【前編】つくってまなぶ京都のおしごと~北山杉編~

2021.12.10

こちらの記事では、つくるまなぶ京都町家科学館様が提供するYouTube動画「【伝統工芸】つくってまなぶ京都のおしごと~北山杉編~【科学ものづくり】」の内容をご紹介します。
伝統建築に欠かせない和室を飾る北山杉を作られている京都京北の京都北山丸太生産協同組合、株式会社中西林業からお届けします。
全篇動画は以下のリンクよりご覧ください!

動画のポイント解説を、以下本文でさせていただきます。
前編では、「北山杉ってどんなもの?」「どこに使われている?」という導入から、実際に北山杉のサンプルを観察しながらその育て方を見ていきます。

【0:00】あいさつ、導入

こんにちは。つくるまなぶ京都町家科学館ものづくりナビゲーターの  かちゅーです。
『つくってまなぶ京都のお仕事~北山杉編~』に来ていただき、ありがとうございます。

今、後ろに見えているのが北山杉の林です。
つくってまなぶ京都のお仕事シリーズは今回で第2弾なんですけれども、京都のお仕事を科学の目で見てみよう、という企画です。今回はこの北山杉の里からお届けしております。

最初に「そもそも北山杉ってなに?」とか「どういうところに使うの」ってことですが、多分あまり知らない人が多いんじゃないかなと思うので、最初にいきなりクイズです。

 

【01:15】北山杉ってなににつかわれているの?

今から和室の写真が出てきます。その和室のどこに北山杉が使われているかっていうのを考えてみてください。
いっぱい木でできてるものがあるけど、座卓があったり、ドアがあったり床から天井まで走ってる木があったりとかね。
色々あるのでちょっと選択肢を出します。

①机  ②ドアの枠  ③床から天井まで走っているまっすぐな柱  ④天井
どれかなぁとみんなに考えてほしいと思います。

みんな、これだよって思う数字を画面に向かって指を立てて見せてください。

~クイズ~

正解を発表します。
③の床から天井までビヨーンて走っているこの木。
こういう所に使われることが多いのが、北山杉という木の特徴です。

他の机やドアはどういう物かイメージできるんじゃないかなと思うんですけど、
この柱が何か分かるよって人いますか?何かわかるよって人がいたらカメラに向かってアクションしてください。わからないかな?

これは床柱と呼ばれる柱の一種です。後でもうちょっとで詳しく、どういうものか説明します。
こんな感じでクイズを出したりしてコミュニケーションとりながら進めていきたいなと思います。

 

【03:25】 床柱(とこばしら)

北山杉の倉庫に場所を移動してきました。和室の模型の中から今日はお話ししていきたいなと思います。

ではさっき最初に説明した北山杉。和室のこういう所に主に使われています。
なんでこれを床柱って呼ぶかっていうと、和室、特にお客様を入れるような和室だという一段ちょっと高くなっているところがあって、床の間とか床と呼ばれます。ここにはお花を飾ったり掛け軸をかけたりします。
この床の間を飾るものとして、床柱が使われていることが多いです。

おうちに和室があって床柱があるよって方いますか?
(参加者が挙手)

和室ある?
参加者:うん。
気にしたことある?この床柱。
参加者:ううん。
じゃあ、この杉のこと、床柱のこと詳しくなったらもう一度見てみてください。また違うものが見えてくるんじゃないかと思います。

この床柱って言われるものは人に見てもらうための柱で、単純にこの家を支えるためだけじゃなく、きれいにかっこよく見せるために使う柱です。だから、かっこいい木がいいよね。

 

【05:39】 観察しよう!丸太の輪切り!

ではなんで北山杉がかっこいいのかな。かっこよく育てるために、どういうことをしているのか、科学的に考えたいと思っております。

これは100年ぐらい前の明治時代に書かれた『白杉北山丸太撫養法』という本です。

『厳然たる正堂の主位に直立せる床柱の用材たる白杉北山丸太は
其幹の円にして直き
其質密にして硬き
其色の雪白にして光澤ある
其丈の数十尺にして其末口の下らざる
且つ枝痕の認識すべきなき
其の高雅にして優致ある天下一品の称眞に空しからず』

なんて書いてあるんですけど、さっぱりわからないですよね。かちゅーもさっぱりわかりません。

頑張って読みとこうっていう方法もあるんですけど、今回のテーマは科学なので、科学的な手法、実験と観察で考えていきたいと思ういます。

みんなの手元に届いている、北山杉の輪切りを見ながら一緒に考えていきたいなと思います。
これをまずまじっくり見てもらって、いろいろな向きから見たり、触ったり、臭いをかいだり色々試してみてください。

これで北山杉の特徴を見つけていきたいなと思います。
なのでちょっと触った感想を聞きたいな。誰か、話してくれる人!(参加者挙手)

はるとさんが今早かった。どんな感じでした?
はると:ざらざらして、ごリごりしてるかんじ。
形はどんなかたち?
はると:まんまる。
かなり、真ん丸にできてるんじゃないかと思います。
ありがとう。ちょっともう一人聞いてみたいな。お願いできるかな?

