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現在パーキンソン病(PD)を、手足や頭の震え、筋肉が固くなる、動作が緩慢になる、そして歩行がギクシャクしてバランスが崩れる、といった症状が、黒質のドーパミン産生神経が失われることで現れる病気と伝えている。
ただドーパミン分泌低下で、これらの運動症状が現れる生理学的メカニズムは簡単でないが、視床下核(STN)が一つの鍵になっていることがわかっている。
例えば PD の患者さんで STN に電極を挿入し、電極周囲の電気活動を拾うと、運動時の特徴的な活動の変化を拾うことが出来、この結果、STN の深部刺激法が開発されている。
ただこの方法は、両足が別々に動くのを制御しなければならない歩行の安定を支持するのはうまくいかない。
そこで、歩行時の筋肉活動と、STN に挿入する深部刺激電極での活動記録を相関させ、深部学習させることにより、PD による異常をいち早く検出して歩行を助ける深部刺激開発のためのデータを集めたのがこの研究で、9月7日号 Science Translational Medicine に掲載された。
タイトルは「Principles of gait encoding in the subthalamic nucleus of people with Parkinson’s disease(パーキンソン病患者さんの視床下核の歩行のエンコードの原理)」だ。
この研究は両側の STN に深部電極を挿入した PD 患者さんが歩行するときの電極周辺のフィールド電気活動を拾って、PD の歩行異常と相関する成分があるかを徹底的に調べている。
調べているのは、局所の活動で、細胞の活動ではないので、回路を明らかにすると言うより、ともかく PD 歩行異常を特異的に反映する変化を特定することが目的だ。
その結果、以下の過程を STN の活動として拾えることが明らかになった。
この研究では、実際には β 波と呼ばれる波長の活動を中心に、歩行に必要な STN の活動と、PD での問題を、2本の電極による局所記録と相関させたところで終わっているが、このデータを学習させた AI を用いることで、患者さんの日常生活で、脚のすくみなどの様々な異常が発生するのを60−70%の精度で予測できるようになってきている。
今後、一本の電極で数カ所の検知と刺激が可能になれば、より精度の高い予測が出来るとともに、脳のプログラムに会わせた深部刺激で、異常の発生を抑えることが可能になるのではと期待できる論文だ。
これはローザンヌ大学からの論文だが、同じローザンヌの EPFL では、脊損の患者さんを AI で歩行可能にする方法も開発されている。
ローザンヌは神経変性疾患治療のメッカになるかもしれない。