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みなさんこんにちは! サイエンスライターな妖精の彩恵りりだよ!
今回の解説は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した「メイジー銀河」が真に遠い銀河であることが確定した!というのと、他にもいくつかあるよ!
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は1年間でかなりたくさんの遠い天体をみつけているんだけど、その多くはちゃんとした観測結果が得られていないので、本当に遠いのかははっきりしていなかったよ。
今回、最も遠い天体の候補であった「CEERS-93316」という天体は首位から陥落したのと同時に、メイジー銀河が現時点で6番目に遠い銀河であると確定するなど、ランキングが結構入れ替わっているんだよ!

(画像引用元: The University of Texas at Austin (メイジー銀河拡大写真) / CEERS (背景) )
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私たちの宇宙には始まりがあるとされているから、宇宙にある様々な天体にも、最初に生まれた天体というのがあるはずだよ。それらは進化し、今の時代に存在する恒星や銀河になったはずだよ。
光が届くのに時間がかかることから、遠い宇宙を観察するのは、初期の宇宙を観測するのと同じになるよ。なので遠い宇宙にある天体を探すことで、そのような最初に生まれた天体を探すことができるよ。
ただし、それはとても大変だよ。まず距離が遠い分、天体の明るさは暗くなるから、かなり大きな望遠鏡を用意する必要があるよ。そんな望遠鏡は世界でも数が限られているよ。

とても遠い天体の距離を知るには、天体からやってくる光を分析し、スペクトル線と呼ばれる特徴的なピークのズレ具合から距離を算出するよ。本来、スペクトル線はどの天体でも同じであるはずなので、スペクトル線のズレは波長の引き伸ばしと対応していると言うわけ! (画像引用元: Webb Space Telescope (日本語は筆者による加筆) )
それに加えて「赤方偏移」[注1]という難題が立ち上がるよ。宇宙空間は膨張していて、距離が遠いほどその速度は速くなるよ。すると、宇宙空間を進んでいる光の波長も、バネを伸ばすように引き伸ばされていくよ。
特に初期の宇宙となれば、その引き伸ばしは紫外線を赤外線にしてしまうほどだよ。赤外線というのは天文学の厄介者で、ごく一部の波長以外は宇宙空間でしか観測できない、という問題があるよ。
暖房や調理器具であるように、赤外線は熱を持つ物体全てから放たれるので、単に宇宙に望遠鏡を打ち上げるだけじゃなく、望遠鏡を冷やす工夫も必要になるよ。これが、宇宙で赤外線観測を行う一番の問題になるよ。
これまでの赤外線望遠鏡は液体ヘリウムで本体を冷やしていたけど、ヘリウムが少しずつ漏れるせいで、高価な本体を数年間しか運用できないことが、ヘリウム自体も高価なことも相まって、大きな弱点となっていたよ。
2022年に打ち上げられた「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」は、これらの弱点を克服した高性能望遠鏡だよ!地球から遠く離れた場所に置くことで、長期にわたってヘリウム無しの冷却を実現したよ。
そして口径6.5mの巨大な鏡によって、これまで露光に何十時間もかかるほどだった非常に微弱な赤外線をわずか数時間で捕らえ、これまでに誰も見たことがない宇宙の画像を次々と撮影しているよ。
打ち上げを実現するために、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は全体を折りたたんだ状態で打ち上げ、宇宙で展開したんだけど、何百ヶ所ものモーターのどれか1つが故障してもアウトという恐ろしい難易度だったよ!
運用開始から1年ちょっとしか経ってないのに、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は最も遠い天体ランキングに載りそうなのを何十個も見つけているなど、中々にすごいことになっているよ!
