キチンナノファイバー・セルロースナノファイバーにより小麦粉生地強度を高める技術

2022.09.16 By 鳥取大学 農学部

材料工学

技術概要

天然素材であるキチンやセルロースを微細化した新素材を添加することで、パンなどの小麦粉製品の生地強度(膨らみ)を劇的に増強可能です。

用途・応用

健康機能性を向上させた新しいパンなどの小麦製品の創出

背景

 膨大なバイオマスであるセルロース、及びキチン・キトサンは、増粘剤としての特性や食物繊維としての機能性または安全性などから食品への応用が進められている。しかしながら、加工性の問題からその利用に関して実用化が困難な場合がある。これら高分子の素材をナノファイバー化することにより、溶液中で分散することが可能となることから、ナノファイバー化は加工性に関する問題点の解決のブレークスルーとなっている。

 穀粒粉を加工することにより様々な食材が提供されている。穀粒粉の代表例として小麦粉や米粉が挙げられる。小麦粉は、主に生地の強さによって、パン、めん、菓子など他の食材に類を見ないほど多様に加工されている。近年、食物繊維素材を小麦粉含有生地に含ませることにより機能性食品を製造する試みがなされている。例えば、球状セルロース粒子を小麦粉にブレンド後、このブレンド小麦粉で製パンを行うこと、水溶性食物繊維材料を含む生地を用いて製パンを行うことなどが報告されている。しかし、実際の製パンにおいて生地の膨らみ、堅さ、食感などの更なる改良が必要とされている。また、米粉も餅、せんべい、かきもち、麺類、そして最近ではパンなどの多くの食品に使用されている。これらの米粉を加工して得られる食品に関しても、さらなる食感の向上、新たな食感が求められている。特に、小麦アレルギーの問題から、別の穀物粉を用いたグルテンフリー食品のニーズが高い。

課題

 本発明が解決しようとする課題は、穀物粉含有生地の強度を増加させること、そして実際の穀物粉製品において生地の膨らみ、堅さ、食感などの改良を行うことである。

手段

 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、キチンナノファイバー(キチンNF)、キトサンナノファイバー(キトサンNF)、表面キトサン化キチンナノファイ バ ー (表 面 キ ト サ ン N F )、 セ ル ロ ー ス ナ ノ フ ァ イ バ ー ( セ ル ロ ー ス N F ) 等 の バ イ オ ナノファイバーを穀物粉含有生地に添加することにより、穀物粉含有生地の強度を飛躍的に高めることが可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。

すなわち、本発明は以下のものを提供する。
 (1)バイオナノファイバーを穀物粉含有生地に配合することを特徴とする、強度が高められた穀物粉含有生地の製造方法。
 (2)バイオナノファイバーが、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー、表面キトサン化キチンナノファイバーおよびセルロースナノファイバーからなる群より選択される1種またはそれ以上である(1)記載の方法。
 (3)(1)または(2)記載の方法により得られる、強度が高められた穀物粉含有生地 。
 (4)(3)記載の穀物粉含有生地を用いることを特徴とする、穀物粉含有食品の製造方法。
 (5)(4)記載の方法により得られる穀物粉含有食品。
 (6)穀物が麦または米である(1)または(2)記載の方法。
 (7)穀物が麦または米である(3)記載の生地。
 (8)穀物が麦または米である(4)記載の方法。
 (9)穀物が麦または米である(5)記載の食品。
 (10)パンである(5)または(9)記載の食品。
 (11)焼き菓子である(5)または(9)記載の食品。
 (12)麺類である(5)または(9)記載の食品。

効果

 本発明によれば、強度が増強された穀物粉含有生地が提供される。本発明で得られる生地を用いてパン、焼き菓子、麺類などの穀物粉含有食品を製造すると、生地の膨らみが大きく、堅さや食感が変化した食品が得られる。また、本発明によれば、穀物粉を減らして食品を製造することができることから、費用の節約ができ、減カロリー食品が得られる。本発明により得られる生地はいずれの穀物粉を含む生地であってもよいので、小麦粉、もしくはグルテンを用いることなく、米粉などのグルテンを含まない穀物粉のみを用いて生地の膨らみが必要なグルテンフリー食品が得られる。さらに、キチンやキトサンなどのバイオナノファイバーの機能を持った食品が得られる。

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特許情報

特許第6362573号

JPB 006362573-000000