温度の変化に伴って構造相転移して酸化還元電位が変化する熱電池

2024.08.08 By 筑波大学

材料工学

技術概要

環境下での温度変化で充電できる電力設備が要らない三次電池の発明。、
具体的には、1対の電極が酸化還元電位の温度係数の異なる電極と、電解質と、を備えた素子を有し、温度の変化に伴って構造相転移して酸化還元電位が変化する熱電池。

用途・応用

電池

背景

2] 我が国の未利用の産業排熱は、国内で利用されている電力量の2倍以上で 

ある。また、我が国に降り注ぐ太陽熱エネルギーは、国内で利用されている 

電力量の1000倍以上である。 これらの熱エネルギーの一部を電気エネル 

ギーに変換できれば、 化石エネルギーの消費が抑えられ、二酸化炭素の削減 

に貢献することができる。 

また、人体も熱エネルギーを発散しているため、この熱エネルギーを電気 

エネルギーに変換できれば、モバイル機器の充電が不要になる。 そのために 

は、室温付近の熱エネルギーを安価に電気エネルギーに変換することができ 

る 「熱発電システム」 が求められる。 

温度差を電気エネルギーに変換する技術としては、例えば、半導体のゼー 

ベック係数を利用した熱発電素子が知られている。 この熱発電素子では、室 

温付近で性能が高い材料 (BizTe3) が用いられる。 しかしながら、この 

材料は、高価である上に、 有毒な元素を含むという問題がある。 また、この 

熱発電素子は、温度勾配をつけるために嵩高いものとなる。 

 これに対して、特許文献1では、 熱起電力が異なる電極を同一の電解質層 

に接触させ、素子全体の温度を変化させることにより、 起電力を発生する熱 

発電素子が開示されている。 特許文献1に記載されている方法を用いた熱発 

電が、基礎研究レベルで実証されている。 

 例えば、非特許文献1では、 正極をNa16Co[Fe(CN)6]o. 9、84Co Co[Fe(CM)6]o.71、電解液を10mol/LのN 負極をNao.84 aCIO水溶液とした熱発電素子を作製した。 この熱発電素子は、23°Cと 50°Cとの間で24mVの起電力が得られた。 また、 この熱発電素子は、熱効率が1.0%であった。 この値は、カルノー効率が11%である。 

また、非特許文献2では、 正極をNa16 Co[Fe(CN)6] o 9、負 

。] Na 1. 32 Mn [Fe (CM) 6] 0.8з、 10 mol/L ON a 電解液を10mol/LのNa 83 txt CIO4 炭酸プロピレン水溶液とした熱発電素子を作製した。この熱発電素子 は、13°Cと40°Cとの間で39mVの起電力が得られた。 また、この熱発 電素子は、 熱効率が2.3%であった。 この値は、カルノー効率が23%である。 

 

Na 1.6 Co [Fe(CN) 6] 0.91. 3 mV/K, N ]ogの熱起電力係数は1. 

  1. ao. 84 Co [Fe (CM) 6] 0.71 5 mV/K, Na, 32Mn [Fe (CM) 6] 0. 83-0. 3 mV/KT 3. より大きな熱起電力と熱効率を得るためには、より大きな熱起電力係数を示 す材料を創出することが不可欠である。 

先行技術文献 

特許文献 

特許文献1:特開2018-73596号公報 

非特許文献 

 #1: T. Shibata, Y. Fukuzumi, W. Kobay 

ashi, and Y. Mori tomo, Thermal power 

generation during heat cycle near 

room temperature, Appl. Phys. Express 

. 11, 017101 (2018). 

2 Y. Fukuzumi, K. Ama ha, W. Kobayas 

hi, H. Niwa, and 

  1. Mori tomo, Prussian 

blue analogues as 

promising 

therma 

I power generation materials, Energ 

y 

Technology, DOI: 10.1002/ente. 2017 

00952.

課題

熱発電素子が発生する熱起電力の大きさは、 正極と負極の材料の熱起電力 

係数の差と温度変化の積で与えられる。さらに、熱発電素子の熱効率は、 

起電力に比例する。 従って、より大きな熱起電力と熱効率を得るためには、 

より大きな熱起電力係数を示す電極材料、 それを備えた素子、 及びそれを備 

えた熱電池の構造が望まれていた。 

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、より大きな熱起電力 

が得られる熱電池を提供することを目的とする。

手段

本実施形態の熱電池は、 以下のような実施の態様を含む。 

[1] 第1の電極と、前記第1の電極とは酸化還元電位の温度係数の異な 

る第2の電極と、 電解質と、を備えた素子を有し、前記第1の電極又は第2 

の電極のいずれか又は両方は、温度の変化に伴って構造相転移して酸化還元 

電位が変化する材料を含み、前記第1の電極と前記第2の電極とはそれぞれ 

前記電解質と接触して設けられ、前記素子の温度を上昇又は下降させること 

により前記第1の電極と前記第2の電極との間に酸化還元電位の差を生じさ 

せ、前記素子から電力を得るよう構成されてなる、 熱電池。 

[2] 前記素子を前記構造相転移の上部臨界温度以上の高温温度に調整し 

て前記酸化還元電位の差を生じさせ、前記素子の温度を前記高温温度に保っ 

て、前記素子から電力を得るよう構成されてなる、 又は、前記素子を前記構 

造相転移の下部臨界温度以下の低温温度に調整して前記酸化還元電位の差を 

生じさせ、前記素子の温度を前記低温温度に保って、前記素子から電力を得 

るよう構成されてなる、 [1] に記載の熱電池。 

[3] 前記素子を前記構造相転移の上部臨界温度以上の高温温度に調整し 

て前記酸化還元電位の差を生じさせ、 ついで、前記素子の温度を、前記上部 

臨界温度と前記構造相転移の下部臨界温度との間の使用温度に保って、前記 

素子から電力を得るよう構成されてなる、又は、前記素子を前記構造相転移の下部臨界温度以下の低温温度に調整して前記酸化還元電位の差を生じさせ 

、ついで、前記素子の温度を前記使用温度に保って、前記素子から電力を得 

るよう構成されてなる、 [1] に記載の熱電池。 

 また、本発明の実施態様は、以下のような側面も含む。 

[1A]第1の電極と第2の電極が、 単一の電解質を介して対向してなる熱 

発電素子であって、前記第1の電極は、温度の上昇に伴って構造相転移し、 

起電力が大きく変化する材料Aを含み、前記第2の電極は、温度の上昇に伴 

って構造相転移し、前記材料Aとは逆の方向に起電力が変化する材料Bまた 

は温度の上昇に伴って構造相転移せず、前記材料Aとは逆の方向に起電力が 

変化する材料Cを含み、前記材料 A は、 Nax Coy Az [Fe(CN)] 

 

(但し、AはFe、Mn、 NiおよびZnからなる群から選択される少なく 

とも1種、0.8 < x < 2.0 0.0 <y < 1.0、0.7<z<1.0 

)で表される化合物からなる熱発電素子。 

Z 

[2A]前記材料C は、 Nax Co-y [Fe (CN)6] (0.8<x<2 

0、0.8<z<1.0)で表される化合物からなる[1A]に記載の熱 

発電素子 

[3A]前記第1の電極、前記第2の電極および前記電解質を有するユニッ 

トが、一方のユニットの前記第1の電極と、 他方のユニットの前記第2の電 

極とが隣り合うように複数積層されてなる [1A] または [2A]に記載の 

熱発電素子。

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特許情報

2020-559069

WOA1020121799-000000