ただし、天体の距離を測るというのは本当に難しいよ。例えば赤方偏移した天体は赤っぽく見えるけど、赤い天体を見つけたとしても、それは本当に赤方偏移によるものなのか、それとも偶然赤いだけかを知るのは難しいよ。
真の距離を調べるには、光に含まれるスペクトル線[注2]を調べることが必要だけど、それはとても弱い上に、他のスペクトル線との区別も難しいことから、やはり簡単には分析できないよ。
CEERSコラボレーションは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データから研究を行っている国際研究チームの1つだよ。このチームは以前、最も遠い天体[注3]の候補である「CEERS-93316」を見つけたこともあるよ!
見つかった当時の分析では、CEERS-93316の赤方偏移は16.39であり、距離に直すと346億光年[注4]かなたに存在することを意味しているから、中々にとんでもないことになってるね!
ただ、これは限られた観測データに基づく距離の推定であって、本当に正しいかどうかは微妙なところだよ。これが正式に遠い天体であることを確認するには、スペクトル線の正確な分析が必要だからね。
ということで今回、アメリカ国立科学財団国立光赤外線天文学研究所のPablo Arrabal Haro氏を筆頭とする研究チームは、CEERSが分析した過去のいくつかの天体をより詳細に分析してみることにしたよ。

最も遠い天体の候補であったCEERS-93316は、運が悪いことに、距離を読み間違えても仕方がない特殊なスペクトル線が得られてしまっていたことが明らかになったよ! (画像引用元: 原著論文arXiv Fig3 (スペクトル図) / CEERS (背景) )
その結果、CEERS-93316はかなり特殊な天体で、その赤方偏移は16.39ではなく4.912であることが分かり、距離も346億光年から258億光年に修正されたよ!
パッと見ではかなり遠距離なことに変わりはないように思えるけど、最も遠い天体、というランキングでは全く載らないくらいの下方修正だよ!今回の研究でこれほど値が修正されたのはCEERS-93316だけだよ。
赤方偏移の値を誤認した理由は、水素や酸素に関連する周波数での光の放出が予想以上に多くて、CEERS-93316の色が普通より青いように誤解されていた、ということがあるみたいね。
しかも、正しい赤方偏移の値は、そういう見間違えをしやすい値にドンピシャだったので、本来なら4.912であるべきところを、誤って16.39と測定しちゃったみたい。かなりの不運だったみたいね。
ただし、この話はこれで終わらないよ。分析をした別の天体「CEERS J141946.36+525632.8」は、真に遠い天体であることが明らかにされただけでなく、正式に遠い銀河であることが確認されたんだよ!
この銀河は、CEERSの主任研究者Steven L. Finkelstein氏の娘がちょうど9歳の誕生日を迎える日に発見されたことから、娘の名前を取って「メイジー銀河 (Maisie’s Galaxy)」とも呼ばれているよ。

今回の分析により、メイジー銀河は本当に遠い銀河であると確定したよ!現時点で6番目に遠い銀河となったよ! (画像引用元: The University of Texas at Austin (メイジー銀河拡大写真) / 原著論文arXiv Fig4 (スペクトル図) / CEERS (背景) )
驚くべきことに、メイジー銀河の赤方偏移の値は11.416だったよ!つまりメイジー銀河は324億光年かなたにある134億年前の銀河であることになり、1番ではないものの、かなり遠い銀河にランクインすることになったんだよ!
また、メイジー銀河には負けるけど、やはりかなり遠い銀河である「CEERS2 588」も新たに見つかったよ!CEERS2 588は321億光年かなたにある134億年前の銀河だよ。
今回の研究により、確実な赤方偏移の値が得られている中では、メイジー銀河は6番目、CEERS2 588は8番目に遠い銀河になったよ!
