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『可変磁束モータ(MCモータ)』は、磁性コンポジット材の「低鉄損」 「高強度」「低飽和磁束密度」を活かしている。 通常のモータに対し高効率範囲(96%以上)が高速領域まで拡大。 銅損が40%低減し、鉄損・磁石渦電流損を50%軽減する。 洗濯機・冷蔵庫・エアコン・食器洗い乾燥機・電気自動車用主機モータなど、 インバーター付モータ搭載製品への応用が予想される。
自動車、家電
特許文献1に、埋込磁石型同期電動機の回転子に、磁束バイパス路を形成した可変磁束
型回転電機が記載されている。図20に、この可変磁束型回転電機の回転軸方向に垂直な
断面から見た構成図を示す。同図に示す可変磁束型回転電機201は、円環形状の固定子
211と、固定子211と同心円状をなし、かつ、固定子211との間にエアギャップを
有するように配置された回転子212と、回転子212に嵌装された複数の永久磁石21
3とを備えている。固定子211のティース221には、固定子巻線220が巻き回され
ている。
回転子212は、回転子コア231を有している。回転子コア231は、電磁鋼板を回転軸方向に積層して構成された、いわゆる積層鋼板構造により円筒形に形成されている。
回転子コア231の周辺部の近傍には、周方向に沿って、複数の永久磁石213が互いに
等間隔で、且つ、互いに隣接する永久磁石213の極性が異極性となるように設けられて
いる。
回転子212は、隣接する永久磁石213が構成する各磁極間に、回転子コア231を
形成する電磁鋼板を打ち抜き加工することで形成される空間部分である磁気的障壁(フラ
ックスバリア)234、235を有する。図に示す通り、磁気的障壁234は略三角形状
に形成される。磁気的障壁235は、磁気的障壁234よりも回転中心側に、磁気的障壁
234を覆うように略U字状に形成される。
磁気的障壁234、235は、電磁鋼板よりも磁気抵抗が大きいため、磁石磁束に対す
る磁束障壁として作用する。このため、磁気的障壁234と磁気的障壁235との間に、
永久磁石213から出た磁束が、隣接する他の永久磁石213が構成する磁極側へ漏洩す
る際の経路となる磁束バイパス路236が形成される。
固定子211が備える固定子巻線220に電流を通電しないとき、永久磁石213から
出た磁束の一部は、磁束バイパス路236を通って、隣接する異極側へ漏洩する。このた
め、永久磁石213から出る固定子211側への主磁束成分の磁束量、すなわちステータ
鎖交磁束が相対的に低減されるので、永久磁石213の磁力が見かけ上弱くなる。つまり
、無負荷時或いは低負荷時のように固定子巻線220に通電する電流が小さい場合には、
磁束バイパス路236を経由して流れる漏れ磁束が発生するので、永久磁石213からの
磁石磁束により生じる逆起電力を減少させ、回転子212に生じるトルクを低減させる。
また、ステータ鎖交磁束によって発生する鉄損を低減することができる。この効果は、特
に、低負荷、高速領域における回転電機の効率を改善する上で有効である。
一方、固定子巻線220に通電する電流を増大させると、磁束バイパス路236が磁気
飽和して漏れ磁束が低減され、固定子側に鎖交する主磁束成分が相対的に増加するので、
トルクを高くすることができる。
このように、可変磁束型回転電機201は、固定子巻線220に印加される負荷電流(
ステータ電流)の作用によって、回転子212が備える永久磁石213から出る磁束の一
部(漏れ磁束)の磁路を変化させることができる。この特徴により、回転電機201は、
ステータ電流を制御することでステータ鎖交磁束を変化させることができるので、回転子
212が備える永久磁石213の磁力を電流制御によって見かけ上可変にすることができ
る。このような特性から「可変磁束型」回転電機201と呼ばれ、可変漏れ磁束モータと
も呼ばれている。また、永久磁石213の磁力をステータ電流の制御によって見かけ上可
変にする制御は、可変磁束制御又は弱め界磁制御と呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開2017−17783号公報
特許文献1に記載された可変磁束型回転電機は、回転子コアの隣接する永久磁石の間に
2種の磁気的障壁を形成した複雑な形状であるため、よりシンプルな形状の可変磁束型の