参加者:この幹の一番広いところはちょっとざらざらで、外側の細いところはつるつる。
かたちも丸だけど、ちょっとゆがんでる。

あと確認しておきたいのが色。色も大事なポイントで、木を絵に描くときは、よく茶色で描くと思うんだけど、この木は何色?

参加者:ちょっと白い。

丸っこくて、色は白っぽくて、輪切りだと分かりにくいけど柱だときれいにまっすぐ伸びていたり、太さもあまり変わらないという特徴があります。

それを改めて文字にしてみます。

『北山丸太はいい感じの和室にある床柱に使う。
めっちゃ丸くて、年輪が詰まってて、硬い。
色が白くてピカピカ。
長いのにまっすぐで枝の跡がない。
めっちゃいい感じの木。』

これをもう一回さっきの古文書と見比べてみると、実は綺麗に対称になっています。

『厳然たる正堂の主位に直立せる床柱の用材たる白杉北山丸太は
其幹の円にして直き (真円でまっすぐ)
其質密にして硬き (年輪がち密で材質が硬い)
其色の雪白にして光澤ある (表面の色が白く光沢がある)
其丈の数十尺にして其末口の下らざる (上下で太さが変わらない=完満)
且つ枝痕の認識すべきなき (枝の跡=節がない)
 其の高雅にして優致ある天下一品の称眞に空しからず』

こんな性質がありますよっていうのが分かりました。

 

【12:02】 年輪をみてみよう

今、年輪という言葉を出したんですけど、年輪って何か分かる?
みんなの手元にある丸太の輪切りは、何年育ったものか、ちょっと考えて欲しいなと思います。

~クイズ~

参加者:19年!
その数字はどこからきましたか?
参加者:ここ(年輪)を数えました。

みんな同じような数字を言ってくれたということは、年輪を数えてくれたんじゃないかと思います。
木が成長するときに、季節によっていっぱい成長する時とあまり成長しないときがある。
それによって1年に1個わっかがふえていきます。これを年輪といいます。

みんなのおうちに届いた木は、19年から20年くらい育てられた木です。わかったみんなすごい。

 

【14:25】 北山杉のそだてかた 穂摘み、植林、枝打ち

北山杉、北山丸太はどういうものかなーっていうのがだんだん分かってきたところで、
木をを育てるのがこんなに大変なんだっていうのを順番に見てみたいと思います。

最初が「穂摘み」、「差し穂」という工程です。
長いの経験の中で(きれいに育つ)親木から摘んだ枝を土に挿して育てている様子です。
みんなの袋の中にも杉の葉っぱが入っていたと思います。
これはちょっと短いし時間経っちゃったから、ここから育てるのは難しいかと思うんだけど、見た目はこんな感じのものを土に植えて育てていきます。

次の工程が「植林」っていうもので、苗床で育てた植木を実際に山に刺していく。
山に刺していくと、だんだん大きく大きく育っていてくれます。

次にしなきゃいけないのが「下草刈り」ですね。
植林からだいたい6から7年ぐらいは毎年、夏は周りの雑草を取るっていうね細かい作業が入ります。植えた木の周りの雑草を取ってあげないと栄養を取られちゃうから。

この後でてくるのが「枝打ち」っていう作業。
この作業はとっても大事なことで、北山杉が北山杉になる理由にもつながる部分なので、動画を見てもらいながら説明しようと思います。

こんな感じで、はしごを使って木に登っていきます。
そして枝をどんどん落としていきます。すごいよね。めちゃくちゃ高いところまで登っています。
7年目ぐらいに初めて枝打ちをします。
こうやって枝を取ると余分な栄養を枝に取られず、最後に綺麗に円い丸太を作ろるためにも、こうやって丁寧に落としていきます。

今、グラグラ揺れているのが分かるよね。木の上まで登っているからグラグラグラしてるんだけど、これは怖いよね。
高いとこから枝打ち作業を何度も何度も繰り返すというのが、北山杉の作り方です。

 

【17:26】 枝打ち用のはしご

今動画の中でも出てきた、はしごの本物がこっちにあるのでちょっと見てもらいましょう。

枝打ちについて実際に本当に木に登って作業されていた北山丸太生産協同組合の松本さんからお話を伺いたいなぁと思いますので、松本さんお願いいたします。

松本:はい、みんさんこんにちは。松本ですよろしくお願いします。
このはしごも木で出来ているみたいに見えるんですけど、これどはういった木でできてるんですか。
松本:これも北山杉で手作りでつくっております。
こういった丸太になるような大きな木をはしごにしちゃう感じですか?
松本:北山杉の中でも細くて、ちょうどはしごに使えるようなまっすぐしたいい木、というか、はしごに適した木を選んでこれをはしごにしています。
そんなものがあるんですね。素敵です。動画の中でもちょっと気になったんですが、このはしご、実はグラグラしています。グラグラしたはしごってとっても怖いなと思うんですけど、これでいいんでしょうか?
松本:はい、これはグラグラしてないと逆に(よくなくて)杉の木に掛けて枝打ちするとき結構揺れちゃうんですよ。
(はしごが)硬いと地面についてるところも外れちゃって倒れたりする。それを防ぐためにグラグラしてる。そのほうがしっかりと地面にささるので 職人さんの経験でわざとグラグラするように作っています。