| 順位 | 名称 | 距離 | 時代 | 宇宙誕生から | 赤方偏移 | 出典 |
| 1 | HD1 | 333億4700万光年 | 134億7200万年前 | 3億1500万年後 | 13.27 | [2] |
| 2 | JADES-GS-z13-0 | 333億1400万光年 | 134億6900万年前 | 3億1800万年後 | 13.20 | [6] |
| 3 | JADES-GS-z12-0 | 330億2900万光年 | 134億4900万年前 | 3億3800万年後 | 12.63 | [6] |
| 4 | GLASS-z12 | 329億0900万光年 | 134億4000万年前 | 3億4700万年後 | 12.4 | [3] |
| 5 | JADES-GS-z11-0 | 324億5500万光年 | 134億0500万年前 | 3億8200万年後 | 11.58 | [6] |
| 6 | メイジー銀河 | 323億5900万光年 | 133億9700万年前 | 3億9000万年後 | 11.416 | 今回 |
| 7 | GN-z11 | 321億6200万光年 | 133億8100万年前 | 4億0600万年後 | 11.09 | [1] |
| 8 | CEERS2 588 | 321億3300万光年 | 133億7900万年前 | 4億0800万年後 | 11.043 | 今回 |
| 9 | UDFj-39546284 | 317億0500万光年 | 133億4200万年前 | 4億4500万年後 | 10.38 | [6] |
さて、最新の「宇宙で最も遠い天体ランキング」が更新されることになったこの論文ではあるけど、これで終わりってわけじゃないよね~。
このような遠い天体の距離を正確に測定し、きちんと性質を測ることは、初期の宇宙において銀河の大きさ・数・生成スピードがどんなものだったのか?という疑問に答えることに繋がってくるんだよ。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の活躍により、初期の宇宙にはかなり多くの銀河が成長した状態で存在することが分かっていて、従来の理論では説明がつかないという大問題に直面しているんだよね。
今回首位から陥落したCEERS-93316も、距離を間違えるのに繋がった水素や酸素の放射は、初期の銀河で予測されるものに似ているんだけど、その輝きがメチャクチャ明るいことが問題になってくるよ。
それほどまでに活動的で巨大な銀河が、作っている時間が足らないくらいの初期の宇宙に存在する、というのは何とも予想しがたくて、現代宇宙論はものすごく大きく書き換わるのではないか?という時期に着てくるよ。
メイジー銀河などに限らず、多数の銀河を観測することは、そういった初期宇宙の疑問解決に大きな役割を果たすのかもしれないね!
[注1] 赤方偏移 ↩︎
赤色の光は青色の光と比べて波長が長い。光の波長が引き延ばされると、銀河の見た目は赤色寄りになるため、これを赤方偏移と呼ぶ。
[注2] スペクトル線 ↩︎
物質を構成する原子は、元素の種類に応じた固有の波長の放射をしたり吸収したりする性質がある。この波長は厳密かつとても狭い幅にあるため、スペクトル線のズレは赤方偏移によるズレであると暫定的に決定することができる。
[注3] 最も遠い天体 ↩︎
記事内で述べる通り、遠い天体というのは赤方偏移で決定されるが、赤方偏移は様々な要因で起こるため、真に遠い天体であることを調べるにはスペクトル線を調べる必要がある。このシグナルはとても弱いことや、記事内で述べる通り誤解させるデータが得られることもあるため、きちんと観測されていない天体の場合には暫定的なランキングとなる。例えば、CEERS-93316を上回る「F200DB-045」 (赤方偏移z=20.4 / 距離359億光年) という天体が見つかっているが、赤方偏移の値として他に0.70 (84億光年) や0.40 (52億光年) という推定値もある。
[注4] 天体の距離 ↩︎
宇宙の年齢は137億8700万年であるため、どんなに遠い天体でも137億8700万光年を超えないように思える。しかし、宇宙は膨張しているため、天体から放たれた光が進んだ空間は時間が経つごとに引き延ばされるため、天体までの実際の距離はより長くなる。今回の記事でも、天体の距離といえば、この引き延ばしを考慮した実際の距離である「共動距離」で表す。これに対し、単純に経過時間に光の速さをかけ算した距離は「光行距離」と呼ぶ。
<原著論文>
<参考文献>
<関連研究>