回転電機を実現したいという課題がある。また、2種の磁気的障壁の構造によって可変領
域特性、トルク特性、磁気特性、機械的特性などの回転電機の特性を設定できるが、特性
の設定をより実施しやすい可変磁束型回転電機を実現したいという課題がある。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、回転子コアをシンプルな形状
にすることができると共に、回転電機の特性を設定しやすい可変磁束型回転電機を提供す
ることを目的とする。
請求項1に記載の可変磁束型回転電機は、回転子と、前記回転子に対する回転磁界を生
成する固定子とを備える可変磁束型回転電機であって、前記回転子は、軟磁性材料で形成
された回転子コアと、前記回転子コアの周方向に沿って交互に極性を変えて並ぶように内
部に埋め込まれた複数の永久磁石とを有し、隣接する前記永久磁石の間に前記回転子コア
の無いコア無領域が設けられており、前記コア無領域に、前記回転子コアよりも低透磁率
であると共に前記回転子コアよりも低飽和磁束密度である磁性部材が配置されていること
を特徴とする。
請求項2に記載の可変磁束型回転電機は、請求項1に記載のものであり、前記コア無領
域の全体に、前記磁性部材が配置されていることを特徴とする。
請求項3に記載の可変磁束型回転電機は、請求項1に記載のものであり、前記コア無領
域には、前記磁性部材の他に、空隙及び非磁性部材の内の少なくとも1種が設けられてい
ることを特徴とする。
請求項4に記載の可変磁束型回転電機は、請求項1から3のいずれかに記載のものであ
り、前記コア無領域には、透磁率及び飽和磁束密度の少なくとも一方の特性の異なる複数
種の前記磁性部材が設けられていることを特徴とする。
請求項5に記載の可変磁束型回転電機は、請求項1から4のいずれかに記載のものであ
り、前記磁性部材は、磁性紛を樹脂に混合した磁性コンポジット材であることを特徴とす
る 。
請求項6に記載の可変磁束型回転電機は、請求項5に記載のものであり、前記磁性紛は
、センダスト、鉄アモルファス、及びパーマロイの内の少なくとも1種であることを特徴
とする。
請求項7に記載の可変磁束型回転電機は、請求項1から6のいずれかに記載のものであ
り、前記回転子の回転軸方向に垂直な断面における前記コア無領域の断面形状は、角の無
い曲線で構成された形状であることを特徴とする。
請求項8に記載の可変磁束型回転電機は、請求項1から7のいずれかに記載のものであ
り、前記回転子の回転軸方向に垂直な断面における前記コア無領域の断面形状は、前記回
転子コアの外周側に向かって膨らむ曲線を有する形状であることを特徴とする。
本発明を適用する可変磁束型回転電機は、回転子コア内の隣接する永久磁石間に1つの
コア無領域を形成すればよいため、シンプルな形状とすることができる。また、コア無領
域に配置する磁性部材の特性、形状を変更することで回転電機の特性を設定することがで
きる。
コア無領域の全体に磁性部材が配置されている場合、漏れ磁束の磁束バイパス路となる
磁性部材の領域を大きくすることができるため、回転電機の特性を設定しやすい。
コア無領域に磁性部材の他に、空隙及び非磁性部材の内の少なくとも1種が設けられて
いる場合、磁性部材の領域の割合を変更しやすいため、回転電機の特性を設定しやすい。
コア無領域に透磁率及び飽和磁束密度の少なくとも一方の特性の異なる複数種の磁性部
材が設けられている場合、回転電機の特性をより設定しやすい。
磁性部材が磁性紛を樹脂に混合した磁性コンポジット材である場合、磁性粉及び樹脂の
種類や配合比を変更することで磁気特性や機械的強度などの調整を簡便に行うことができ
る 。
磁性紛がセンダスト、鉄アモルファス、及びパーマロイの内の少なくとも1種である場
合、透磁率が高く、鉄損が小さい材料であるため、回転電機の効率を高くすることができ
る 。
回転子の回転軸方向に垂直な断面におけるコア無領域の断面形状が、角の無い曲線で構
成された形状である場合、遠心力による応力が掛かり難くなるため、機械的強度をより向
上することができる。
回転子の回転軸方向に垂直な断面におけるコア無領域の断面形状が、回転子コアの外周
側に向かって膨らむ曲線を有する形状である場合、遠心力による応力が掛かり難くなるた
め、機械的強度をより向上することができる。
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