山の中に生えている木なので、斜めの斜面でどうやって使うかを考えてつくられた はしごということですね。
はしごにまでたくさんの工夫があるというのが北山杉でございます。

 

【19:33】節の観察

枝打ちの特徴でもう1つ見てもらいたいのがあるので、さっき見ていたこの丸太輪切りを見てください。
こいつ(年輪)をしっかり見ると、どこかベコっとしているものがあるんじゃないかと思う。綺麗な丸のやつもあると思いますが、ちょこちょこへこんでいたり、ちょっと内側に向かってべコってなっているところがあるのもあるんじゃないかなと思います。

このボコってなっているところがあった人は、じっくり見てみてください。そこが枝打ちをしたところです。枝打ちしたところは1回外から枝を落としちゃうから、中に凹んじゃうんだけど、そこから5年ぐらいするとだんだん平らになってきて、まん丸な年輪がまたできて、最終的に一番外がまん丸になる。

それを狙って何度も何度も枝打ちするというのが北山杉の育て方です。
では枝打ちはわかったところで、次にやる作業もとっても不思議な作業です。

 

【20:40】しぼ巻き

白いプラスチックみたいなものを巻き付けた木があります。これは「しぼ巻き」っていう作業なんだけど、これをなんのためにするのか、みんなに考えてほしいなと思うのでまたまたクイズです。

このしぼ巻き何のためにするでしょう?
①木を温めるため。寒いとき服の代わりに着せてあげている
②虫から守る。虫に食べられないように虫が嫌いなものを巻きつけている
③太陽から守る。紫外線とか当たりすぎると良くないので日よけになっている
④木に模様をつける。
どれだと思うまた?指で表してもらえるかな?

~クイズ~

それでは正解は、また松本さんから発表していただきたいなと思います。
松本:正解は4番。木に模様をつけるです。
なるほど、木に模様をつける。何のためにするんですか?

松本:こういうツルッとした模様のないのより、やっぱりに模様がある方が面白みやデザイン性があって高く売れたんですよね。なんかおもしろい模様でしょ。
確かに最初にかっこいい木、見せるための木だからかっこいいのがいいよねっていうのを話しました。
こっちに色んな種類の丸太を置いてあるのでちょっとそれを見ながらまた説明していただこうかなと思います。

ここにいろんな種類の木があります。
これが基本の磨き丸太という模様のないものですよね。で、これがさっき見た「しぼ巻き」をしてつくった人造絞りの木です。 これがベースになっている天然の絞り丸太ですね、これはどういったものなのでしょうか。

松本:天然ですね。先ほど巻きつけて模様を付けたものがこちら人造絞りなんですけども、(天然は)人工的な模様をつけなくても自然にたまたま見つかったものです。突然変異でこういう模様ができるものが明治時代ぐらいに見つかったんですよ。
でそれが大変珍しくて面白いデザインなんで高く売れる。その苗を先ほど差し木っていうやり方で増やしたというか、残していって、こういうものが今だんだん自然にできるようになった。

なるほどこういうものが自然にできて、それがかっこいいから細かい作業の「しぼ巻き」をして模様を作ったんですね。

ちょっとここでみんなにも聞いてみたいんだけど、どれかっこいいと思う?
もう直感で答えてくれたらいいと思うんだけど、お値段でいうと(天然が)いちばんですかね、
こいつが一番高級なんだけど、でもこいつもかっこよくないとかあると思うんだよね。

このツルツルなのか、均等に同じような色で模様が入ってるやつ、茶色くてボコボコしたやつ。
これなんかは、表面をちょっと残しながら切り落として四角くした木。 

4種類を比べて、どれが好きかな。ちょっと好きなやつ決めて。

~アンケート~

必ずしも、店でも一番高いやつがとにかくカッコ良くていいものだ、っていうより、僕はこれが好き私はこれが好きっていうのを見つけて、こんなものが家の中に1本あったらいいな。温かみ丸みがあったらいいなあっていうのを感じてもらえたらいいなと思っております。

 

まとめ

後編は、続きの工程「枝締め、伐採、皮むき」からお届けします。伝統的な手作業による加工と現代のダイナミックな機械加工を比較したり、お子さんたちの素朴な疑問にお答えしていきます。

今後も動画によるコンテンツ拡充を続けてまいります。
こんな解説が知りたい!こんな読み物が読みたい、等リクエストがあれば、是非アンケートフォームより入力ください。