大阪でマンボウを食べられる店が梅田にもあった!

2024.02.27

 私は大阪でマンボウ料理が食べられる店は、前回ご紹介した天神橋に復活した居酒屋「まんぼう家」しかないと思っていた。しかし、X(旧Twitter)のフォロワーさんからの情報で、大阪の他の店でもマンボウを食べられるところがあることを知った。しかも1店舗ではなく複数の地域に店を出しているチェーン店でだ。そのチェーン店の名前は……「土佐清水ワールド」!!

 実は「土佐清水ワールド」は201912月に東京上野店に一度行ったことがあった。しかし、そのチェーン店が梅田にもあることを私は最近まで知らなかった。これは改めて梅田にある方も行かねばならない……そして2024217日、ようやく梅田にある「土佐清水ワールド」に行く機会があったので、その詳細をお伝えしよう。

 

 

いざ、「土佐清水ワールド」へ

 「土佐清水ワールド」は梅田に梅田ギャザ阪急店と梅田お初天神店の2店舗がある。

居酒屋なので梅田ギャザ阪急店の方は夕方からしか開店しないが……なんと梅田お初天神店の方は土日祝日に限り、お昼の11時半から開店している。つまり、大阪で昼御飯としてマンボウを食べることが可能なのだ!

 この日、私が梅田お初天神店に到着したのは14時半頃。事前にお店に電話でマンボウがあるかどうかの確認をしていなかったのでやや不安ではあったが、お店に直撃した。

 私がお店に入って店員さんにまず聞いたことは、「マンボウは食べられますか?」だった。
変に思われたかもしれないが、マンボウを食べられなければ、私がこの店に来た意味がない……しかし、店員さんはすぐに「はい!」と返事を返してくれた。

昼食時を少し過ぎていたこともあってか、席にすぐ座ることができた。店のメニューを見てみると、「マンボウの湯引き」、「マンボウの天ぷら」の2品がマンボウ料理としてあったので、タッチパネルで早速注文した。

この2品は東京上野店でも食べたことがある。あれからマンボウ料理の品が増えたりはしていないようだった。

「土佐清水ワールド」はその名の通り、高知県をテーマとした居酒屋だ。ここで提供されるマンボウ料理も高知県産である。

高知県はマンボウを伝統的に食する地域で、澤井(2021)で調査した定置網によるマンボウ類の漁獲量データが得られた11県の中では、第3位に入るマンボウ類の漁獲の多い地域だ。天神橋の「まんぼう家」は三重県からマンボウを仕入れているため、マンボウの仕入れ先が少し異なる。

「マンボウの湯引き」

 少し待っていると、早速、「マンボウの湯引き」がやってきた。この白い肉はマンボウの筋肉の部分である。

 しかし、よく見て欲しい。

ややピンクというか肌色というか赤身の部分も少し付いている。マンボウは白身魚であるが、赤身の部分もあるのだ。魚類は赤身の部分と白身の部分が分けられてスーパーで売られていることもあるが、マンボウの場合は一般的に一緒にされて売られている。

味の違いは……私にもよく分からないので、白身と赤身はほぼ同じ味だと思う。

 マンボウの湯引きは「まんぼう家」でも食べることができる。

どちらの店でも黄色い酢味噌が付いている。マンボウの肉を酢味噌に付けて食べるのは、昔ながらの伝統的な食べ方である。マンボウの肉自体の味は独特ではあるのだが薄いので、酢味噌のような濃い味がよく合うのだ。

湯引きは刺身をさっと熱湯にくぐらせて冷やした料理。外側は熱によって白くなっているが、中はほぼ生の状態だ。

お分かり頂けるだろうか、この肉の内部の透明感。冷やされているので食べると冷たく、ほぼ刺身を食べているようだった。肉厚に切られているのでややコリコリとした食感。マンボウ独特の生臭さは感じなかった。魚とは思えない弾力がある食感で美味しい。

お店にはたまり醤油などの調味料が数種あったので、酢味噌以外に付けて食べるのも良いだろう。

 

 

「マンボウの天ぷら」

 続いてやってきたのが、「マンボウの天ぷら」。マンボウの天ぷらは「まんぼう家」には無い料理。

 

こちらはレモンを絞って、塩に付けて食べるようだ。湯引きと反対にこちらは温かい料理。ふわふわの衣に、食べるとマンボウの肉汁がこぼれ出てくる。こちらも料理されているマンボウのパーツは筋肉の部分だった。

熱を通しているので、湯引きよりもマンボウの身は引き締まっており、ふわふわの衣とマッチしてプリプリした食感になっていた。

 

 塩で食べるのも良いが、店にある他の付けタレで食べるのも良い。天ぷらにも赤身の部分が使われているものがあった。下記写真の左側が少し黒っぽく見えるのが赤身の部分である。他の魚同様、熱を加えると赤身は少し黒っぽくなる。

 マンボウの湯引きとマンボウの天ぷら、冷たいのと温かいの、食感の違いも味わえてどちらも生臭みが無く美味しく食べることができる。居酒屋なので昼からお酒を飲むことも可能だ。休日に梅田に来たらランチにマンボウを食べるのもいいかもしれない。

土佐清水ワールドは、コロナ禍でまん延防止等重点措置が発令されていた20223月には、マンボウとまん防を掛けてマンボウ料理半額セールをやっていた面白い店で、系列店は、神戸、梅田、東京の五反田・新橋・上野と主要都市に計10店舗ある。いつでもマンボウが食べられるのかどうかは分からないので確実に食べたければ事前にお店に電話で聞くのが良いだろう。私はよく人と話していると、マンボウを食べてみたいという話を聞かれるので、今回、日中からマンボウを食べられる店を確認したことは有意義であった。

 

 

余談「マンボウ型の小皿」

余談になるが、この日、梅田に来た理由はもう一つあった。期間限定?で梅田ロフトに陶芸作家の牧田亮(ま工房)さんによって作られた手のひらサイズのマンボウ型の小皿が売られていたのだ! 今も置いているのかは分からないが、気になった方は早めに梅田ロフトに行くことをおススメする。

 

 

 

今日の一首

 梅田にて
  マンボウ料理
   食べられる
    お店を発掘
     休日昼でも

【著者情報】澤井 悦郎

海とくらしの史料館の「特任マンボウ研究員」である牛マンボウ博士。この連載は、マンボウ類だけを研究し続けていつまで生きられるかを問うた男の、マンボウへの愛を綴る科学エッセイである。

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参考文献

澤井悦郎.2021.2000-2020年の12県における定置網によるマンボウ科魚類の漁獲データ.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 10: 49-59.