳が人体で最も多くの酸素を必要としているためです。

個人差や健康状態によって異なりますが、一般的には酸素濃度16%程度から様々な症状が現れます。
比較的軽症であれば頭痛や吐き気といった症状がみられ、夏季であれば熱中症との判別が重要です。

酸素欠乏症で最も恐ろしいことは、酸素濃度が低くなるにつれ症状も重症化する特性です。

酸素濃度6%以下の空気を吸入した場合、一呼吸で失神・呼吸停止、死亡といった致命的な症状となってしまいます。

酸素濃度が低下する原因

通常は空気中に約21%含まれている酸素ですが、なぜ低酸素状態に陥ってしまうのか?
低酸素状態の多くは換気不良が発生しやすい閉鎖空間で発生しますが原因は大きく分けて2つあります。

① 酸素消費が発生したため
② 酸素以外の気体に置換されたため

 

①酸素消費が発生したため
酸素は化学反応(酸化)や微生物・植物の呼吸等によって消費されています。
例えば、化学反応によって鉄錆(酸化鉄)が発生する場合は、化学反応式で以下のように表せます。
2Fe+O₂→2FeO
鉄(Fe)に空気中の酸素(O₂)が化合することで酸化鉄(FeO)に変化しています。
酸化反応とは、空気中の酸素を消費して発生しているのです。

冬季に皆さんが使用している使い捨てカイロも実は鉄の酸化反応を利用した製品です。
鉄が酸化反応する際に発生する熱エネルギーを有効活用したものが使い捨てカイロの仕組みとなっています。

実際の一例では密閉されたタンクの内側が錆びることによって内部の酸素が消費され低酸素状態となります。

また、生物の呼吸による酸素消費についてですが、し尿・汚水中に存在する細菌類の呼吸の他、有機物が腐敗する際や、酵母等が発酵する場合などで多数の微生物の呼吸が伴っています。

②酸素以外の気体に置換されたため
換気が十分でない閉鎖空間において、可燃性ガスや窒素、アルゴンなどを工業利用利用している場合、それらのガスが漏洩した際に空気と入れ替わってしまうことで低酸素状態となってしまう事例が多く発生しています。
研究室等で液体窒素やドライアイスなどを利用している場合も、十分注意が必要です。

 

関連法規・酸素欠乏症対策

酸素欠乏症は非常に危険度が高いため、「酸素欠乏症等防止規則」において酸素欠乏症等防止の安全基準を定められています。

(作業環境測定等)
第3条 事業者は、令第21条第9号に掲げる作業場について、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素(第二種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、酸素及び硫化水素)の濃度を測定しなければならない。

2 事業者は、前項の規定による測定を行ったときは、その都度次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
一 測定日時 二 測定方法 三 測定箇所 四 測定条件 五 測定結果 六 測定を実施した者の氏名 七 測定結果に基づいて酸素欠乏症等の防止措置を講じたときは、当該措置の概要

(測定器具)
第4条 事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、前条第1項の規定による測定を行うため必要な測定器具を備え、又は容易に利用できるような措置を講じておかなければならない。

上記の通り、酸素欠乏症対策には酸素濃度の測定が不可欠となっております。

酸欠危険個所での作業前には必ず事前に酸素濃度計で測定を行い、安全確認を行いましょう。

                  
残念なことに酸欠事故の発生原因としては、酸素測定を怠ったことが最も多い事例となっています。

作業前だけではなく、作業中も装着型の酸素濃度計を使用することで換気状態の確認など作業時の安全確保に役立ちます。

また、研究所などで窒素ボンベ等を保管・使用されている場合は室内に酸素濃度計を設置して漏洩時の酸素欠乏対策を行うことも非常に有効です。

参考:酸素欠乏症を防ぐための製品はこちら

記事監修いただいた新コスモス電機株式会社様の代表製品を下記に紹介いたします。

(画像はアズワンの商品検索サイト「AXEL」のリンクとなっております)

 

・デジタル酸素濃度計XO-326ⅡSA

 5mケーブル付き。作業前の安全確認に使用可能です。

 

 

・酸素濃度計XO-2200

ポケットサイズの酸素計。作業員が身につけて作業環境の安全確認と作業員の安全確保に。

 

 

・酸素検知警報器KS-7O

小型・軽量で検知部・警報部が一体型の一点式酸素用ガス検知警報器。各種試験室、クリーンルームなどでの酸素欠乏事故防止に。ACコンセントで使用可能です。