「JASIS関西2025」に初めて一般参加してみた!

2025.02.25

以前から気になっていたイベント

マンボウイベントの打ち合わせなどで関係者と雑談をしていた時、時々話題に上がるのが「JASIS(ジャシス)」というイベントだった。話を聞くに、理化学系企業の出展イベントのようなのだが、出展しているアズワンさん(アズワン株式会社)曰く、楽しいイベントらしい。今までそのイベントのことを知らなかった私は、一体どんなイベントなのだろうと少し興味を惹かれた。「JASIS」はどうも関東と関西で開催されるようなのだが、関西は2年に一度しか開催されないらしい。又聞きしていたくらいの知識だったのだが、一般人でも参加できるとのことで、先日(2025年1月30日)ふらりと「JASIS関西2025」に初めて一般参加してきた。どんなイベントだったのか、私の率直な感想を述べたいと思う。

分析・計測に関するアジア最大級の展示会「JASIS」とは?

「JASIS」について改めて調べてみると、「JASIS」とはJapan Analytical & Scientific Instruments Showの略で、一般社団法人日本分析機器工業会(Japan Analytical Instruments Manufacturers' Association)と一般社団法人日本科学機器協会(Japan Scientific Instruments Association)が共同で開催している、分析・計測に関するアジア最大級の展示会のことである。アジア最大級とはすごい……! しかし、アジア最大級と言っているのは、毎年9月に幕張で行われている関東イベントの方のことで、関西イベントの方は少し規模が小さくなる。「JASIS」の歴史は日本分析機器工業会のホームページ日本科学機器協会のホームページにそれぞれ詳しく書かれている。元々は両社とも別々に展示会を行っており、日本分析機器工業会は1962年に第1回「分析機器展」を開催し、日本科学機器協会は1960年に第1回「全日本科学機器展」を開催したところから「JASIS」へと至る歴史が始まる。両社はそれぞれ別々に長年イベントを行っていたが、2010年に初めて共同開催し、その後2012年にイベント名を「JASIS」に改名して、現在へと至る。個々の歴史を見ても、60年以上続いている長い歴史を持つイベントなのだ。「JASIS」は関東での開催がメインであったが、関西でも開いて欲しいという要望に応え、「JASIS関西2019」として2019年に大阪で初開催され、その後2年に一度のペースで開催されている。2025年はその2年に一度が開かれる年であった。

 今回の「JASIS関西2025」は2025年1月29~31日にかけて、グランキューブ大阪で3日間開催された。グランキューブ大阪は聞き覚えのある場所だ……と現地に赴いて思い出した。私が新型コロナウイルス感染症ワクチンを初めて接種したのがこの場所だった。あの時は世の中が本当に大変だったと今でも鮮明に覚えている。

 「JASIS関西」に一般参加するには、公式ホームページから事前来場登録をすることが推奨されているので(現地の受付でも登録できるっぽかったが)、私は必要事項を事前登録して、その他のカテゴリーでパスを発行し、紙に印刷して持って行った。

 公式ホームページでも確認できるが、こちらが入り口にあった参加企業一覧マップである。会場にも印刷されたマップが配布されているので、それをもらってどこにどんな企業があるのか確認しながら歩くことができる。

 

気になる展示内容は・・・?

思っていたよりは展示している企業数は少なく感じたが、担当者とじっくり話せば時間はあっという間に過ぎていく。私は企業ブースの3階しか回っていないのだが、別会場の10階では、新技術説明会など講演も活発的に行われていたようだ。

私は昼から参加したのだが、会場は多過ぎず少な過ぎず、適度な来場者数で賑わっていた。私も一応博士号持ちの研究者なのだが、化学実験をほぼしない分野なので、馴染みのない機器がたくさん展示されていて、ちょっと場違い感があった。これは一般の方々に気軽に参加してみたらいいよ~とおススメするのはちょっと難しい。やはり専門職の展示会という雰囲気が強いので(元々そういう展示会だし)、もし一般参加するならアウェイ感を感じる覚悟が必要だ。しかし、会場を練り歩くと結構な頻度で企業ブースの方から声を掛けられる。なので、興味があれば立ち止まって、どういう企業で何を今回売りにしているのか聞いてみると面白いかもしれない。物は考えようだが、例えば理化学機器に興味があるイラストレーターの方などが参加すると、最先端の研究現場などで使われている機器がたくさんあるので、良い資料になるかもしれない。何ならその機器に詳しい担当者が現場にいるので、その機器の機能や使い方について色々聞くことができる。私が知っていた機器は、顕微鏡、撹拌機、分光光度計くらいだが、他にも名前が分からない何か凄そうな機器がたくさん展示されていた。語彙力が枯渇しているが、多分理化学機器に詳しくない人が見れば、私と同じ感想を抱くと思う。しかしながら、ここで展示されている機器や企業の方々が、様々な形で私達の暮らしを豊かにしてくれているのは間違いないであろう!

