夏場は注意!実験と氷について|研究所で働く漫画家兼テクニシャンが送る4コマ『ラボりだな日々』第19話

2025.07.02

バイオ系研究所で働くテクニシャン(技術員)でありながら漫画家として活躍するAyaneアヤネさんによる「ラボりだな日々」(※ラボりだ…ラボから離脱すること。ラボから帰ることの意を持つ造語)。

第19回のテーマは「実験と氷」です。

 

こんにちは!
ラボりだな日々、第19回のテーマは「実験と氷」です。
生命科学系のラボでは、実験によっては氷が欠かせない実験アイテムです。特にタンパク質や酵素を扱う実験では、温度管理が重要。冷却しながらサンプルを操作したいとき、あるいは一時的にサンプルを保管するときなど、さまざまな場面で氷が活躍します。
今回の漫画では、そんな“氷”によっておこったラボの出来事が描かれています。多目的クーラーにいれたサンプルが行方不明!?ってこと、経験がある方いませんか?
(これはAyaneがダメな部分があるので、後述で補足いたします)

 

氷は意外と消耗品
「氷」と聞くと、家庭では冷たい飲み物に使う程度のイメージですが、ラボでは立派な実験用資材。生命科学系ラボ内、もしくは共通機器室などに、大きめの製氷機が置いてあるのはよくみる風景です。実験室は空調管理がされているのですが、体感、夏場は氷が溶けやすいです。氷の使用頻度の高い実験が重なる日には、気づけば製氷機の中がスカスカなんてことも…。

 

氷を制する者は、実験を制す?
実験をスムーズに進めるには、氷の使い方にもコツがいります。例えば、チューブをしっかり冷やしたいときはこまめに氷を補充したり、溶けた氷水は試薬の汚染源になるため毎回取り替えるとか…。
漫画のAyaneはサンプルのはいったチューブを氷に直接さしてしまいトラブルを起こしてしまいましたが、金属でできた冷却しながら操作ができるチューブ立てがありますので、そちらを氷の上において、サンプルチューブを直接氷に触れさせないのが一番です。(ラボで購入していた数が少なく、チューブ立ての空きがなかったので泣く泣く直接さしていた…という経緯があります)
あまりに当たり前なので「氷なんて…」と冷却をいい加減にすると実験結果に影響することもあります。まさに、氷は見えない“縁の下の力持ち”なのです。

 

アイスボックスにも個性あり
ラボのアイスボックスといえば、発泡スチロール製の定番箱(カルックス様の多目的クーラーなど)や、おしゃれなクーラーボックスなどさまざま。古株のアイスボックスには実験用語の落書きや注意書きが書かれていたりして、ちょっとした歴史を感じさせます。中には実験に使いやすいように切断されて形状がかわっている改造アイスボックスも…
自分しか使わないだろうと思って面白い落書きをしていたアイスボックスが海外へのサンプル発送用にもっていかれてしまい、「踊るAyane」の落書きが海を越えていったこともあります。

 

みんなで守ろう氷の平和
実験の成否を左右するのは、最新の機器や高価な試薬だけではありません。氷の確保と、ちょっとした気配り。それらの積み重ねが、実はとても大切なのです。みんなが安心して氷を使って実験できるラボ環境を目指したいですね。

 

 

Ayane_icon
【著者紹介】Ayane

サイエンスコミックライター(漫画家、イラストレーター)
日本にある某生命科学研究所でテクニシャンとして勤務しながら、Science X Manga X Kawaiiをテーマに漫画を描くサイエンスコミックライターとして活動させていただいております!