<耐熱耐食皮膜、耐熱耐食部材及び耐熱耐食皮膜の製造方法>

2024.08.08 By 日本大学

材料工学

技術概要

従来の皮膜は、1500℃を超える高温に対しても耐熱性を有する優れた皮膜である。一方で、タービン等は少しでも高い熱効率を実現することが求められているため、1800℃を超える温度環境下でも動作できる部材が求められており、本発明は、高温環境下でも耐食性に優れる耐熱耐食皮膜及びその製造方法を提供することができる。

用途・応用

高温環境機器

背景

高温ガスタービン、自動車エンジン用部材、航空機用耐熱部材等は、非常に高温かつ水
蒸気の存在する環境下で使用される。そのため、耐熱性及び耐食性に優れた部材が求めら
れている。

 例えば、特許文献1には、超合金基材上に、MCrAlX(MはNi、Co、Feから
選択される1種以上の元素、XはY、Hf、Ta、Cs、Ce、La、Th、W、Si、
Pt、Ybから選択される1種以上の元素)とAl合金溶射皮膜とを被覆した部材が記載
されている。

 しかしながら、特許文献1に記載の部材は超合金基材自体の耐熱性が1350℃前後で
あり、MCrAlXで表記される中間層の耐酸化性も800℃前後である。そのため、耐
熱性及び耐食性が充分とは言えなかった。

 そこで、窒化ケイ素セラミック構造体の表面にY、Yb、Er及びDy等の希土類シリ
ケート皮膜を成膜した部材が検討されている(例えば、特許文献2〜4)。しかしながら
、希土類シリケート皮膜は多結晶構造であり、粒界に粒界ガラス相を有する。粒界ガラス
相は、1500度を超える条件になると選択的に腐食され、多孔質化する。そのため、こ
れらの部材も十分な耐熱性を有するとは言えなかった。

 一方で、本発明者らは、これらの部材とは別の系として、粒界ガラス相を内在しない複
数の金属酸化物の共晶構造体を皮膜として備えた部材を開発した(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】

【特許文献1】特開2000−96206号公報
【特許文献2】特開平11−139883号公報
【特許文献3】特開平11−12050号公報
【特許文献4】特開平10−87386号公報
【特許文献5】特開2016−69229号公報

課題

特許文献5に記載の皮膜は、1500℃を超える高温に対しても耐熱性を有する優れた
皮膜である。一方で、タービン等は少しでも高い熱効率を実現することが求められている
。そのため、1800℃を超える温度環境下でも動作できる部材が求められており、より
耐熱性及び耐食性に優れる皮膜が求められている。

 本発明は、高温環境下でも耐食性に優れる耐熱耐食皮膜及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。

手段

 発明者らは、鋭意検討の結果、皮膜を構成する共晶をより緻密にすることで、より耐熱
性及び耐食性に優れた耐熱耐食皮膜を得ることができることを見出した。
 すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。

(1)第1の態様にかかる耐熱耐食皮膜は、基材上に被覆される耐熱性及び耐腐食性を有
する耐熱耐食皮膜であって、ZrO 2 又はHfO 2 を含む共晶を有する共晶構造層を備え
、前記共晶構造層を前記基材と反対側の面から見た表面において、前記共晶構造層を構成
する共晶のラメラ構造のラメラ幅が1μm以下である。

(2)上記態様にかかる耐熱耐食皮膜において、前記共晶構造層がカルシアで安定化され
たジルコニア又はハフニアを含んでもよい。

(3)上記態様にかかる耐熱耐食皮膜において、前記表面におけるラメラ構造の形状が不
定形であってもよい。

(4)上記態様にかかる耐熱耐食皮膜において、前記基材側の一面に、前記基材の酸化を
防止する中間層をさらに備えてもよい。

(5)上記態様にかかる耐熱耐食皮膜において、前記基材と反対側の面に、前記共晶構造
層を構成する元素を含むポーラス酸化物を含む遮熱層をさらに備えてもよい。

(6)第2の態様にかかる耐熱耐食部材は、基材と、前記基材の外表面を被覆する上記態
様にかかる耐熱耐食皮膜と、を備える。

(7)第2の態様にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法は、上記態様にかかる耐熱耐食皮膜の
製造方法であって、基材の一面に、共晶組成物を含む塗膜を形成する塗布工程と、前記塗
膜の一部を集光加熱により溶融する溶融工程と、溶融位置を移動させながら、溶融箇所を
急冷する急冷凝固工程と、を有し、前記溶融位置の移動速度が500mm/h以上である

(8)上記態様にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法において、前記溶融位置の移動速度が2
000mm/h以上であってもよい。

効果

 上記態様にかかる耐熱耐食皮膜及び耐熱耐食部材によれば、1800℃を超える温度に
対しても耐熱性及び耐食性を維持することができる。

 上記態様にかかる耐熱耐食皮膜の製造方法によれば、均一で微細な共晶構造を有する耐
熱耐食皮膜を製造することができる。

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特許情報

特許7006904

JPB 007006904-000000