紹介ブース① アズワン株式会社

私が話を聞いた企業という大きな偏りはあるが、記事掲載許可を頂いたブースをいくつか簡単にご紹介しよう。まずは「JASIS関西2025」に行くきっかけを下さったアズワンさんのブースだ。アズワンさんと言えば、理化学機器の販売をしているイメージが強いが、結構多方面に業務展開をしており、「JASIS関西2025」では、他社メーカーと開発したコラボ商品や自社開発した商品を展示していた。展示されている商品の中で私が話を聞いたのは、Jikken Noteというサービスだった。このサービスは、名前のとおり、実験ノートをパス付きのクラウド上で管理するもので、実験後に研究した目的や使った試薬、手法や結果など決まった形式の項目に打ち込むことで、その実験をクラウド上に記録し、関係者と共有することができる。また、紙媒体でメモした実験ノートもスキャンして添付することで、大元の生データも保存できる。スキャンした画像はORC処理によってサービス上で検索できるようになっているため、余程汚い文字でノートを書かない限りは、ノートをそのまま打ち直す必要性が無く、サービス上で過去の実験記録を検索できるので便利そうであった。化学実験が主体の大学や企業に有益なサービスである。アズワンさん曰く、来場者は大学関係者や技術・製造関係者が多いようだった。

アズワンさんのブースと言えばこれ。大人気の実験器具のミニチュアフィギアのガチャガチャ! 早速来場者は1回だけ無料で引けるとのことだったので、早速引かせて頂く……結果、顕微鏡が出た! Oh……私が既に持っているものとダブってしまった……という話をスタッフの方に言ったところ、他のものに交換して頂けた。いいの!!? しかし、私は欲しかったビーカーセットを手に入れることができて満足だった! これは嬉しい。人差し指より少し大きなサイズで結構リアル。素晴らしいフィギアだ。

 

紹介ブース② 日本製紙クレシア株式会社 様

続いて立ち寄ったブースは、キムワイプで有名な日本製紙クレシア株式会社さん。理系でキムワイプを知らない人はまずいないだろうというくらい有名な紙ワイパーである。私も大学に所属していた頃よく使っていた……が、キムワイプの印象が強過ぎて、失礼ながら企業名をよく知らなかった。すみません、クレシアさんです、クレシアさん。クレシアさんに色々話を聞くと、多くの来場者から私と似たようなことを言われるので、キムワイプ以外にも色々商品があることをもっと知って欲しいと悩まれていた。展示商品を見させて頂くと、キムタオル、JKワイパー、ケイドライ、ワイプオール、テクノワイプなどなど様々な紙製品が展示されていた。おそらくそれぞれ使う用途が違うのだ。これらの紙製品は大学や研究所以外にも一般的な工場から病院、ペットや介護まで幅広い業界で利用されているとの話。変わり種の商品としては、保護メガネがあった。水中マスクのようなタイプの保護メガネはメガネを掛けた状態でも掛けられるとのこと。私もメガネを掛けているのでこういう商品は助かる。クレシアさんは3月31日までワイプオール30周年感謝キャンペーンを実施しており、箱買いしている研究室には便利なグッズが当たる抽選応募を行っている。対象商品を箱買いしている方は応募してみるといいことだろう。

 

紹介ブース③ ケニス株式会社 様

その後立ち寄ったブースは、ケニス株式会社さん。ケニスさんは子ども向けの教育用機器から研究者向けの研究機器まで、科学関連の商品を幅広く製造・販売している会社である。X担当の方は私のマンボウイベントに来て下さったこともあり、すっかり顔見知りで私がブースに行ったらすぐに挨拶して下さった。有難い限りである。ケニスさんのブースでは今回、4Kの高画質で撮影できる顕微鏡カメラやオートフォーカスできるデジタルマイクロスコープなどが展示されていたが……私が気になったのは、コンパクトサイズの薄型恒温プレートだ。手のひらより少し大きいくらいのサイズで実験室内での持ち運びに便利そう。ちょっとした試薬を入れておくのに良さそうで、加温・冷却タイプは特に重宝しそうだ。ケニスさんのところは去年イラストレーター木志田コテツさんデザインのマスコットキャラクター・リトまるが誕生し、リトまるのイラストがブースのあちこちに使われていた。私もリトまるのシールを1つ頂いた可愛い。ゆるい感じの公式キャラクターがいると親しみやすくなる。ケニスさんところのカタログの厚さも気になったのだが、結構厚い……アズワンさんところのカタログの厚さといい勝負なのでは?と思った 

紹介ブース④ 株式会社ニッカトー 様

 最後に立ち寄ったのは、全く面識がなかったのだが、謎のボールが置かれているのが気になってブースに話をお伺いした株式会社ニッカトーさん。ニッカトーさんは主にセラミックスの製造・販売・研究を自社で一貫して行っている会社だ。理化学用陶磁器を作られていて、るつぼや乳鉢、乳棒などで一般的には馴染みがある。気になったボールは、耐摩耗性・耐久性に優れ、ガラス・顔料・アルミナ・製紙材料等の粉砕・分散に使用されるとのことだった。一瞬セラミックスの原材料かと思った涙型の入れ物の中には、物凄く小さなボールがたくさん入っているとのこと。確かに近くでよく見ると小さなボールがたくさん入っていた。この強度の高いボール同士をぶつける中で、材料の粉砕などが行われていく。また、耐熱性、耐食性などに優れたセラミックスチューブなども様々な大きさのものを作っているとのことだ。ニッカトーさんのところにも、セラミッくんというマスコットキャラクターがおり、ニッカトーさんのホームページにはセラミッくんの紹介動画もあった。セラミッくんも企業公式キャラクターとして親しみやすそうな外見をしている。私はセラミッくんグッズの付箋やメモ帳を頂いてしまった。ニッカトーさんはXをやっていないとのことだったが、何も知らない私にも丁寧に説明して頂き、モノづくりに熱心な会社と感じたので、この記事を通してさらに認知度が上がったらいいなと思った次第である。

 

知っている業界じゃないとちょっと参加する敷居は高いが、興味のある企業ブースに立ち寄り、話を聞くだけでも学びがあった。「JASIS」に出展している企業は、私達の現在、未来を影ながら支えてくれているところが多いように感じた。また、いろいろ企業グッズをもらえるのもイベント参加の醍醐味である。今後も活発に継続して欲しいと感じるイベントであった。

 

 

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