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安全キャビネット、クリーンベンチ、ドラフトチャンバーの違いを正しくご理解いただいておりますでしょうか?
検査室や実験室で広く使用されている大型機器3種類であり、外見はよく似ておりますがそれぞれ別の仕組みで気流を制御しており、使用用途が全く異なります。
今回は、これらの違いについてご説明させていただきます。
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まずは3機種の違いを一覧表で確認しましょう。詳細は各章で解説します。

安全キャビネット(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット)は感染症対策の一次封じ込め装置として世界的に広く使用されております。
HEPA(ULPA)フィルタを2種類搭載し、作業庫内の清浄性に加えて庫内で発生するエアロゾルの外部流出を封じ込める機能を持っております。
「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成16年4月1日)」(カルタヘナ法)や「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成19年6月1日)」(改正感染症法)にて設置が義務付けられております。
安全キャビネットはⅠ型・Ⅱ型・Ⅲ型に大別され、実験室で最も多く使用されているのがクラスⅡ型です。クラスⅡ型はJIS K 3800(バイオハザード対策用クラスⅡキャビネット)に基づき、気流方式や循環気率の違いによって以下の4タイプに細分されます。
取り扱う病原体・試薬のリスクに応じて、必要なタイプを選定することが重要です。なお、JIS K 3800は2009年版からの改定を経て2021年に最新版(JIS K 3800:2021)が発行されており、キャビネットへの物理的な衝撃時にも風速を安定して供給できるかといった要求項目が追加されています。設備を選定・更新する際は、対応規格の版数もあわせて確認しましょう。
安全キャビネットは、設置時だけでなく運用中も継続的に性能を維持することが求められます。一般的には年1回程度の定期点検(風速測定・フィルタリーク試験など)を専門業者に依頼し、記録を残しておくことが推奨されています。実験内容や社内規程によって頻度は異なるため、詳細は設置施設の安全管理規程やメーカーにご確認ください。
クリーンベンチはHEPA(ULPA)フィルタを1種類搭載し、作業庫内を清浄にする装置です。
安全キャビネットと異なり封じ込め機能は無いため感染性のある病原体等の取扱はできません。
バイオクリーンベンチという商品がございますが、こちらもクリーンベンチの一種であり、感染性のある検体等の取扱はできない機器となります。
一般的なクリーンベンチの清浄度は、国際規格ISO 14644-1に基づく「ISOクラス5」(旧規格の「クラス100」に相当)に対応する製品が主流です。細胞培養や微生物実験など幅広い用途で使用されますが、半導体・精密機器分野などではさらに高い清浄度が求められる場合もあります。
気流方式には、天面から作業台へ清浄空気を吹き下ろす「垂直層流方式」と、背面から水平に吹き出す「水平層流方式」があり、取り扱う試料や作業スタイルによって適したタイプが異なります。
「バイオクリーンベンチ」という製品名を目にすることがありますが、これもクリーンベンチの一種であり、無菌操作に特化した機種です。ただし封じ込め機能を持たない点は標準的なクリーンベンチと同様であり、感染性のある検体等は取り扱えません。名称に「バイオ」とついていても、安全キャビネットの代替にはならない点に注意しましょう。
ドラフトチャンバーは化学実験を行う際に使用する薬品等(酸、アルカリ、有機溶媒)を安全に取扱うための安全装置です。
安全キャビネットやクリーンベンチに搭載されているHEPA(ULPA)フィルタは無く、代わりにスクラバー(湿式、乾式)を搭載し、排気ファンの設置とダクト接続が必要となります。
労働安全衛生法(有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質等障害予防規則)にて設置が義務付けられる「局所排気装置」に該当します。
ドラフトチャンバーの排気方式には、大きく分けて以下のタイプがあります。
新規導入や更新の際は、扱う薬品の種類・使用量・設置スペース・省エネ性能などを踏まえて排気方式を選定することが重要です。
3機種の違いを踏まえ、実際に導入を検討する際は以下の観点で確認すると選定しやすくなります。
迷った場合は、機器メーカーや販売代理店に取り扱う対象物・作業内容を具体的に伝えたうえで相談することをおすすめします。
Q. 安全キャビネットとドラフトチャンバーを兼用することはできますか?
A. できません。安全キャビネットは病原体・エアロゾルの封じ込めを、ドラフトチャンバーは化学薬品の排気処理を目的としており、内部構造(フィルタの有無やスクラバーの搭載)が根本的に異なります。取り扱う対象物ごとに適切な機器を使い分ける必要があります。
Q. クリーンベンチで病原体を扱ってもよいですか?
A. 不可です。クリーンベンチには封じ込め機能がなく、庫内の空気が作業者側や室内に排出される構造のため、感染性のある病原体・検体の取扱いには安全キャビネットを使用してください。
Q. 安全キャビネットのクラスはどれを選べばよいですか?
A. 取り扱う病原体のバイオセーフティレベル(BSL)や、揮発性物質・放射性物質を扱うかどうかによって適したタイプ(A1/A2/B1/B2)が異なります。判断が難しい場合は、取扱物質の詳細をメーカーへ伝えて相談するのが確実です。
Q. ドラフトチャンバーはダクト工事なしでも設置できますか?
A. ダクトレスタイプであれば屋外排気のための工事は不要ですが、対応可能な物質・濃度に制限があり、場合によっては労働基準監督署への申請が必要です。使用する薬品の種類・量を踏まえて、ダクト式とダクトレス式のどちらが適切か確認しましょう。
今回は見た目が似ている3種の大型機器、安全キャビネット・クリーンベンチ・ドラフトチャンバーの違いについて、最新の規格情報や選び方のポイントも交えてご説明しました。
それぞれの目的・構造・関連法規を正しくご理解いただき、安全な実験環境の運用に役立てていただければ幸いです。
アズワンでは、安全キャビネット・クリーンベンチ・ドラフトチャンバーの販売だけでなく、各種法令に関するご説明や使用方法に関する説明会もご提供しております。導入・更新・関連法令についてご不明な点がございましたら、お気軽にアズワンまでお問い合わせください。